【オレの女神〜痛みといやし〜】

下記の曲はテーマ曲に選んでみました
(Sing it with me /JCクーパー)https://music.youtube.com/watch?v=UTFEr5jHcco&si=NzOAOWL5VX9nL5XX

オレの友人は、いつもどこかに痛みを感じている。
それは心の時もあるし、体の時もある。
激しい時もあるし、少しの時もある。

彼女は幼い頃から体が弱かった。小学の入学式は入院中だった。オレは同じクラスだった。オレには母親と手を繋ぐ入学式の写真があるが、彼女には無いのだろう。
内臓の病気で入退院を繰り返していた。
彼女いわく
「周りの入院中のお友だちの子供がボコボコ死んでいった。不条理だと思った」そうだ。

オレはその言葉が忘れられない。

「私はほんとは生きていちゃいけない人間で、みんなと一緒に死ななければいけないんだ…と思った」そうだ。

オレはその言葉が忘れられない。脳の忘れられない所に記憶したようだ。

戦時中でもあるまいし、いったいどこの世界に〈子供がボコボコ死んで当たり前〉の世界があるというのか。
そんな世界があってたまるかよ。
しかし彼女はそんな世界で幼少期を過ごしていた。
そりゃあ〈生きる意味〉くらい考えるだろう。
ずっと寝ていてやる事はないのだ。

彼女の〈いたみ〉を理解する事は出来ない。彼女の痛みの感じ方は彼女にしか分からないからだ。

だが、それは時にモルヒネ注射が必要な程度の痛みだったと言う。

その病気はきっと彼女のために、彼女になるために、彼女が自分を理解するために、必要なモノなのだろう。

彼女は食べてはいけない物が沢山ある。
アルコールも動物性タンパク質も油脂成分もダメだ。分解酵素のもんだいらしい。
もう食べる物は〈草〉しか残らないだろう。
彼女の体は強制的に彼女をミーガン〈強度の菜食主義者〉にした。

子供の頃からずっとだ。最近知った。こんなに付き合い長いのに。そう言えば飲みに行った時ウーロン茶だったな。

こうして彼女は40年以上、ずっと何かしらの痛みを継続的に感じている。体の調子が良かった時代もあったようだが…。

彼女はそれを友人のオレにも悟らせなかった。
オレは彼女の〈痛がりかた〉が、とてもチャーミングだと思った。

ともかく、継続的な痛みは、継続的な癒やしを求める。

彼女は子供の頃から絵が好きだった。年賀状に描かれた挿し絵はとてもじょうずだった。
その行為は、長年のあいだ彼女をいやし続けている。

「病気」が先か「絵」が先かは分からない。卵とニワトリの話しだ。

彼女はライアーという楽器がとても好きだ。彼女はそれを使って他人や自分を癒している。

「傷」が先か「楽器」が先かは分からない。

オレは彼女の病気をとても憎んでいる。とても呪っている。
スピリチュアル的にはダメな事だけど、しかたない。 コレも〈オレ〉だ。
憎しみも呪いも、しょせんは、ただの愛だ。
強い憎しみも、所詮は、タダの強い愛だ。
どっちにしろ…なんだから、しかたない。

とにかく、オレが女神とあがめる友人はそういう人だ。

彼女は、15年ほど前にオレにスピリチュアルの世界の事を教えてくれたスピの師匠だ。送ってもらった本には「バシャール 」と書いてあった。
人生の挫折を味わっている時、それに書かれた文字に救われた。
2年ほど前に自殺を止めてくれたのも彼女だ。ただ大声で泣くオレに、ずっと「うんうん」と相づちを打っていてくれた。夜中の4時の電話でだ。
たまたまかも知れないが、命を救われたのは事実だ。
すごい人だと改めて思う。

そして彼女は「元気になってよかったね」と言って涙を流すことの出来る人間だ。
それは普通のことじゃない気がする。


オレは思う。
オレは彼女のためにココにいて、彼女はオレのためにソコにいた。

きっとどんな人間関係でも、それはそうなのだろう。

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