タイトルbs

【本文公開】『バスケセンスが身につく88の発想』◆part2

「センスがある=天賦の才」は完全なる思い込み。誰でも実戦に活かせる「バスケセンス」は身につけることができる!

 本書『バスケセンスが身につく88の発想』は、初心者を含めたすべてのバスケットボールプレーヤーやコーチ、保護者、そして観戦者(ファン)までを対象に、「制限」から解放された「自由」な発想をするためのヒントとして、世界のトップ選手が見せる“センスあふれるプレー”を解説。計88の思考&実践方法を紹介していきます。
 読み終えたあと、読者の皆さんが「制限にとらわれることなく自由な発想をしたい」「制限にとらわれずに自由な発想をさせたい」と思ってもらえれば幸いです。

 多くの現役選手、指導者、保護者の方々から好評をいただき、感謝の意を込めて、本書の中身を一部公開していきます。第2回は、現在NBAサマーリーグで奮闘中の「比江島慎」選手です。明日から使えるセンスを高める方法の数々、ぜひ実践してみてください。

書籍目次

【ドリブルのリズムを変える】——比江島慎



ドリブルは強く低く

 敵のプレーヤーが接近している場面では、「ドリブルは強く、低くつきなさい」という指導がなされます。ドリブルを強く、低くつくことで、ボールが手から離れている時間と距離が短くなり、カットされる危険性が低くなるためです。また、強くつくことでボールが跳ね上がってくる勢いが増し、ボールが手に強く吸いつきコントロールしやすくなります。
 ハンドボールと異なり、バスケットボールではドリブル時にボールの上からだけではなく、ボールの側面に手を触れて操作することが認められています。ですから、ボールが手に吸いついてコントロールしやすくなることは、ボール操作において大切な要素になります。


リズムの変化

 こうした理由から、ドリブルの指導場面では“強さ”と“高さ”を強調して指導されますが、日本代表でも活躍する国内トッププレーヤーの比江島が行うドリブルには、リズムの変化が用いられます。「トン・トン・トン」という一定のリズムでつかれるドリブルに対しては、ディフェンス側もリズムを合わせやすくなります。しかし、比江島のドリブルのリズムは一定ではなく、「トン・トトン」であったり、「トーン・ト・トン」であったりと独特のリズムで行います。
 特に、足の幅のスタンス内でクロスオーバーを「トトン」と繰り返すドリブルは比江島特有のもの。このリズムの変化があるドリブルに合わせることができずにいるディフェンスプレーヤーを、比江島はあっさりとかわしてしまうのです。


リズムの主導権争い

 話が少しバスケットボールから離れてしまいますが、リズム研究によって、人間は外部のリズミックな情報(音や他者の動きなど)に知らず知らずのうちに引き込まれ、自身の意図しない運動を行ってしまうという特性があることがわかっています。
 これをバスケットボールに置き換えて考えると、オフェンスプレーヤーのドリブルやステップのリズムを変える動き、ディフェンスプレーヤーの間合いを詰める動きなどは、お互いにリズムの主導権を奪い合っていると見ることができます。そういう意味で、比江島のように独特なリズムでプレーするプレーヤーを1on1で止めることは難しいのかもしれません。


 読んで頂きありがとうございました。第2回の掲載はここまでになります。次回の更新をお楽しみにお待ちください。
 88のプレーを解説する本書籍では、普段見過ごしがちなプレーや気にも留めないようなプレーにも焦点を当て、掘り下げることで、その裏側に隠された意味や効果を解説しております。
 気になった方ぜひ、本書籍をお手に取って頂ければと思います。

part1 【ジャンプ後のオプションを持つ】——マイケル・ジョーダン
part2 【ドリブルのリズムを変える】——比江島慎
part3 【テクニックの目的を新たに見いだす】——ジェームズ・ハーデン
part4 【パスコースを開通させる】ーーマジック・ジョンソン
special 【イーブンナンバーを攻め切る】——ラッセル・ウエストブルック
part5 【軽く楽に放てる感覚】ーーステフィン・カリー
part6 【得意なプレーを伸ばす】——ニック・ファジーカス
part7 【上半身を下半身で調整してショット】——コービー・ブライアント
part8 【新たなテクニックを創造する】——ジェイソン・ウィリアムス
最終回 【加速するスペースを作る】——レブロン・ジェームズ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?