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前年同期比で見れば3四半期連続減速で変化なし~2023年10~12月期のGDP改定値

本日(11日)、内閣府は2023年10~12月期の国内総生産(GDP)改定値を公表しました。日経電子版は季節調整済み前期比の動きに注目し、速報値の0.1%減(年率0.4%減)から0.1%増(年率0.4%増)へ上方修正されたことを報じています。私がnoteでかねて注目している前年同期比の動きをみると3四半期連続で実質GDP成長率は縮小しているという状況に変化ありません。


設備投資が上方修正、民間在庫が下方修正

 GDP速報の改定値では、3月4日に公表された「法人企業統計」(財務省)の情報が追加されています。「法人企業統計」は、設備投資や民間在庫の推計に用いられていますので、今回の改定値ではこの2つの項目が改定されています。事前の民間シンクタンクの予測では、設備投資の上方修正に注目が集まっていましたが、民間在庫が下方修正されたことで、実質GDP成長率の上方修正はそれほど大きなものにはなっていません。具体的には、実質GDPの前年同期比成長率に対する設備投資の寄与度は、速報値から改定値にかけて0.5ポイントのプラスになりましやが、民間在庫がマイナス0.3ポイントとなりました。結果、実質GDPの前年同期比成長率は速報値の1.0%から改定値は1.2%と0.2ポイントのプラスにとどまっています。

個人消費は寄与度では変化なし

 日経電子版では、個人消費の実質前期比成長率のマイナス幅が拡大(速報値:▲0.2%→改定値:▲0.3%)していることも指摘しています。しかし、上記の表で示しているように、実質GDPの前年同期比成長率に対する寄与度には変化ありません。
 個人消費の前年同期比成長率を確認しても、速報値、改定値ともに▲0.5%で変化ありません。季節調整値の前期比成長率を計算してみると、速報値は▲0.2319…%、改定値は▲0.25226…%で、小数点第2位以下の四捨五入の関係で、0.1ポイントマイナス幅が広がって見えたようですね。Think欄で「実質消費の下落率がさらに大きくなったことの方が重要」というコメントがありましたが、そんなに騒ぐほどの変化ではないのでは?

#日経COMEMO #NIKKEI

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