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【介護報酬改定】ケアマネなど介護職員以外の処遇改善を訴える声相次ぐ 深刻な人材難で「全ての職種を対象に」・・・という記事の紹介です。

今日は、請求書や領収書関係の仕事と、10月に控えた職員健診の案内等が職員毎に健診を依頼していた病院から届いたので、そちらの配布と、事業所・企業紹介という封筒が国から届いたので、そちらはインターネット回答を行ったり、事務的なお仕事が中心の1日でした。

夕方にオムツ交換の方への訪問同行で新人さんの指導に入りましたが、初めてのオムツ交換(研修では何度かやっている)の現場で、今回で2回目の見学なので、利用者さんとご家族さんに説明し同意を得て、ちょっと細かく説明や解説を入れて一連の内容を見てもらいました。

実際は実際に実践してみて、そこからいろいろ自分なりの工夫をしながら技術を習得していくのがよいのですが、さすがに介護経験がない新人さんなので、本人が出来る動作は積極的にとってもらいつつも、必要最低限の動作で負担を少なくする工夫や行程の工夫が必要という事は伝え、あとは僕を含めた先輩たちのやり方を見た上で、自分なりにやりやすい方法で、きちんと清潔で気持ちよくオムツが履ける状態(ここがゴール)に出来るようにしていこう、という話をしました。

僕らの仕事は、ゴール(人生の質の向上に寄与する)に向かって、それぞれ個性を持った職員がその人間性を活かしながら作業や業務というレベルではない介護という支援を通じて、互いの人生に干渉しながら様々な行程を経て一緒にゴールを目指すもんだと思っているので、小手先の自分のやり方を押し付けるのは良くないと思っていますし、実際、自分がベストと思っていた事も、実はより良い方法があったりするわけですから、僕自身はそういう所からも学びを深めたいと思って指導育成の場面では意識しています。

ですので、教えているはずの自分自身にも学びがあるというのが、僕自身の指導育成観みたいな感じです。

さて、今日はこちらのニュースの紹介です。

「介護支援専門員、主任介護支援専門員の人材難も厳しい。何らかの施策で賃上げ、処遇改善を行って人材を確保できるようにしていくことが必要な段階にあることは明らかではないか」。日本介護支援専門員協会の濵田和則副会長の指摘だ。

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介護職の処遇改善の報道では、まず介護職の賃上げがフォーカスされるのでケアマネの処遇改善までなかなか光が当たらないというか話題になりにくいような気がしますが、どこもかしもでも人手不足のこのご時世ですから、当然ケアマネ不足も深刻ですので、こういう意見が出てくるのは当然ですし、これまでの報道の内容のように、さも介護職だけが処遇改善が必要だ、という事ではなく、関連する職種にも処遇改善は必要であるのは当然だ、という感じで報道されるのがいいとは思いました。

ただ、なんでもかんでも平等がいい感じの介護業界ですが、他産業と比べて賃金が低いのは介護業界だけではないわけで、そんな事を言い出したらあっちもこっちも・・・となって収拾がつかなくなる事も想定できます。

介護業界の経営構造からみると、介護報酬が基礎になっているので、その報酬を決めている国の責任で処遇改善できるくらいの介護報酬にすべき、という事での一連の流れだとは思うのですが、ここでの訴えのように、ケアマネ不足だから賃上げが必要、という論法でいくと、医師も看護師も不足しているわけですから、だったら医師も看護師も賃上げは必要、という事になります。

そうであれば、期待されている役割や更新が必要な資格であり、その更新にも多大な費用がかかる事を根拠にした訴えの方が伝わりやすいんじゃないかなぁと思ったり。

「中央福祉人材センター」の調査結果によると、ケアマネジャーの有効求人倍率は今年6月で4.19倍。厚生労働省が公表している「施設介護員」の3.79倍(2022年度)を上回っている。調査設計が異なるため単純比較はできないが、現場の関係者からは“ケアマネ不足”の深刻化を指摘する声が多くあがっているのが現状だ。

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有効求人倍率で比較するのであれば、最も高いと言われているヘルパーで14倍だったかな、結構な倍率なので、この数字もインパクトに欠ける気がします。

ただ、ケアマネ不足が深刻なのは事実で、ケアマネが担当できないので介護サービスを利用できないという状況は生まれています。
介護保険制度自体を揺るがす課題ですので、ここは真剣にケアマネ不足の解消に向けた具体的な対策を練る必要がありますが、何でこうなるまで放っておいたのかは不明です。

