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ファミリーマート・澤田社長 先輩たちから学んだ「冷静な合理性」と「熱い情熱」・・・という記事の紹介です。

今回は、こちらの記事の後編の内容の紹介です。

「変革できるリーダー」像には、いくつかの共通する資質があります。具体的にはどのようなものか――。

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否応なく変革が求められている状況ですから、この変革できるリーダーは組織にとっては必要不可欠な存在だと思います。
これまでにない人材不足。
これまでにない技術革新。
少なくとも今までにない働き方や現場業務の工夫や改善がなければこれからの難局は乗り越えられないと思います。

強いチームのコーチは「勝て」という言葉をほとんど使わない んです。もちろん、最初は勝つことが目的であることをちゃんと言うのですが、練習や試合がはじまったりすると、勝てとは言わない。それよりも、 選手のAttitude、つまり姿勢、プロセスの善し悪しを重視して指導する んです。こうしたアプローチに対して澤田さんはどう思いますか。納得できる部分はありますか。

澤田貴司さん(以下澤田): 分かります。私の場合は、相手によって使い分けています。 役員クラスに対しては、結果しか求めていません。 私自身、社長としてファミリーマートを任されている立場ですし、役員もそう。お互いプロなので、プロセスよりも結果で評価しています。

一方、 社員は違います。みんなチームで動いているし、やっている仕事も違います。定量的な評価だけではなく、定性的な視点を加味しないといけません。 業務管理に関しても社員一律の管理はやめて、できるかぎり現場の仕事内容に沿ったアナログのものに変えています。その意味で現場では「勝つ」ことよりもプロセスを大事にしています。

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これ、介護現場の改善をする上で最も大切な事を指摘されているように思いました。

現場でのプロセス評価は本当に必要なんですけど、介護現場では結果・・・特にミスや事故というネガティブな結果でしか評価されていないと思いますので、こういう視点でしっかり現場を見て評価していく仕組みや、そういう視点で現場をみるリーダーが必要だと思いますし、そうするにもまずは会社全体がそういう仕組みにならなければならないので、こういう視点をもった経営者が増えていかないと変わらないんだろうなぁ、と思いました。

中竹: 強いチームをつくりあげる過程では、試合や練習以外の場所での過ごし方も大事だといわれています。能力の高い選手を集めれば勝てるかといえばそうでもない。限られた練習時間だけ集まってトレーニングするだけでは、強いチームができない。やはり、歯を磨いたり、顔を洗ったり、休憩する時間をみんなとどう過ごすか。一緒にいるのが当たり前になる一体感を創り出すことが大事になってくるんです。

澤田: 数字では測りきれない部分のマネジメントは大事ですね。

中竹: 「業務」「業務外」の区別なく、 リーダーとチームメンバーのコミュニケーションを密にしていこうとすればするほど、ビジネスライクにはいきません。 リーダーとメンバー同士の「感情」の問題も避けて通れなくなります。

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強いチームを作る前提がこうだとすると、介護現場の現状で考えるとかなり難しいように感じました。
業務と業務外の区別なくリーダーとメンバーのコミュニケーションを密にする・・・たしかに感情の問題は避けて通れませんが、その感情がまず壁になってそもそものコミュニケーションが難しかったりします。

理念や目標の不一致が大きな原因だとは思うのですが・・・。

澤田: ビジネスライクの会話だけでは無理。 だから、リーダーって誰よりも仕事をするし、圧倒的に努力しないといけない と思っているんです。気合と根性の話じゃありません。 継続的にメンバーと直接コミュニケーションをし続ける「仕組み」が必要 で、それを続けることが大切なんです。

私の場合は、出来る限り加盟店に訪問して直接お話を伺っていますし、社員に対しては、年に一度は「気合注入講演会」というダイレクトコミュニケーションをしています。1時間半話し続けた後、参加した社員全員と握手するようにしているので、終わるとフラフラになりますよ。また「澤田めし」と称してお昼時、お弁当を一緒に食べながら社員たちと話をしています。この「澤田めし」で一緒にランチをした社員は1,000人を超えました。あと、広報室と連携して、会社の『今』をチェック出来る『Family Mart WEEKLY NEWS 』という動画も毎週配信しています。 とにかく伝え続ける努力が大事 なんです。

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これは現場リーダーというよりもっと上の層のリーダーの話でしょうね。
ただ、このくらいリーダーがコミュニケーションをとる事に対して努力をする、というのは必要と思いました。

結構ミーティングや面談を密にされている経営者やリーダーの方は多くて、そういう事が苦も無くできる人たちなんだろうなぁ・・・なんて思ってましたけど、これだけ優秀な経営者でも面談後はフラフラになる、それだけ大変な事を取り組まれているんだ、という事を知れて本当に良かったです。

