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私と温泉と湯治⑪【勘七湯~いさぜん旅館 ネコのいる宿】

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 なかやま山荘での宿泊は大晦日の1泊のみでした。この夜の内に、元日の宿を探します。一部屋キャンセルで空いたのか、東鳴子の「勘七湯」が連泊で取れました。こちらは以前立ち寄りで来たことがありました。正月ということで多少値段は色が付いていましたが、致し方ありません。

 御主人がとても温雅で、且つ温泉のことになると熱くその情熱を語ってくれます。私が興味深げに色々と質問しても、嫌な顔一つせず全てレシーブしてくれました。


 東鳴子の辺りは黒湯が出ます。2つの源泉と、温度の異なる浴槽が3つあり、一番温かった「不老泉」という湯に長くいたと記憶しています。独特な植物性の油の様な香りに包まれ、極寒の正月の夜を過ごしました。

 
 3が日が過ぎると、宿泊料金も落ち着いてきました。
私は「勘七湯」から隣にある「いさぜん旅館」にスイッチしています。この両宿の距離は100mほどしか離れていません、不自然な引越しです。

 思い当たる節が一つだけありました。
「いさぜん旅館」には愛想の良いネコが3匹います。自分でも最近気付きましたが、私は相当な猫好きです。本編の記事を作成するにあたり、過去のフォトデータを見返しましたが、温泉街のネコの写真が大量に出てきます。

 
 南伊豆にある「千代田屋旅館」で湯治をした際のこと。
ここにはまんまるの「さくら」というネコがいました。この子は一日の16時間寝ています。私は別館の自炊棟に泊まり、1日4回本館にある風呂に行きました。

 本館でさくらを探して歩きますが、いつも炬燵の中で寝ているため、遭遇する可能性は4回に1回。全く会えない日もありました。たまに本館で見かけると目をハートマークにして追い回していました。

 この宿はヤギもいるので、さくらに遭遇できなかった時はヤギに慰めてもらっていました。完全に動物に弄ばれていた1週間でした。

 
 いさぜん旅館は1泊のみ。こちらも勘七湯同様に黒湯が出ていて、湯のあたりが優しく長湯が出来ます。とにかく風呂に入ってはネコと戯れるを繰り返し過ごしていました。

 こちらのネコも温泉好きには大変よく知られていますが、駐車場に立っているだけで存在に気付くとズンズン寄ってきます。全身を擦り付けるように足元にスリスリと。何という愛くるしいさ、この頃の私の弱った心を救ってくれたのも間違いなさそうです。 

 東鳴子での食事は、朝はコンビニ、夜は鳴子温泉駅前の「ゑがほ食堂」と宿の向かいにある「食堂千両」の2軒で済ませていました。出発して1ヵ月、食欲は戻って来ていました。

 途中から何となく気付いていましたが、明らかにベルトがキツくなり始めました。とは言えこの旅で宿の2食付きは「栃尾又温泉 自在館」と「なかやま山荘」あとは「米と卵と漬物と味噌汁」という三春屋の湯治プランです。
 基本は1日2食、コンビニのご飯と鳴子の食堂で麵類を食べていた程度です。1日4回風呂で汗を流しているので、身体は絞れてもおかしくありません。ですが旅を終えた後、自宅の体重計に乗ると何と10キロも増量していたのです。

 昔読んだ本を思い出しました。キックボクサーの立嶋篤史選手の自伝です。立嶋選手は90年代に大活躍された選手で、「最強の高校生」「カリスマ」とも呼ばれ、日本キックボクシング界最初の1千万円プレーヤーです。

 成長の盛りの頃に、2週間のうちに13キロもの減量をし試合に臨みました。リミットの51キロをクリアし、計量の後に昼食(焼肉)を摂ったそうです。試合を終え自宅の体重計に乗ると、8キロ増えていたそうです。その翌日にはプラス3キロ、翌々日にも2キロ増えたそうです。

 減量の最後の3日間は絶食だったと言いいます。恐らく身体は極限の状態。たった一食の食事を、身体は全力で肥やそうとさせたのでしょう。

 全く事情は違いますが、確かに私は出発時点で心身共にボロボロでした。激痛からメンタルも弱り果て、身体は食べた栄養すら受け付けなかったようです。数年間かけて20キロも落ちた私の体重。
 湯治期間の1ヵ月半、暴飲暴食はしていません。私の身体に必要なエネルギーを身体は蓄えたのです。心と体が強く相互作用していることが分かったエピソードです。

 いさぜん旅館の後は、この旅最後の宿「高東旅館」へ向かいました。

つづく
                          令和4年10月21日               

 家に帰って体重計に乗ってびっくり。59kgまで体重は戻っていた。”8kgも食ってないぞ”と思ったけど、間違いなく針は59キロを指していた。計量後に食べたとはいえ、その後、試合をしたというのに。試合後はほとんど飲み食いしていないのに。

 翌日には62kg。さらに翌々日には64kgに戻っていた。恐るべしリバウンド。

立嶋篤史氏「ざまぁみろ!」より引用
いさぜん旅館
黒湯 ラジウム含有
いさぜんさんのネコ
ズンズン寄ってくるのです
駅前のゑがほ食堂
山菜きのこそば
南伊豆 千代田屋旅館にいた「さくら」
毎日この子を追いかけ回していました
老神温泉で見た光景 10匹くらいいます
高東旅館からおはようございます

<次回はこちら>


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