見出し画像

Q1米国税理士で外資コンサルに行けるか。Q2東大落ち早稲田で5大商社行けるか

今回は、質問に答えるコーナーです。

いつもはYouTube動画で答えているのですが、うちの編集担当(管理人ちゃん)が忙しく、動画がいつになるかわからないので、今回はサクッとnoteで答えようではないかということになりました。

全部まとめて答えようと思ったんですが、いただいた質問のテーマと内容の濃さがバラバラだったので、今回は「キャリアに関する質問」だけピックアップして、2つだけ答えていきます。




質問1 米国税理士で外資コンサル行けるか

【質問概要】

しろくま先生
いつも楽しくYouTubeを拝見しております。
米国税理士試験の配信に感化されTACへ申し込み勉強を進めております。
うまくいけば今年中に合格できるかもしれません。
質問は米国税理士資格を活かして転職できるかについてです。
狙っている所はトーマツの米国税務サービス アソシエイトです。
私は39歳、経理職2年目、大学院卒、主な資格はtoeic820点と簿記2級取得です。
懸念事項は年齢、職種経験がないこと、英語力です。
ご教授頂けたら幸いです。
よろしくお願いいたします。

一部抜粋

まず、米国税理士に関する私の実体験をお話しますと、私は米国税理士を完全な趣味で取得しましたので、転職市場でどれだけ有益なのかについては、ほとんど検証できておりません。

合格後に試しに転職サイトに登録してみたのですが、そのサイトでは、英語と税務ができると勘違いした素人エージェントたちから、CFO関連の案件を大量に送りつけられることになりました。
一部の企業もなぜか勘違いしたみたいで、IPOのための経営管理部長になってくれないかとか、CFO候補になってほしいとか、ピントがズレているスカウトがいくつか来ました。
完全に「税理士」という単語に引っ張られた内容のスカウトメールだったので、残念な内容でした。

これらはすべて、人の経歴をろくに見もせずにスカウトを送ってきている人たちです。
ゆえに、ほとんど価値がないスカウトです。

それ以外の変化は特にないので、少なくとも私の場合は、米国税理士だけでは転職市場で大した評価は受けていないです。
それに、英語ができるといっても、米国税理士で得られる英語能力はリーディング能力だけですから、本格的な国際取引等で役に立つレベルの英語力ではありません。
したがって、米国税理士はただのおまけみたいなものです。
米国公認会計士ほどの評価も受けませんし、仮に間違って高い評価を受けてしまうと本人が困るだけという感じです。


続いて、具体的な質問内容についてですが、トーマツの米国税務サービスのアソシエイトということは、トーマツの税理士法人ですよね。
ジョブディスクリプション(JD)でいうと以下の職種に近いポジションかなと思います。


私は親会社のトーマツ本体には知り合いがいるんですが、税理士法人の方は知り合いがいないので、採用されるかどうかについてはなんともいえないところです。

ただ、上記JDを見る限り、相当ハードルが高い職種だなと思います。
そのため、ご自身で認識しているとおり、採用される可能性はかなり低いと言わざるを得ないと思います。

そもそもトーマツは米国税理士資格より米国公認会計士資格を重視していますので、米国税理士だけだと弱いです。
仮に米国税務の実務経験が豊富なら可能性もあるのですが、日本での経理経験(2年)だけだと全く足りないと判断されると思います。
さらに、年齢を考えると本来はアソシエイトという年齢ではないので、管理職の皆さんからすると使いづらいです。
そのため、総合的に見て他のもっと若い候補者の方を優先して採用することになると思います。

また、資格だけを見ると、英語力及び会計知識も不足していると思いますので、その点も厳しく評価されるだろうと思われます。
よって、採用される可能性は低いと思います。

ただ、今後米国公認会計士を取得して、かつ、デロイトの役職者の知り合いを作ることができれば、採用される可能性もあるかもしれないです。
今勤めている会社で国際税務関連の業務があるなら尚良しです。

いずれにしても、未来は誰にもわからないので、可能性を広げるためにも、勉強や資格取得を積み重ねていくべきだと思います。

あと、これは余計なお世話なんですけど、私はデロイトに勤めようとは思わないですね……
もちろん私ごときのレベルで採用されることはないのですが、仮に今自分が25歳で、東大出てて、米国公認会計士も持っていて、海外での税務実務経験も数年あるという状況であっても行かないと思います。
デロイトの税理士法人は、かなりの激務で有名なところなので、内情をよく調べたうえで、40歳という年齢で行くところなのかということをよく考えたほうが良いと思います。

私見としては、外資コンサルで多少高い報酬を得て健康を失うより、日本のゆるい会社でそこそこの年収を長く稼ぎ続ける方が合理的だと思っています。
それに、外資コンサルやBIG4などに行きたい理由って、自己顕示欲や見栄以外に何がありますか?

