見出し画像

木箱の売り方マーケティング的に提案してくれない?#ニート支援 #派遣前訓練 8

WEEK 9
(これまでのニート・ひきこもり支援関連noteはページの1番下にまとめて貼っています)

前回のnoteの最後にちらっと書きましたが、昨日、ニート引きこもりの方々との3回目の交流があり、ものづくり体験の一環として木箱を作るワークショップとその木箱をどうすれば売れるか考えてみよう(ぼくのプレゼン)という2本立てのプログラムを行いました。

マーケティング戦略を理論を駆使して語ると、相手が実務家でない限りポカンとされるのはわかっていたので、理論の話よりも感情に訴えるプレゼンを行おうと思いました。

だって、「木箱の売り方をマーケティング的に提案してくれない?」って急に言われたんだもの。どんなものか見たこともないのに。理論武装できないじゃない。ざっくりしすぎてて。

というので、全4回のうちの3回目の交流でクライマックスだし、感動のエンターテイメントにしよう、想像力膨らむ希望のある提案をしよう。そうすれば彼らも自信を持ってくれるかもしれない、という考えに至りました。

以下、実際のプレゼンの内容の書き起こしになります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

・物語

ぼくが商品を売り出すときやサービスをつくるときにまず意識するのは、そこにはどんな物語があるのか、どんな物語が生まれる可能性があるのかということを考えます。

たとえば、「長野産パプリカ」という商品よりも、「長野のおじいさんが丹精込めて作ったパプリカ」という商品の方がおいしそうな気がするじゃないですか、モノは同じなのに。これは後者の方がより具体的に背景も含めて商品をイメージしやすいからです。たった1文でもそういう物語を知った方が心に届きやすいんですね。

なので、作っている人たちはどんな人たちで、何をつくっていて、買ってくれる人はどんな人たちなのか。その買ってくれたものを通してどんなことができるのか、どれくらい喜んでくれるのか。

そういうことを想像しながら商品やサービスを作っていきます。

・みなさんと木箱

今回ぼくがみなさんからいただいたお題は、木箱です。作るのはここで活動しているみなさん。正直に言うと、みなさんがどれくらいの思いをこの木箱に対して持っているのかというのはわかりません。

ですが、すごく覚えていることがあって、ぼくたち青年海外協力隊員の男6人、初めてみなさんにアルパの2階で会ったとき、みなさんの中には女性の方が4人いらっしゃって、(女性の隊員も入れるべきだったんじゃないか、ほんとに大丈夫か)という疑問がそれぞれの頭の中にはあって緊張していました。そんなときに、最初の挨拶でまずAさん(女性)が「今回は男性の方ばかり6人ということなんですけど、まぁ、私たちが引っ張っていければ良いかなと思うので安心してください」みたいなことをおっしゃったんです。

その一言にぼくはすごく救われました。
そういう気づかいができるということは、すごく優しい人なんだろうな、みなさんがそれぞれそういう「誰でもウェルカム」みたいな雰囲気、居心地の良い雰囲気を作っているから自然とそんな言葉がでるのかもなと思いました。

この優しさを商品にどうにかして込めたいなと思いました。

次に木箱について考えました。
今回ワークショップでワインボトルが入る木箱をつくりましたね。普通、ワインを買うとき箱なんていらないですよね。あったとしても紙の箱でしょうから、余計なコストがかかり、なんなら重い木箱である必要なんて全然ないんです、正直。でも、ワインボトル用の木箱がここにあるというのは、何かしら意味があるんだろうなと思いました。わざわざ木箱を使う意味が何かあるんだろうな思いました。

・わざわざ

わざわざ、お金かけてめんどくさいことをするときってどんなときだろうと考えると、わざわざ誰かに何かしたくなる時っていうのは、その誰かはきっと、その人にとって特別な人なんだろうなと思いました。

・特別な誰か

こういうときって、大抵、身近な誰かを思い浮かべます。
完全に余談なんですけど、ぼく、妹が来年5月に結婚するんです。ぼく、その時にはもういない、いや死ぬとかそういう意味じゃなくて、派遣国に行ってしまっているので帰ってこれないんですね。式、出れないんです。

ぼく、高校から寮生活で親元を離れて大学も1人暮らしをしてました。妹も大学から1人暮らしでしたし、ぼくは年末しか実家に帰らなかったので、この10年くらいで妹に会ったのって30回もないんですよ。ギュッとすると1か月分もないかもしれない。ぼくの中では妹はまだ中学生のままなんですよ。

だから、兄弟の仲が良いとか、ご飯食べに行ったとかいう話を聞くと素直に良いなぁと思うんですよ。自分がそういう人生を歩んでこなかっただけにね。単純に、定期的に連絡とってるとか、話してるとか聞くだけでも素敵やなぁと思うんですよ。

別にぼくが妹と仲が悪いということではないです。普通。お互い、何か思っていることがあるんだろうけれど、わざわざ言わない、みたいな。そういう真面目な話とか深い話なんてのはしないんですよ。

でも、今さらなんですけど、なにかお兄ちゃんらしいことをしたくなってくるんですよ。何か良いこと言いたくなってくる。

・手紙を書くように

素直に、夫婦の会話とか、将来生まれてくるであろう子どもとの会話を大事にしてほしいなと思ってるんです。ぼく、妹ともそうですけど、同じくらい親とも会ってないんで。

親子でお互いの考えを話す機会っていうのもそんなになかったので、というかほとんど記憶にないので。特に高校以降。

自分のお父さんやお母さんがどんなふうに考えてて、みたいなことを今さら聞くなんて、恥ずかしくてできないじゃないですか。でも、たまに普通にそういうことが話せる家族もいるじゃないですか。それって特別なことじゃないけれど、そういうのがあるのってすごく素敵じゃないですか。そういうふうなことを大事にしてほしいんですけど、直接なんて言えない。恥ずかしくて。

