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「新たな“プロ”の育て方 なぜ左官屋で若者と女性が活躍できるのか」を読む。

皆さん、働きたい理想の会社像を持っていますか?

「とにかく給料が高いところがいい!」という人や、「福利厚生がしっかりしてるところがいい」とか、「給料は抑えめでいいから残業が少ないところがいい」なんて人もいるでしょう。

ちなみに私の理想の会社は「休みが多くて(週休3日で)、手取りは最低でも16万以上で、なおかつ技術が身につけられるような教育や現場があるところ」です。自分は体が疲れやすいので、とにかく休みが欲しいというのと、給料が安くても趣味やプライベートでも活かせるような技術が身につけられれば、副業で稼げるんじゃないないかな?と思っているので、こんな理想像になっています。特に技術が身につけられるというのは重要で、その理由はもし会社が潰れたり、その地域で生活できなくなっても、他の会社や土地でやり直しが可能になるからです。それに「技術がある」という状態は自信を持つことにも繋がるので、精神衛生上も必要だなと思っております。

技術、大事です。

それでは、今自分が勤めている会社がそうなっているのかと言いますと、全然そうなってはいません。休みは増やしてもらえましたが、技術の習得は個人に任せきりになっています。自分はITの技術者派遣業務に従事しているのですが、どういった技術や知識を持っているべきなのか、現場によって使用するプログラミング言語の差異や、言語によって覚えておくべき考え方など、体系化するのは難しいと思いますが、せめてその入り口ぐらいは示して欲しいなと思っております。

さて今回紹介する本「新たな“プロ”の育て方 なぜ左官屋で若者と女性が活躍できるのか」は、そんな「技術の習得」という点を見直し、若者の定着や、女性の積極的登用を可能にした会社について書かれています。

著者は原田宗亮さん。本書で取り上げられている「有限会社原田左官工業所」の代表取締役です。「有限会社原田左官工業所」は1949年に創業しており、近年では「若者が定着する左官屋、女性の活躍の推進に熱心な左官屋」として注目を集めており、具体的な業務としても左官業では珍しい店舗への施工を中心とした「提案型左官屋」として有名な企業だそうです。本書では、その「有限会社原田左官工業所」のユニークな取り組みについて説明されています。

自分が本書で気になった部分は以下に挙げた4つです。

・4年間で一人前にする育成プログラム

・スポーツなどで活用されている「モデリング」という技術等を利用して、教え方を標準化

・産休制度だけでなく、復帰後のプログラムなども考えることで、女性の働きやすさを確保

・現場以外でできる左官仕事を創出する

きちんと新人を育成するプログラムを作成していることはもちろん、教える内容や教え方も、「標準化」という考え方を持って作り込んでいるのが素晴らしいなと思った。

そして上記の中でも特に気になったのは「現場以外でできる左官業を創出する」というものです。原田左官工業所は店舗向けの左官ということで、そのお店の雰囲気や依頼にあった仕上げを提案できるように、ショールームなどでサンプルを公開しています。また卓上かまどといった「商品の開発」なども行なっています。「現場以外でできる左官業」というのは、そのサンプルを作成したり、新しい素材を試したり、「商品開発」といったもののことです。

現場以外でできる仕事というのは、「現場に出向いて技術を振るうしかない職業」にはとても必要だと思っています。先程も述べましたが、私は「IT技術者派遣」の会社に勤めています。それはIT技術者が足りないプロジェクトや会社に社員を向かわせるというもので、左官業と同じ「現場に出向いて技術を振るうしかない職業」という点で共通しています。

そして、そういった職種は「現場」がなければ「収入」を得られません。

また「現場がない」という状況は、教育プログラムがしっかりしていなければ、「技術」を磨く「機会」が得られないということになります。

現場以外でできる仕事がなければ、仕事のない社員はお荷物になってしまいます。そのため、仕事がなくなると、とにかく現場を探そうと躍起になってしまい、厳しい条件の現場で働くことになってしまうことも少なくありません。そうなると落ちついて技術習得もできなくなります。

そこで「現場以外の仕事」が必要になってきます。サンプルの作成といった本社業務があれば、厳しい条件の現場に無理に出向く必要は無くなります。それに加えて社員も自分が「売上なしのお荷物である」という引け目も負わなくてすみます。また自分の技術をぶっつけ本番で試すことが無くなり、安心して試行錯誤することもできます。いいことづくめです。

原田左官工業所を見習って、うちの会社も「現場以外でできる仕事」を作れないか考えてみたいなと思います。

それでは最後にまとめ。

本書は「プロの育て方」と銘打ってあるだけあって、社員の教育方法にとても有用なアイデアがたくさん載っていておススメです。また教育だけでなく、会社をどうデザインして、どう経営すべきなのかというのも勉強できる本でもありますので、日本の零細企業の社長さんたちにぜひ読んで欲しいなと思います。

ご精読ありがとうございました!

参考:URL

原田左官工業所:http://www.haradasakan.co.jp

新たな″プロ″の育てかた特設ページ:http://www.haradasakan.co.jp


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