勉強は自分でできますから、別に外資コンサルに行かなくても知識は得られます。
実務経験も外資コンサルである必要はないです。
長期的視点でみると総所得金額もあまり変わらないことが多いのに、わざわざ短期的な苦労をしにいく理由はないのではと思います。
むしろ、ゆるい日本の会社で「時間」という資産を手にして、それを勉強に投資して、最終的に株式投資で資産を増やし続けた方が有利とすら思っています。

一回しかない人生なので、よく考えてください。
40歳でやるべきことなのかどうか、確率的に現実的なのかどうか、おそらくいろいろと自分の現状や可能性の限界について気づいているから私に聞いているのだろうと思うので、その直感を大切にしてください。
客観的に見ると、別の道から成功を目指したほうが良いと思います。



質問2 東大落ち早稲田でも5大商社に行けるか

【質問概要】

一浪で東大落ちて早稲田法に進学した者です。
五大商社を目指しているのですが、学歴的に不利ですか?
またそれらを目指す上で学生時代に取ったほうがいい資格ややっておくべき経験などがございましたらご教授お願いしたいです。

まるっと掲載

「一浪で東大落ちて」という部分は通常は入れない情報(質問の趣旨からすると不要な情報)だと思うのと、5大商社に勤めたことがない私なんぞに聞いてきているという時点で、たぶん本気で5大商社を狙っている子ではないのだろうと思っています。

本気で5大商社に行きたい人は、商社に勤めている先輩に聞くか、または外資就活ドットコムなどに登録して情報収集するでしょう。
最新の情報を得る方が間違いなく有益なので。
そのうえでインターンに選ばれるための準備とか、テストの準備、面接の準備をするはずです。

私なんぞに聞いてくるということは、質問の本質的な部分は、この心のモヤモヤをどうしたらいいんだという趣旨なのかなと思うので、それを前提にして答えていきましょう。

まず、一狼してまで東大を目指して、ダメで、早稲田に行ったという時点で、受験戦争では完全に敗北しています。
そのせいで、未だに東大落ちにコンプレックスを抱いているのではないでしょうか。
少なくともコンプレックスゼロはありえないでしょう。

東大に行けなかったという不利益、デメリットは、経済的意味でいうと計り知れないものがあって、一生を左右するくらいの損失が出ることがあります。
今後一生をかけて、そのデメリットを痛感する瞬間が何百回と訪れると思いますし、劣等感や敗北感を何度も味わうことになると思います。
これは本人もすでにうっすら気づいていることでしょう。

その損失を何とかして挽回するために、就活で一発逆転して5大商社に入って、イーブンにしよう……という風に考えるのが普通です。
実際毎年のようにそういう人たちが量産されます。
その他にも、法学部であれば予備試験で一発逆転だ!というケースも多いです。
そして、ほとんどの人が再度完全に敗北します。

多くの若手を見てきて思うのですが、自己顕示欲や承認欲求をこじらせて選んだ道で上手くいくことはほとんどないです。
その程度の情熱では遅かれ早かれ心が折れますし、失敗します。
そしてよりみっともない人になります。

そもそも、本人が思っているほど、他人は他人の学歴に興味なんてないのです。
早稲田卒だろうが、東大落ち早稲田卒だろうが、他人からするとどっちも同じですし、どうでもいいことです。

むしろ早慶には、そこそこな割合で東大落ちがいて、そういう人たちの何割かは、30歳になっても、40歳になっても、18歳の頃の受験の話をし続けます。
「あと1点で東大受かってた」とか「あと1年あれば受かったけど親が許してくれなかった」とか「当日は体調不良だったから落ちた」とか、30超えても周りに言い訳を聴かせ続けるのです。

すでに何年も前に終わったことを引きずり続けて、聞いてもないのに語り続けるおっさんたちに対して、多くの人が嫌悪感や恥ずかしさ、みっともなさを感じます。
質問者さんがそういうみっともない大人にならないようにするためにも、できる限り早くコンプレックスから卒業した方が良いです。
そのためにも、今後一生「東大を受けた」という事実を消し去った方が良いと思います。
よほど根掘り葉掘り聞いてくる人以外には、語らないようにしましょう。

そして、できる限り早く自分の欲求と向き合ったほうが良いと思います。
コンプレックスや執着というのは、自分の価値観を歪めてしまうので、早く捨ててしまって、本質的な欲求と向き合う時間を確保すべきです。

そのためにもまずは受験時点での負けを認めて、受け入れて、今あるカードを基礎として、自分が本当にやりたいこと、実現したいことを考え抜くべきだろうと思います。
その熟考の結果が5大商社になる確率はかなり低い(合理的でもない)ので、今一度よく考えてみましょう。

