阿屈洞摩(あくつとーま)

はじめまして。 阿屈洞摩(あくつとーま)です。 “死神ヒーラー*”というファンタジー…

阿屈洞摩(あくつとーま)

はじめまして。 阿屈洞摩(あくつとーま)です。 “死神ヒーラー*”というファンタジー小説を書いています。 読んでもらえると、飛び跳ねて喜びます! どうぞ、よろしくお願いします! https://kakuyomu.jp/works/16817330662980722718

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死神ヒーラー*  第36話「勇者は、もしかして……。」

第2章『英雄の帰還』第36話「勇者は、もしかして……。」 ―――スパエナの街角にて 「あの~、すいません。『マジ、暑いんですけどぉ。エアコンないとかあり得なくな~い!?おにぃ、さっさと自販機で冷たいお茶買ってきてっ!!』みたいな口調の17歳くらいの女の娘を見ませんでしたか??」 「見た目はどんな感じさぁ。」 「ミディアムくらいの長さの栗色の髪で、ちょっとつり目気味な、めちゃくちゃ可愛い女の娘なんですけど、もしかしたら、見た目が変わっちゃってるかもしれないです。それと服

    • 死神ヒーラー*  第35話「ワルノリ」

      第2章『英雄の帰還』第35話「ワルノリ」 ―――武闘大会初日  闘技場周辺は、朝早くから人でごった返している。内外には出店が並び、完全にお祭りムードだ。  会場となる闘技場の正式名称は、ガルディガルド記念武闘場。収容人数は6万人と、東京ドームを凌ぐキャパを誇る。ローマのコロッセオのような円形のスタジアムで、屋根はない。大会は雨天でも決行される。  自分は、念のためにと、ラド君が用意してくれた、白マント、白タイツ、白マスクにサングラスを着用して試合に臨む。拘束される可能性は

      • 死神ヒーラー*  第34話「お仕置き」

        第2章『英雄の帰還』第34話「お仕置き」 ―――翌日  昨晩の食堂でのゴタゴタは忘れて、今日も新しい一日の始まりだ!  今朝はまず、武闘大会へのエントリーのため、大会本部が置かれている闘技場へと出向いた。自分がエントリー用紙に記入をしていると、アビーがラド君に対して、『見てるだけなの、やっぱり、退屈かもぉ……。』と云うので、結局、自分とアビーの二人が出場することになった。もしものケースだってなくはないので、自分としてもアビーが出てくれるのは非常に有難い。  闘技場を後に

        • 死神ヒーラー*  第33話「ガルディガルド武闘大会」

          第2章『英雄の帰還』第33話「ガルディガルド武闘大会」 ―――マレッタ自由国へ通じる街道 ザァーーーーーーッ……  この日は、久しぶりの悪天候だ。もう、とっくに正午過ぎではあるのだが、空は厚い雲に覆われ、なんとも薄暗い。大粒の雨が馬車の屋根布や湖面を激しく打ちつけ、普段は心地の良いはずの風が、冷たく肌を刺す。この天気に全く気分が乗らないアビーは、馬車の中でスライムのように溶けている。 「陛下、見えてきましたよ。」  ラド君の声かけを受け、運転席に身を乗り出す。外を覗

        死神ヒーラー*  第36話「勇者は、もしかして……。」

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        • 死神ヒーラー*  第1章『死神の真実』
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          死神ヒーラー*  第32話「称号の出世」

          第2章『英雄の帰還』第32話「称号の出世」  その後、折角だったので、盗賊たちにはそのままスケープゴートになってもらった。  まず、全員を縄で街道沿いの木々に括り付ける。次に、イタ車の天井布を剥がして作った横断幕に、『正義の鉄槌!!死神一派成敗!!』と殴り書き、木間高くに掲げた。仕上げに、大傭兵セバス様の顔に死神と書き残すなど、各々がトドメのデコレーションをする。  果たして、身代わりとしての役割を全う出来たかどうかは一切不明であるが、みんな、非常に楽しそうに作業にあたって

          死神ヒーラー*  第32話「称号の出世」

          死神ヒーラー*  第31話「死神一派、登場!?」

          第2章『英雄の帰還』第31話「死神一派、登場!?」 ―――マレッタ自由国へと向かう馬車の中  侍大将との決闘の日から二日。今日は朝からカラっと晴れ、湖から吹く風は一層心地良く感じられる。昨晩は、小さな村の宿のベッドで熟睡できたので、戦いの疲れは残っていない。 「ラドルフぅ、マレッタ自由国はまだぁ??」 「まったく……。寝っ転がりながら、馬車の壁に足を伸ばして、あなたは本当にだらしがないですねぇ。陛下の御前ですよ?」  アビーは、もう退屈過ぎて死にそうといった様子だ。

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          死神ヒーラー*  第30話「炎剣のヴァーティゴ」

          第2章『英雄の帰還』第30話「炎剣のヴァーティゴ」  今の今まで、どう手加減をしようかとずっと考えていた。ただ、この男に対しては、どうやら無用の心配だったようだ。 「死神一派の底はもう知れたぞぉ!!お主たちは配下の者をやれぇ!!拙者は、此奴の首を討つ!!」 『おぉ~っ!!』  侍大将は、勇ましい言葉で一団を鼓舞する。 (……そうなんだよな。)  相手の気勢に、今、自分たちは戦場にいるのだと実感させられる。当然、やらなければやられてしまうのだ……。死神一派(仮)の大

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          死神ヒーラー*  第29話「果たし状」

