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いくらでも悩んだっていい【6/6 対イーグルス戦●】

試合が終わって、S.ノイジーがベンチでひとりたたずんでいる写真のニュースがアップされていた。
彫りの深い顔なのもあって表情が分かりづらかったが、深刻に悩んでいそうなのは誰の目に見ても明らかだった。ノーヒットに終わったことを気にしているのだろうか。
浮かない顔をしていたのは、この日に限った話ではない。打席の中でも首を傾げたり、何かをつぶやいたりしているシーンは何度も目にした。

キャンプ初日、デイリースポーツのニュースで「自分は完璧主義者なんだ」とノイジーは語っていた。常に妥協しない姿勢があったからこそ、これまでのキャリアを築けたのだろうと想像する。けれども、今のノイジーは完璧主義がかえって悪い方向に働いている気がしてしまう。

かくいう僕も完璧主義者「寄り」の考えだ。ノイジーほどストイックにやれないので完璧主義者なんておそれ多くて言えないけど、周りの人から「妥協しないよね」と言われたことが何度もある。
思うような結果が出なかったとき、自分のことを責めてしまう完璧主義者の人は多いと思う。上手くいっているときは特に気にならないのだけれど、そうじゃなかったときはあれこれと悩んで深みに入る。本当は自分以外のところに要因があるのかもしれないのに、つい自分のなかに理由を求めてしまう。
本当はもう少し自分の中にゆとりを作って、リラックスしたほうが何かと良いのだろうけど、どうしてもそれができない。ゆとりを持ちたくても持てないから、悩んで悩んで悩み倒してしまう。なぜなら、それしか解決策を知らないから。
そんな自分が嫌になったこと、僕は何度もある。

でも、僕は今日までそんな自分を直そうとしていない。何なら直す気もない。なぜなら、そうやって深く悩んだ人にしかできないことがあると、心のどこかで信じているからだ。例えばそう、この文章だってそうだ。
一人きりで延々と悩んで悩んで、それでも押さえきれないから僕は文章を書くようになった。もし僕が周りの人に話して発散したり、「まあいっか」と気持ちを切り替えたりできる人だったら、そもそも書くことをしていなかっただろう。完璧主義な一面があったから、こうして文章を書いて、色んな人に読んでもらえるようになったと思っている。悪いことばかりじゃない。

正直、完璧主義はつらい。周りに理解されないことも多い。
けれども、何か大きなことを成し遂げた人はきっと自分に妥協せず進んできたはず。
だから、ノイジーだっていくらでも悩んだっていい。それが彼らしさなら、それでいいじゃないか。
今はしんどい時期かもしれないけれど、こうして悩みもがいているノイジーにしかできないことがある。自分の中で納得できるものが見つかったとき、そこにはノイジーにしか見られない景色が広がっているはず。

Let's Go シェルドン!
また次の試合からよろしく頼むよ。

https://www.instagram.com/reel/CtLy5IlgqT4/?igshid=MTc4MmM1YmI2Ng==

【追記】
翌日の試合、ノイジーはスタメンを外れた。試合前の円陣。声出し担当が回ってきた坂本誠志郎がこう言った。


「(先発の田中将大について)ゾーン上げてください」「シェルドン!口角上げて」

悩めるチームメイトに対するさり気ない気遣いに、胸が熱くなった。誰も置いていかない、大変なときこそ支え合う。
だから、僕はこのチームが大好きだ。

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