一方で、熟考の結果やっぱ5大商社のどれかに行きたいということであれば、それでもいいです。
その場合に早稲田に行っていることが不利になるのかというと、そうでもないというのが実情かなと思います。
賢くないことで有名な学部ならまだしも、法学部であればそこまで低評価もされないでしょう。

それに、5大商社レベルになると、面接までこぎつけている人のほとんどが高学歴なので、学歴なんて逆に気にしないです。
5大商社レベルになると、学歴なんてあって当たり前の世界なので、純粋に面接での頭の回転速度や質問の鋭さなどを見ていると思います。
したがって、東大だろうが早稲田だろうが、どうでも良い要素と思っていいです。

詳しく計算したわけではないですが、5大商社に採用されている人数でいうと、最も多いのは慶應で、2位が早稲田か東大だろうと思います。
なので、別に不利になるわけでもないし、有利になるわけでもないというどうでもいい要素です。


次に、学生時代に取っておくべきものとか、やっておくべきことについて話そうかなと思います。

5大商社を目指す上でも重要なことだと思いますが、前述のとおり、まずは自分の本質的な欲求と向き合いましょう。

心の奥底で何を望んでいるのか、どうなれば幸せなのかを考えてください。

一般的な総合商社の人たちの姿が、本当にあなたが望む未来ですか。

どれくらいの時間働いているか、どれくらいの年収を得て、それを何に使っているか、なぜそういうお金の使い方をするのか、30代や40代の先輩たちはどうか、どういう人と結婚して、どういう家庭を築いて、どういう心理状態なのか。。。
いろいろ調べてみてください。
少なくとも私から見ると、総合商社マンの知り合いの半数以上は幸せとは程遠いところにいるように見えます。

世間では総合商社の良いところにばかりに着目して、良いところだけを外部に発信しますが、内実は本当にそうなのでしょうか。
これは外資コンサルでも同様です。
人生をかけるだけの価値があるのかと私は疑問に思います。

狭き門をくぐり抜けて、苦労してやっとたどり着いた先で現実を知ると、かなり無駄な時間を過ごすことになります。
様々な事例を研究して、客観的に分析してください。
自分の欲求に合致しているかどうかをよく考えてください。


ただ、学生だと思考力や経験が足りずに、自分のやりたいことが何なのかわからなくなることが多くあります。
いくら考えても見つからんということもあるでしょう。

その場合は仕方ないので、よりお金が稼げそうで、かつ、将来の選択肢が増えそうな活動を行いましょう

法学部であれば、司法試験予備試験、司法試験などが選択肢に入ってきます。
予備試験に合格する可能性は低いですが、それでも5大商社に入るよりは可能性があると思います。
それに、予備試験の勉強を本気でやっておけば、法律という学問を比較的高いレベルで修めることができます。
その学力は後々間違いなくプラスに作用しますし、将来の選択肢も増やしてくれます。

仮に合格できずにサラリーマンになる場合でも、法律を知っておいて損はないので、徹底的に学んでおくべきです。
現実的な問題として、早稲田法卒なのに法律わかってない人というのは、実務の世界でもかなり恥ずかしい人です。
周りの人から「4年間何やってたの?」と思われるような大人になるとかなり痛いので、最低限の法学力は身につけておきましょう。
そのためにも、司法試験予備試験の勉強をしておくのは有益だと思います。

さらにいうと、司法試験予備試験の勉強を本気でやっておけば、ロースクールの入試がめちゃくちゃ簡単に思えます。
そのため、司法試験予備試験の勉強がそのまま、就活で総合商社に受からなかった場合のリスクヘッジになり得ます。
私だったら早稲田ローには行かず、東大・京大・一橋・慶應(全額免除を取りに行く)のいずれかに行きます。
これでさらに学歴が更新されるので、学部就活で総合商社すべてに落ちても大した損失は出ません。

今は司法試験にかなり受かりやすくなっているので、あえて司法試験を受けて、弁護士資格を得たうえで総合商社を狙うというのもありかもしれません。
中途半端な弁護士事務所で安くこき使われるより、総合商社の方が待遇も良いので。
他にも、ロースクール新卒で普通に就活するのもありです。
これも一定数いて、慶應や東大ローから超有名企業に内定をもらっている子達も何人もいます。


もう一つオススメなのが、英語です。
ここでいう英語は、単なる英語ではなく、Legal English(法律英語)の方です。

TOEICももちろんやっておいた方がいいと思うのですが、TOEICの点数が伸びたからと言って、実務で役立つ英語かと言われるとかなり怪しいです。
私がもし今の時点で大学1年生なら、まずはTOEICをやって、860点超えた時点でTOEICの勉強を控えて、Legal Englishの勉強に切り替えます。