大事にしてほしいこと、伝えたいこととか、言いたいことって山ほどあるし頭の中を駆け巡ったりしますけど、実際に口からでるのはシンプルなテンプレートだけだったりして「おめでとう」とか「がんばれよ」じゃないですか。

よくて手紙を書いて伝えることができる程度。そろそろ本題に戻りますよ。

・物語の始まりのきっかけとしての木箱

そういう色んな会話や関係性、小さな素敵な物語を木箱を通して間接的に作っていけないかなと考えました。会話のきっかけとか、思いを届ける装置として考えられないかなと。

この木箱を起点として、いろんな物語が生まれていく。そんな風な使い方ができないかなと。

・子どもが生まれた年のワインを子どもが成人式の時に親子で飲む

例えば、子供が生まれた年、その年にできたワインを木箱に入れて保管する。木箱の内側には、お父さんとお母さんのその時の気持ちを書いたメッセージを付しても良いかもしれません。

生まれたときの様子だとか、どんな子に育ってほしいという願いでもよいでしょう。それを、20年後、子供が成人した日に開封して大人になった子供と飲む。両親にとっても感慨深いものがあるでしょうし、子供がすでに親元を離れていたら久しぶりの親子の会話の機会かもしれません。

子どもにとっても、まだ恥ずかしい年ごろだろうけれど、近い将来自分も結婚して子供を持つというのを明確に意識するかもしれません。25歳のときの子ならば、5年後同じように子供を持っているかもしれないのかと思うかもしれません。急に大人を意識する瞬間だと思うんですよね、あたしもあと5年でそんな風になれる?って思うと思うんですよ。

とにかく、20年、長いですからそれぞれの家族でいろんな物語があると思うんです。思春期を迎え、家族と過ごすより友達と過ごす時間の方が多くなったりして親としては寂しかったりするわけじゃないですか。各々の人生を歩んでいく。いろんな物語、いろんなドラマを経てこの日を迎えるんだろうなと思うわけです。

それをね、20年熟成させて深みが増したワインを片手に語らうわけですよ。素敵じゃないですか。

・タイムカプセル

20年というのは長いので、その他にも小学校、中学校の卒業式でワインを入れて保管する。成人式の同窓会のときに先生と飲む、っていうのもありでしょう。

あるいは、たまたま帰省したらたまたま昔の友達に会って、懐かしくて飲みに行く。普通はだいたいその1回で終わってしまいますよね。

それをまた来年、あるいは3年後、「この場所で飲もうよ」なんて約束できれば、ワインなので味の経過を楽しめるわけじゃないですか。わざわざ来ないといけないからめんどくさいです。でも、このワインがあるから、仕方ない行くかってなるじゃないですか。理由付けというか言い訳ですよね。けど、それでまた新しい物語が始まるじゃないすか。交友が続くじゃないですか。それって素敵なことじゃないですか。

ぼく最近気づいたんですけど、友達ってどんどん減っていくじゃないですか、連絡しないと。疎遠になると連絡しづらくって…って。わざわざ何かアクションを起こし続けないと友情ってなくなりますよね。そういう「つながり」を作ったり維持したりする装置としても使われることが考えられますよね。

・新しい物語をここから

この木箱には、そういういろんな物語が生まれるきっかけになってほしいと思っています。子どもが生まれて、そのワインを仕込む。子どもが生まれると夫婦の関係性って変わりますよね。新しい人生の物語が始まります。子どもが成人しても変わります。親にとっては子供はいつまでも子供ですが、世間的には「大人」となります。また新しい人生の物語が始まりますよね。

みなさんもここに来て、新しい人たちに出会って、新しい関係性が生まれて、新しい人生の物語が始まっています。この木箱を通して、さらに新しい関係性を広げていってほしいなと思います。そういう新しい関係性の中で、コミュニケーションが生まれるきっかけを、物語が生まれるきっかけをね、つくることができればなと思ってます。そういう体験を、みなさんで作っていってほしいです。

・MADE by HAND with WARM HEART

少し大きい話をすると、自分たちが住んでるこの世界は優しい世界であってほしいじゃないですか。

この木箱を通して、そういう小さいけれど素敵な優しい物語が生まれます。生まれるんだとみなさんに信じて欲しいです。ぼくはできると思っていますし、信じています。

こういうのって信じる人が多くなれば多くなるほど、それは本当になります。この木箱がその力を持つようになります。みなさんの持ってる「優しさ」を社会に表現できるんです。素敵なつながりを作ることができるんです。それが優しい世界を作る基礎になります。みなさんが今日一生懸命手作業で作ってくれた、温かい心で作ってくれた木箱はその力があるんです。

マーケティングの仕事というのは物を売れるようにするというのもありますが、「モノに命を吹き込む仕事」でもあります。生まれた命を育てるのはみなさんです。次回、木箱をつくる機会があったら、特別な誰かを想像しながた作ってみてください。きっとみなさんはその人がどんな使い方をするか、して欲しいかを考えながら作ると思います。優しさつまってますよね。みなさんにはその力があります。木箱を通して、みなさんの優しさを社会に届けてほしいです。いつか、みなさんが間接的に作った素敵な物語をね、たくさん聞ければなと思います。

長いプレゼンを聞いてくださってありがとうございました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

※解説とか、反応は次のnoteにまとめることにします。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー
以下、これまでの経過、関連note



サポートはいつでもだれでも大歓迎です! もっと勉強して、得た知識をどんどんシェアしたいと思います。