持続可能な社会を目指そう。
豊かな自然を守る。子ども達が安心して暮らせる環境を。
そうした理想を掲げながらも、我々人間は自国の利益や他国との競争によって一歩踏み出せない。そもそも、どこかの国に属している時点で、客観的に地球環境のことを考えることは不可能なのではないか？

そう考えたT博士は、生涯をかけて「地球メガネ」を開発した。

このメガネをかければ、地球の目線を得ることができる。
人間の利益などに囚われることなく、
本当に地球にとってなにをすべきなのかが分かるという。

持続可能な社会を本気で目指しているＴ博士は地球メガネをかけた。
「地球を救う画期的な方法を考えるんだ」と妻に言い残し、自室に閉じこもった。しかし次の日、また次の日も彼は部屋から出てこなかった。

妻が部屋に入ると、T博士は地球メガネをかけたまま自ら命を絶っていた。
そして走り書きで「人間×」と書かれたメモを残していた。

地球にとって一番、害のある存在は…

#ショートショートnote杯