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私と温泉と湯治④【渋温泉~栃尾又温泉 思い出の鄙び宿】

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 渋温泉を出た後、新潟県に入り栃尾又温泉「自在館」に投宿しています。言わずと知れた日本の秘湯を代表する御宿です。こちらは素泊り不可なので、2食付で入っています。旅に出て初めて朝夕を宿で食べたことになります。

 この御宿は「日本秘湯を守る会」に所属していて、私は10個溜まったスタンプ帳を使って投宿しました。全国各地に対象の宿があり、スタンプが溜まると宿泊したうちの1軒をタダで泊まれます。

 
 渋温泉から栃尾又まで、この頃の体力で一息で運転ができるはずがありません。途中どこかの立ち寄り湯で休憩しているはずですが、全く記憶にないです。ルート的に考えられるとすれば、野沢温泉か松之山温泉、あるいは六日町温泉の「龍気別館」です。

 龍気別館は現在休業中です。いつからか正確に覚えていませんが、感染病が流行してからのはず。何度か日帰りで立ち寄っていますが、お湯も施設も印象深いものでした。

 例によって老朽化が激しい建物。入口左に食堂兼大広間があり、カーペットに座布団を並べて横になっている地元の方をいつも見ました。六日町周辺にはいくつも浴場があります。近所の方が日常的に利用するお湯が粗悪なはずがありません。

 麺類や丼物も格安でした。素泊りは4千円、そして驚愕の2食付5千円という価格でした。1食500円という計算です。

 表現は悪いですが、腐っても魚沼のコシヒカリのはず(食ってないのでわかりませんが)。想像の範囲を出ませんが、主菜に副菜、漬物に味噌汁という具合だったのではと予想されます。

 何度も過去に記事していますが、私は旅館の豪華な食事が口に合いません。蕎麦やラーメン、カツ丼のデカ盛りは食べれますが、色々なものが一度に食膳に並んでしまうと何故かダメになるのです。

 煮物や焼き物、揚げ物など、温かい物が徐々に冷めていくのも見るに堪えません。たぶん素養がそもそも卑しいのだと思います。
 今年春に東北で湯治した際、青森県の三沢で寄った「八甲ラジウム温泉」もドライブインと旅館を併設しており、看板に2食付4,500円と掲げてありました。今やっているのかは分かりませんが、想像しただけでゾクゾクします。

 写真も記録もしていないので記憶の範疇ですが、龍気別館の湯には投石が入っており、発汗が凄まじかったです。お休み処で土着に交じり横になって、「こんな湯が私の地元にもあればいいのに」と、思っていました。

 休業中とのことですが、再開の知らせを聞くことはあるでしょうか。
昨今、このまま廃業になるケースも十分に考えられます。“いつか泊まろう”とグズグズしている間になくなってしまう最悪のパターン。本当になくなったとしたら、私は一段と深い悲しみと後悔に苛まれるはずです。

 別館というだけあって「本館」もあります。こちらは高級志向の御宿で、風呂の種類も豊富。薬石風呂や、漢方風呂などありましたが、私の好みには合いませんでした。もう叶わないかも知れませんが、仮に同じ値段で宿泊できたとしても私は迷わず前者に泊まります。
 

 栃尾又温泉「自在館」は、部屋も湯も食事も文句の付けようがないほど素晴らしいです。お香の匂いと無圧のマットレスも良いです。ですが私の湯治は年々先鋭化が止まらず、宿泊の候補としては順位を下げています。

 一年を通し最も値が張るGWに、税込2千円のボロ宿で雨露を凌いでいた自分です。源泉はかけ流し、部屋も純和室、何の不満もありませんでした。
 食事は当然自炊ですが、一等米を恐山の湧水で炊き上げ、ご当地名物「八幡平ポーク」や「大鰐温泉もやし」を食べていました。「美味しいな」と思って食べていました。

 スタッフの出迎えや綺麗な内装。豪華な食事だと気後れしてしまい、落ち着かなくなってしまいました。御宿の好悪とイコールではありませんが、これまで何度も行っているはずの自在館の写真も、外観と食事、それぞれ一枚しか出て来ません。

 大量に出てくるのは、隣町にある一泊3千円台の「五十沢温泉ゆもとかん(旧館)」と、同市にあるヘビーな外観と油臭の源泉「大沢山温泉 幽谷荘」のものばかりです。

つづく
                          令和4年10月14日

自在館の一汁四菜プラン
自在館 素晴らしい御宿です
復活してほしい龍気別館
休業を聞いてから見に行きました
沢山出てくる写真シリーズ
五十沢温泉ゆもとかん(旧館)
旧館の内湯
何枚撮っても一緒ですが、
裏から見てみましょう
大沢山温泉 幽谷荘
う~ん 男前ですね
男は黙って~
「油臭」

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