見出し画像

『スターリンの鼻が落っこちた』感想文とか その1


『かもめのジョナサン』の感想文の中で、「次はロシア文学の感想文を書きます」と言ったな。

あれは嘘だ。

いや嘘ではないけど、正確にいうと、ソ連からアメリカに亡命したロシア人の作品で、タイトルは『スターリンの鼻が落っこちた』というもの。

プレミア価格になっているので買わなくていいです。読みたい人が読む方法は後で書きます。

コトの発端

見ての通り本書は児童文学なのですが、何でこんな本を見つけたのかというと、
以前も書いたけど、ガキの頃読んで衝撃を受けた『山の王者クラッグ(石ノ森章太郎作、裏に手塚治虫の推薦文が書いてある学研の漫画)』をもう一度読みたかったため。

そこで図書館に行き、『まんが世界の歴史』とかがある本棚を眺めていたのですが、
最近の世界の歴史や日本の歴史の漫画って、なんか出来損ないの進研ゼミ漫画みたいになっとるね。あんなチャチなもん読んで楽しいんかいな。

そんな風に思いながら眺めていると、視界の隅に「スターリン」なる文字が飛び込んできたのでありました。

いやまさかそんな、夢と希望あふれる児童文学コーナーに「スターリン」なんていう不穏ワードがあるわけないだろうと二度見したら本書があり、手にとって開いてみたところ、

大粛清…

このような、おおよそ児童文学とはかけ離れた、「サム・ペキンパーに捧ぐ」とあったジェームズ・ウッズ主演の映画やオリバーストーン監督の映画みたいなことになっており、
「これ『マジなやつ』だ!」とたまげて借りて読んでみることにしたのであります。

※上記の通り原題は『BREAKING STALIN'S NOSE』で、なんか『To Kill A MockingBird』を思い出してしまったヮ。動名詞とTo不定詞の違いはあるけど。
それはともかくあの映画、子役やグレゴリーペックや黒人やヒールの演技とか構成が良くて最後まで見れるんだけど、ラストのトムヘイゲンというかキルゴア中佐が全部持っていくよね。あと有名な話だと、ジョジョ3部のエンディングでも使われてたWalk Like An Egyptianの元ネタとなったシーンが出てくる。
そんな『To Kill A MockingBird』こと『アラバマ物語』はパブリックドメインなので、見たことない人は見よう!

あらすじ

映画の話は置いといて、岩波書店およびAmazonのページに載っているあらすじは以下の通り。

スターリン時代の旧ソ連。10歳のサーシャは幼いころから少年団ピオネールに入るのを夢見てきた。ところが入団式の前夜、父親が秘密警察に逮捕されてしまう。学校ではある事件がおき、生徒たちは「犯人だと思う人」の名を書かされる。独裁、密告社会の怖さをえぐりだしたイラスト満載のフィクション。ニューベリー賞オナーに選ばれた注目作。

岩波書店の紹介文

どう転んでも救いようのない内容で、「フィクション」とあるものの、実際には本書よりも悲惨なことがソ連のあらゆる所で起きていたのだろうと容易に想像できる内容となっております。

あとたまげたのが、Amazonで本書の対象年齢が「9~12歳」となっているところ。

いや~小学生にこの内容はきついで、そもそも20世紀の共産主義とその末路、ひいては米ソ冷戦とか文化大革命とかクメール・ルージュとか理解できるんかいなと思ったものの、

私も10歳の頃には漫画とはいえ『アドルフに告ぐ』『火の鳥』『カムイ伝』とか読んでいたので大丈夫か、でもちゃんと理解できるようになったのは後々のことだし…などと思ったのでありました。

まぁ子供の能力をナメちゃいかん、読解力や想像力のある子、将来「東京大学文学部」とかに進みそうな子なら読んでもいけるんじゃないの。トラウマになること必至だけど。

登場人物

そんなイカレた本書の登場人物はこちら。まずは序盤パート。

  • サーシャ・ザイチク:主人公である10歳の少年。スターリンLOVE。

  • サーシャの父さん:内務人民委員部(秘密警察。要するにKGBの前身)勤務。隣部屋のストゥカチョフさんに密告されて秘密警察に連行される。

  • サーシャの母さん:元アメリカ人。「病院で死んだ」ことになっている。

  • ラリサおばさん:父さんの妹。

本書内の絵も作者によるもの。
これ児童文学の絵じゃないやろ。

お次は学校パート。

  • ヴォフカ・ソバキン:サーシャの同級生。サーシャを「アメリカ野郎」と呼ぶ。以前は出来杉君並の優等生だったが、ある日を境に素行不良となる。

  • ボルカ・フィンケルシュテイン:サーシャの同級生その2。ユダヤ人で通称は「メガネ」。

  • ニーナ・ペトロヴナ先生:サーシャ達の担任。

  • セルゲイ校長:校長。

  • ルシコ先生:国語の代用教員。私的この物語の良心その1。ちなみに「その2」はマフラーのおばさん。

楽しい学校生活(白目)
登場人物の人相はこんなのばかりである。
こんな担任と授業嫌だ。
気違い沙汰そのものだが、果たして現代日本は狂っていないと言い切れるだろうか?

こんな感じで、『アウトレイジ』の登場人物なんて本書の前では赤ん坊同然だな!ということになっております。

本書を読む方法

長くなってきたので私の感想は次回にまわすとして、冒頭で書いた読みたい人が読む方法について。

これは簡単な話で、単に私が今まで知らなかっただけで本書は名作中の名作のようで、図書館には確実に置いてあるので図書館で借りて読みましょう。

大阪府、京都府、兵庫県の図書館を横断検索してみたけど、どの市や区の図書館にも置いてあったで。東京も48の図書館で見つかったからメジャーな本なのでしょう。

ただ、1市(1区)につき1冊ずつしか置いていないので、早く読みたい人は予約しといた方がいいかも。

あとは岩波書店に復刊願いを出すしかないでしょう。私は借りるだけでは飽き足らず購入したけど、ということで今回はここまで。

次回は本書についての本格的な感想文。


この記事が参加している募集

読書感想文

応援、ありがとー