とにかく伝え続ける努力が大事、というのは本当に同意です。

みんなの意見を集約し公開しています。良い意見も悪い意見もぜんぶ公開。隠し事なしです。オープンな場で酷評されるぐらいの覚悟がないとリーダーは駄目です。

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これも上に立つ立場になれば否応なく腹をくくらされる事ですよね。
これが言えるようになればようやくリーダー、という感じ。

澤田: 教育で伸びる部分はあると思います。実は今年を「教育元年」とし、社員向けの教育システムを強化しようと考えています。ただ、 リーダークラスに対しては「自分で学び、自分で成長していく」ことを期待しています。 そして同時に、リーダーたちにはなんらかの目標をコミットメントしてもらう。そして、もしできなければ「ほかのメンバーにチェンジする」といった、人事異動とセットで教育を考えています。厳しくもありますが、こうした状況も楽しんでくれるのがリーダーに期待していることです。

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こういう仕組みも大切ですし重要だと思いました。
まぁ、いまの介護の現場には合いそうにありませんけど。

リーダーは特に自己研鑽は求められます。

教育と人事異動のセット運用は、いろいろな可能性がある一方で、リーダーの成り手が更に限定される状況になりそうですね。
そのあたり、全国規模の大企業ならではの施策だなぁ、と思いました。

厳しい状況や課題を楽しめる、とういう気質もリーダーには必要と思います。

社内の事情を扱った商品は賛否両論ありますが、加盟店やお客さまの話題になり、結果皆さんが喜んでくれればいい んです。楽しんでやってますよ。

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ファミチキのCMは大好きでした。

いま、SNSでこういう事がどんどん発信されて、企業イメージや介護の仕事のイメージアップにつながっていますよね。
中の人が本当に楽しんでいるSNSの発信は、本当に面白いし刺激にもなります。
このポイントはこれからどんどん加速していくのではないかと思います。

澤田: 特定の仕事が得意な人でも、マネジメントに向いてない人はいます。 得意じゃないのに年齢や肩書だけでそのポジションに置いておくのは、誰のためにもなりません。

中竹: 実は、私も早稲田大学のラグビー監督時代の1年目、プレイヤーとして天才的にうまい選手をキャプテンに据えたんです。「ポジションが人をつくる」との言葉を信じていたんですね。でも結果的に、本人も満足できるキャプテンとしての役割を果たせず、プレイヤーとしても調子を崩してしまったんです。それ以来、 プレイヤーとしての才能と、マネジメントの能力を厳格に分けて運用するようになりましたね。

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これだけ個人にフォーカスされつつある時代の中で、役職が人を育てる、というのはやはり古い考え方かのかもしれません。
僕も最近まではそう信じていましたが、記事でもあるように、その壁を乗り越えられる人は限られたりしていますので、本人の覚悟やタイミングが適切でなければ、役職につけても難しいと思いますし、役職が人を育てるという側面はあったとしても、そこに胡坐をかいて育成や指導を行わない現実を長く見てきた結果、育てる気がない状態で役職につけても誰も幸せになれないと感じています。

やはり、得意な部分や長所を伸ばして育てる事が大切な視点だなぁと思いました。

澤田: 伊藤忠時代、米国セブンイレブンの買収プロジェクトに参加したときお手伝いした イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊さんからは、近江商人「三方良し」の意味を学びました。 ファミリーマートの加盟店のため、お客さまのため、社員のため、お取引先さまのため、という前提に立って考え、行動することが経営者の仕事だと思っています。

ユニクロの柳井正さんは、常に冷静沈着、合理的に行動することを学びましたね。 私が副社長だったとき、フリースを仕掛けた原宿の店舗のオープンニングで、予想以上に人を集め大盛況だったことがあったんです。柳井さんにはいつも怒られていましたが、「流石に、今回は褒められるだろう」と期待していたんです。ところが、柳井さんはその時も「人が集まり過ぎて混乱すると、逆に評判を落とす。人の案内、商品補充は大丈夫なのか」と的確に状況を判断され、冷静に指示していました。 とても人情深い方なんですが、ビジネスに関しては恐ろしく合理的 なんです。

多くの人たちは経営を複雑に考えますが、 スターバックスのハワード・シュルツさんのシンプルな思考にはとても刺激を受けましたね。 「僕が成功したのは、自分より優秀な連中を採用して、みんなが生き生き働ける環境をつくっただけ」なんて簡単に言ってました。いつか言ってみたいですね(笑)。

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三方よしに合理性、これだけの経営者の方が参考になったという内容を知る事ができるだけで大いに勉強になります。

僕も一番刺激的だったのが、みんなが生き生き働ける環境をつくっただけ・・・という言葉です。
これ、介護業界に今必要な事だと思いました。

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