【起業戦略】第17講 ビジョン、ミッション、バリュー
前回は、TAM、SAM、SOMについて話したよね。
今回は、そのTAM、SAM、SOMよりも、もっと訳が分からないと思われている、ビジョン、ミッション、バリューについて話していくよ。
ビジョン、ミッション、バリューって、なんか意識高くて、カッコよくて、ベンチャーは必ず作るもの。起業するとやたらとかっこいい言葉を並べて、作りたくなるらしい。
でも、そんな「上滑り」という言葉がぴったりくるような、ビジョン、ミッション、バリューは、いうまでもなく、何の役にも立たない。
それを考えた起業家自身が、そのビジョン・ミッション・バリューを咄嗟に思い出せないなんていう場面にもしょっちゅう遭遇する。
そこで、今回は、「ビジョン」「ミッション」「バリュー」を「TAM」「SAM」「SOM」と結びつけるという方法を解説していこうと思う。
このアプローチで決めた「ビジョン」「ミッション」「バリュー」は、決して上滑りにならないし、忘れたりしないし、なによりしっかりと共感を生むことが出来るんだ。
ビジョン
「ビジョン」とは、ビジョンは、「実現したい世界」といった説明がされるよね。
でも、それだとまだ抽象度が高すぎて、中々身のあるビジョンを定義するのは難しい。「実現したい世界」とか言われると、「平和な世界」「豊かな世界」「サステイナブルな世界」「笑顔があふれる世界」みたいな感じにほとんどの人がなっちゃうよね。
だから、こう言い換えよう。ビジョンとは「自社が存在する大前提(=起業した理由)」だ。「自社が想定する顧客たちが達成したい目標」「自社が叶えたい顧客の目標」といってもいい。
たとえば「中高年社会人が適正体重になる」みたいなね。
とりあえず、格好いい言葉でなくていいから、まずは、それを言葉にしてみよう。
これを市場という側面からみたとき、TAMが決まる。「想定する顧客たちが、その目標の達成に対して、いくら払っているのか」が、TAMだと言える。
つまり、ビジョンとは、TAMのナラティブ(=言葉による)な表現なんだ。ビジョンは、その事業や企業にとっての根幹と言えるから、これをピボットするときというのは、会社を清算するときといってもいいくらいかもしれない。
ミッション
ミッションは、「果たすべき使命」とかいうんだけど、これも、分かりにくいよね。
顧客が目標を達成する手段は、数多ある。たとえば「中高年社会人が適正体重になる」というビジョンに対して、その実現手段は、もう無限といっていいほどあるだろう。
食事を減らす、運動をする、脂肪を吸引する、、、
その中で「自分たちは『どうやって』そのビジョンを実現するのか」を表現したものが「ミッション」だ。
「安全な脂肪吸引を提供する」とか「完全にカロリーコントロールされた食事を提供する」とかね。
別の見方をすると、ビジョンを実現する手段のうち、「自分達が満たそうとしている/満たせるMust条件は何か」だとも言える。
数多ある解決策のうち、自分たちの解決策は何かを定義しているという意味では自社の「制約」であり、「何をやらないか」の裏返しでもある。
だから、ミッションとは「SAM」と完全に一致する。
ちなみに、ピボット(事業転換)というのは、ビジョンの中でミッションを変えることだと解釈することもできるだろうね。
バリュー
使う言葉は違えど、同じミッションを持つ会社は、実はいくらでもいる。それらの企業のことを「競合」と呼ぶ。
そんな中で、自分たちはどんな付加価値(Want条件)を提供できるのか/提供したいのかがバリューだ。
たとえば、「安全な脂肪吸引を提供する」というミッションに対して、「24時間365日駅前で利用が出来る」というのが付加価値、バリューということになる。
そして、これはもちろんSOMに対応する。
まとめ
という訳で、最後に、ビジョン、ミッション、バリューについてまとめてみよう。
ビジョンとは「自社が想定する顧客たちが達成したい目標」「自社が叶えたい顧客の目標」
ミッションとは「自分たちは『どうやって』そのビジョンを実現するのか」
バリューとは「自分たちはどんな付加価値(Want条件)を提供できるのか/提供したいのか」
を表現したものだ。顧客が、それぞれにどれだけのお金を用意しているのかを表現したものが、TAM、SOM、SAMになる。
これで、スッキリ、ビジョン、ミッション、バリューを考えることが出来るでしょ。
ところで、このビジョン、ミッション、バリューは、ブランディングを考える上でもとても重要なんだ。ということで、次回はブランディングとマーケティングについても解説していくよ!
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