そして手当たり次第に英文契約書に関する書籍を読みまくって、最低限英文契約書の読解ができるレベルにします。
そのうえで、主要国のコモンローに関する勉強を進めて、法的論点を整理し、英文契約書の編集までできるように鍛え上げます。
もっと時間に余裕があるなら、ゼロから英文契約書を作れるようにライティングの勉強をするでしょうし、アメリカ法、イギリス法、東南アジアビジネス法、オーストラリア法の基礎を学んでおきます。

国際法ができる人材は極めて少なく、日本では報酬も高くなりやすい傾向があるので、お金も稼ぎやすいです。
それに、英語ができると就職先が世界中に広がるので、商社以外の良い選択肢が沢山得られます。


最後に、MBAまたは院進も視野に入れます。
早稲田法を卒業後、まずは慶應MBAまたは早稲田MBA(学部から受験できるかはわからない)を視野に入れます。
早慶のMBAは極めて評価が高いので、若くして卒業しておけばかなり有利に就活を進められます。

もう一つの選択肢として、東大院も狙います。
東大院は研究科によって難易度が全然違うので一概には言えませんが、仮に法学政治学研究科に受かるのなら大したものです。
就活の選択肢も一気に広がるでしょうし、院生のうちに司法試験予備試験を取るのもありだと思うので、そうなればより選択肢が広がります。


以上のように、若いといろんな選択肢があるので、よく考えてベストな選択をしてください。
大学生時代はたった4年しかないので、ボーッとしていたらあっという間に終わります。

自分のやりたいことや欲求をよく分析して、その欲求に最も近い選択肢を選んで頑張ってください。
応援しております。



【余談】

こっからはただの余談なんですが、今回のキャリアの相談に共通している点は、自分の本当の幸せをよくわかっていない感じの質問という点です。

なぜその道を選んだのか、なぜそうしたいのかという点が質問文で語られていないので、おそらく対外的な見え方とか、自己顕示欲・承認欲求が邪魔をして選ばされているのだろうと思われます。
もしくは様々な現実をよく分析できていないかです。

徹底的な調査を重ねた上で、情熱を持ってその道を選んだ人というのは、質問文にその熱が含まれるんですよね。
何が何でも叶えるつもりだという熱が入るものです。

今回の質問からは、そういう熱がほぼ感じられなかったので、双方の質問者に「もう一度よく考えて」というメッセージを含めました。

ただ、偉そうに言ってますが、私も若い頃は自分のやりたいことが明確には見えていませんでした。
実は20歳の頃にはすでに薄々と感じてはいたのですが、言葉に出すのが憚れる内容だったのです。

今なら別に言えるので言います。
私は自分のやりたくないことをやらされることが虫酸が走るほど嫌いです。
好きでもない仕事に自分の時間を奪われること、アホな上司に非効率的な命令をされること、無能な部下の面倒を見続けること、好きでもない経営者のために人生を浪費すること、すべて嫌いです。
サラリーマンに全く向いていない社会不適合者です。

私の理想の状態、幸せな状態というものを言語化すると、自由そのものです。

働かなくても良いし、働いてもいい、働くとしても好きな仕事を選んでいい、資産は十分にある、何もしなくても利息や配当だけで食っていける、何時に起きてもいい、どこに住んでもいい、何時に仕事をしてもいいし、いつ仕事を終えてもいい、途中で遊びに行ってもいい………

そういう我儘を押し通せる状態が自由です。

私の本質的欲求はそこにあるので、仕事はただの資産形成の手段でしかありません。
比較的短い時間で、楽に、ストレス無く、ある程度稼げるならそれでいいです。
ただし、自分の自由な時間が多く確保できる職場が絶対条件です。

そういう職場なら余った時間を勉強に投資できるので、そこで得た知識を活用して株式投資で更に稼ぐことができます。
労働所得だけで稼げる金額はたかが知れているので、最初から期待していませんし、1000万円以上になってくると労働時間も長くなる傾向があるのでむしろその年収以上の職種を避けてすらいます。

あくまでも最終ゴールは自由になることなので、それを実現するために20年近くかけてコツコツと知識と資産を積み重ねてきました。
環境も少しずつ整えて、やっと最近自由に近い状態に至りつつあります。

つまり、一般的な人とベクトルが異なる人間です。
すでに終わっている人間と言ってもいいと思います。
私は社会に上手く馴染めなかったやつなので。

だから、質問者の皆さんは、そういう社会不適合者に質問をしているのだということを知っておいてください。
普通のサラリーマン(むしろ質問者の皆さんは普通より優秀な人たちが多い)として生きていける立派な人が、こういう社会不適合者に質問をしているという構図のおかしさを自覚してください。

よって、ここで書かれている内容は、全く参考にならない可能性が高いです。



【質問フォーム】

noteで答えるか動画で答えるかは管理人ちゃん次第


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?