          第2章『英雄の帰還』第29話「果たし状」  ローザリッヒは、湖畔に面した美しい街だ。マレッタ自由国やゴリン王国南部の都市と軍事都市ゲルガルドを結ぶ物流の中継地でもあるため、街の中心部はそれなりに賑わっている。 ―――ローザリッヒの湖畔 「でっかいなぁ。まるで海みたい。」  巨大な湖を前に思わず息を呑む。 「水も澄んでて、とても綺麗ですね。」 「ニホン最大の湖、ビワーです。湖北は魔族領と、湖南はマレッタ自由国と接しています。」 (ビワー湖か……。どこかで聞き覚えが

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          死神ヒーラー*  第28話「アスタリスク」

          第2章『英雄の帰還』第28話「アスタリスク」 ―――翌朝 「おはようございます。」  エレナに肩をゆすられ、目を覚ます。 「……う~ん、あぁ、おはよぅ。」 「コタローさん、お願いします!」 「……んっ?何を??」 「朝のお稽古です。」 「……えっ、やるの?」 「もちろんです。ワタシ以外、皆さん称号持ちなのに、サボってなんかいられませんから。」  本日から朝練再開のお達しだ。まったく、エレナの切り替えの早さと向上心の高さには、改めて驚かされる。  ……周りを

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          死神ヒーラー*  第27話「風の斧と炎の爪」

          第2章『英雄の帰還』第27話「風の斧と炎の爪」 コケコッコ~~ッ!!  両翼を大きく広げて、大型魔獣がこちらを威嚇してくる。 「あれは……。」  ヘビのような下半身を持つ、超大型のニワトリのような見てくれ、……コカトリスだ。自分が、臨戦態勢を取ろうとしたところ、ラド君は左手でそれを制す。 「陛下、ここは我々にお任せ下さい。」 「でもさぁ、大丈夫??」  相手はコカトリス2体である。クエスト難易度に換算すれば、恐らくは、“A”か“A+”だ。 「心配無用にございま

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          死神ヒーラー*  第26話「勇者とサイザー」

          第2章『英雄の帰還』第26話「勇者とサイザー」 ―――今からおよそ400年前  それは、この世界にまだ、“国”という大きな枠組みが存在する前の話です。 世界中の街々は、突如として現れた“大魔神”の影響により、大きな混乱の中にありました。 大魔神は月の上に自らの拠点を築き、無数の魔族を生み出します。そして、生み出された魔族たちは、ワープゲートを通って人々の住む地上へと降り立ち、次々と、街を火の海に変えていくのです。  そんな惨状を見かねたとある天使は、後世、“英雄”として

          死神ヒーラー*  第26話「勇者とサイザー」

          死神ヒーラー*  第25話「新たなる旅立ち」

          第1章『死神の真実』第25話「新たなる旅立ち」 「陛下っ!!本日は御旅のお供、お許し頂き、このラドルフ、誠に恐悦至極に存じますっ!!」  どこかで聞いたことのあるようなセリフと共に、青年は再び感極まり、涙ぐむ。  ……わずか20分足らずの間で、自分を取り巻く状況はすっかり変わってしまった。エルフ族の青年と猫耳獣人族の少女のゴリ押しのもと、何故か自分がシシド共和国の君主、サイザー様(仮)とやらに祭り上げられてしまったのだ。正直なところ、自分なんかを招き入れたところで、一体

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          死神ヒーラー*  第24話「サイザー様!?」

          第1章『死神の真実』第24話「サイザー様!?」 (“陛下”を“シシド共和国”へお連れするって、一体どういうことだ!?)  彼らの云っていることの意味が理解できず、当惑する。完全に、自分のことを誰かと人違いしていないだろうか??  こちらが口を開いてアホ面を向けていると、青年は、突然、涙ながらに謎の謝罪を始める。 「本当に、お迎えが遅くなり、なんとお詫びをしたら良いものか……。“死神”が現れたとの人族の噂を聞きつけまして、陛下を探しておりましたが、陛下が“黄泉の大鎌”によ

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          死神ヒーラー*  第23話「ロパンド脱出大作戦」

          第1章『死神の真実』第23話「ロパンド脱出大作戦」 「色々とすまん、スネイル。」 「んなこたぁ気にすんなよ、コタロー!」  ガッチリと握手を交わし、スネイルは宿を後にした。自分たちの絆が、以前にもまして強固になったのを感じる。  スネイルからは、ここが突き止められるのも時間の問題なので、今夜にもロパンドを出るべきだとアドバイスを受けた。つい先程から、ロパンドでは緊急厳戒体制が敷かれ始めたらしい。それに伴いスネイルも、今晩、関門において、夜間警備団の団長を務めることにな

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          死神ヒーラー*  第22話「指名手配書」

          第1章『死神の真実』第22話「指名手配書」 ボフンッ!! 「ハイハ~イ!」  何とも軽いノリの返事と共に、サリエル様がふと目の前に現れる。 (近くで見ると、結構タッパがあるんだなぁ……。)  自分もそれなりに長身ではあるが、それよりも高い。  降臨して早々ではあるが、サリエル様から先制パンチが飛んでくる。 「あのぉ、“セバスさん”? “どうでもいいような伝言”とは、一体なんのことでしょう?」 (げっ、マジかよ……。神界から聞いてたのか。) 「いやぁ、あのぉ、

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          死神ヒーラー*  第21話「大天使の伝言」

          第1章『死神の真実』第21話「大天使の伝言」 ―――冒険者ギルド ロパンド支部 支部長室 コンコン…… 「入りたまえ。」 ガチャ…… 「失礼します。……支部長、こちらを。」  ギルドの職員が一枚の紙を持って入室し、それを支部長へと手渡す。 「……そうか。下がりなさい。」 「はい、失礼します。」 バタン…… 「フゥ……、遂に、“これ”が届いてしまったか。」  支部長は受け取った紙を見つめながら、葉巻の煙を大きく吐き出す。 「……すまんね、セバコタロー君。

          死神ヒーラー*  第21話「大天使の伝言」