濵田副会長はこうした現状を踏まえ、「居宅介護支援や地域包括支援センターなども処遇改善加算の対象に加えて欲しい、と以前から言ってきている。仕組み上それが難しいということなら、事業所が処遇改善を進められるように基本報酬での評価をお願いしたい」と訴えた。

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介護職の処遇改善加算とケアマネの処遇改善については別モノという感じなんでしょう、だから対象から外したんだと思います。

実際、僕自身がかつて勤めていた会社で何人かのケアマネに、ケアマネは介護職か、別の職種か、と質問した所、介護職です、と返答したケアマネは一人もいませんでした。

ケアマネとしての専門性が高いからこその返答なんだろうと思いましたが、同時に介護職としてその回答を聞いた時は、なんだかちょっと寂しくなった思いもありました。

ですので、僕自身はケアマネ自信が自分が介護職である自覚がない以上、介護職が要件とされている処遇改善加算の対象から外れるのは当然、と思っていましたので全く違和感がありませんでしたが、これはケアマネ協会としてケアマネは介護職なのか、ケアマネという職種として専門性があるのかという意思統一をしたうえで、介護職ではないというのであれば、ケアマネ専門の処遇改善の対策を提案した方がよいと思います。

全国老人福祉施設協議会の古谷忠之参与は、「介護職員以外の全ての職種を対象とする柔軟なものとし、事務負担の少ない分かりやすい制度へ見直す時期にきている」と主張。

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こうなってくると介護職処遇改善という目的が何だったのかもう一度再検討すべきだとは思いますし、介護職員という範囲を介護業界で就労している職員とするのであれば、医師や看護師、リハ職、ケアマネ、事務職、用務職など含めて整合性がとれる仕組みづくりが必要ですが、そんなのちょっと無理じゃないでしょうか。
だからわかりやすく介護職だけ他産業と遜色ない年収を目指す、という事にしたんだと思います。

それでも平均値(年収について平均で見るのは正確性に欠けると思いますが)では、まだケアマネの方が介護職よりも年収は高かったはずなので、全体的に見たときに、ここまでやいのやいの言われる筋合いの話でもなさそうなんだけどなぁ・・・なんて思ったりしました。

ただ、介護業界で勤めていると年収で他産業で勤めるより少しは高くなるよ、というイメージになれば、限られて労働人口を介護業界に迎え入れる呼び水にはなると思いますので、手段としてはありだとは思いますが、だとしても医療業界からの反発は大きいんじゃないかなぁと思います。

いずれにしても、どちらかを立てれば反対側から反発が出るような内容の事なので、国として方向性をきちんと示してやるにしてもやらないにしても、毅然とした態度でやるしかないとは思いました。

連合の小林司生活福祉局長は、「重要なことは全ての労働者の継続的な賃上げ。その環境づくりが介護報酬でも必要だ。処遇改善加算の対象となる労働者も拡大し、更に個々の賃上げ額が減ることのないようにしなければいけない」と提言した。

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なにも努力も成果もない所から継続的な賃上げというのは非現実的な感じがあるので、賃上げがあるのであれば労働生産性は高めるという両輪での議論は必要と思っています。
特に介護業界は介護報酬で経営が左右され、あまり業界内での競争原理も働かない現状がありますし、そもそも介護サービスを事業者につなげるケアマネジャーが特定の企業や団体の所属しているケースが多く、独立事業のケアマネ事業所はほとんど見たことがない事を考えると、現状のまま競争原理を働かせると自社でケアマネ事業所を持っている会社しか生き残れない状況になるので、そういう意味で制限がかかる仕組みになっているのだと思います。

競争原理が働かない状況の中で、労働生産性を高める事はかなり難しいので、そういう意味では民間に介護サービスを任せて競争原理の中で高品質なサービスを生み出す、という意味合いもあった介護保険制度も限界が来ている感じです。それでも介護事業所の倒産件数は年々増加している事も注目ですね。人手不足・後継者不足が主な原因とは思いますが、今まで通りの経営が通用しなくなっている事も事実なので、これからは経営面というよりかは、労働者確保という側面での競争が激化し、その中での生き残り競争が始まる感じでしょうか。

そうであれば、自然に介護労働者の賃金は高騰していくとは思いますが、それも介護報酬次第で頭打ちのラインが決まりますので、そのラインが他産業よりも低い場合は、そもそも介護労働者が増える要素がないとも言えますので、このあたりしっかり検討した上で、次の介護保険改正の時期まで効果が持続するような設定をする必要があります。

どう考えても難しいですよね。

でも、しっかり頑張って検討していただくしかないという所です。


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