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フィンランドで仕事探しーワーホリ滞在者向け

一応続きものの記事です。前回の記事を読んでいない方は先に読まれることをおすすめします。


前回の記事では仕事探しの難しさを多方面から見てもらえるよう、知ってもらいたい情報を載せた現実的な内容の記事となっています。これからフィンランドに行く方や仕事を探している方を応援するには非情な内容になってしまいました。

少しでも前向きに希望をもって仕事探しに取り組んでもらえるよう、今回この記事では自分の経験や周りからの情報を元に「それでも仕事を見つけるにはどうしたらいいのか」について考えを書いていきたいと思います。


【注意】
この記事はあくまでも「自分はこう思う」といった意見です。
記事内容が全ての事象において正しいという保証できません。(状況や場合によっては間違った情報ともなり得るということです。)

またこの記事を読んで実行したとしても仕事が見つかる保証はできませんし、この記事が元でトラブルが起きた場合責任を負うことはできません。
最終判断は自己責任でお願いします。

なおこの記事に掲載している情報は数年前から10年以上前のものまでの、古い情報が一部含まれます。現在と相違があることも考えられますので参考程度に読んでください


ペルソナ設定

前回は「日本人が仕事を探す難しさ」と「フィンランド人が仕事を探す難しさ」の二つの視点が混在した記事でした。

理由があり一つの記事にまとめざるを得なかったものの自分の文章力の無さもあり、稚拙な記事になってしまいました。

それを反省して今回は対象者の設定をして記事を書いてみようと思います。

■年齢
20代
■言語スキル
フィンランド語はほぼ話せない。
英語は日常会話程度ならOK。英語力にはそこまで自信はないので早く話しかけられたり専門用語がでてくると会話の内容がわからなくなってしまう。
■実務経験
日本での実務経験あり。
ただしフィンランド就職に直接活かせるような経験は特にない。
■学歴
日本の大学、学士過程を修了。
■滞在ステータス
ワーキングホリデービザを取得。
フィンランドの過去滞在歴はなし。
ビザの期限が終了後、日本に帰国する予定。

※特定の方を指しているわけではありません

こういった属性を持つ人がフィンランドに行くと仮定して話を進めていきます。ワーホリ前提なのでビザサポートの説明要素はありません。

もちろん既に特別な技能を持っていたり、過去フィンランドに滞在経験があり知り合いから仕事を紹介してもらえる、といったケースでは当てはまらないこともあります。
その際はご自身で補完しながら読み進めていただければと思います。






仕事を探す前に

履歴書(Ansioluettelo)とカバーレター(Saatekirje)の準備

仕事を探す時に履歴書(CV)を作らない人はいないと思いますが念のため書きました。カバーレターは外資系企業に応募する際に日本でも使われているためご存じの方も多いかもしれません。

カバーレター(cover letter)とは、外資系企業や海外企業に応募書類を送るときに同封する書類ですが、単なる送付状以上の意味を持っています。

英語で作成するカバーレターは、「応募企業に本気で入社したい」という熱意や意欲、志望動機を伝えるという役割を持っているのです。

英文履歴書・職務経歴書(レジュメ)は非常にシンプルな構成になっているのが通常で、志望動機や自己PRを書くスペースがありません

その分をカバーレターで補うわけです。カバーレターはビジネスマナーではなく、書類選考を突破するための重要なツールであると考えてください。

DODA カバーレター(cover letter)とは?正しい書き方ガイド


フィンランドもアメリカなどの"海外企業"同様、カバーレターの送付をする文化があります。送付は必須ではないですが無いと書類選考がかなり不利になるでしょう。
(やる気を相手に伝えないという意味では当然なのですが。)

文章を予め作っておくという意味でカバーレターも何パターンか用意しておくのがおすすめです。
というのもメールで応募する際はカバーレターの内容をメール本文として応募することがよくあるからです。その場合ファイルの添付は履歴書だけで十分です。

事前に作っておけば何を書こうか迷ったりする必要もなくスムーズに早く応募できます。


自分の経験談
過去、採用プロセスにて履歴書の提出さえ求められない時がありました。
その職場は元同僚の伝手で紹介してもらったので、その人経由から情報が既に伝わっているのかな?と疑問に思いつつ面接に行ったところ、

口頭であなたの職務経歴をプレゼンしてください。」

と言われたことがあります。実際ある程度自分の経歴は事前に伝わっていると思います。ただ詳細は口頭で聞くといったケースです。
かなり稀有な例ですがこういった手法もあるんだなと思った興味深い経験です。他の質問もユニークで面白い面接でした。



仕事探しと同時進行にすること

仕事探しは運が良ければトントン拍子に進み「来週から来れる?」となる可能性があります。そのため仕事探しと同時進行で仕事をするために必要な手続きや準備をしたほうがいいでしょう。


銀行の口座開設

フィンランドで発行された身分証明書が必要な場合があります。
日本のパスポートはフィンランドで発行されたものではないので使用できません。口座がなければ給料が振り込めないので注意です。


資格「Hygieniapassi」や「Anniskelupassi」の取得

飲食店やお酒を提供する店で働きたい人が対象の、衛生管理酒類提供者の資格です。この資格がないと対象となる職場では仕事ができません。
※アルコール飲料の提供をしない店なら「Anniskelupassi」は不要です。

なお資格取得のためのテストは英語で受けられるのでフィンランド語を勉強する必要はありません。また試験の難易度は10代の若者でも比較的簡単に取得できるレベルです。猛勉強しなければ受からないというわけではないので安心してください。

雇用主によっては採用が決まったら資格取得のフォローをしてくれるところもあるくらいなので応募時点では必須でないパターンもあります。
もちろんあったほうが有利に働く可能性はあるので、事前に取得しておくに越したことはありません。


求人内容の例(2件)

Katsoa eduksiは応募時にプラスになるという意味なので応募時点では必須ではありません。今回のこの求人では「採用プロセス中に資格を取る時間がある」とのこと。
雇用主側からのフォローがあるかどうかは不明ですが、少なくとも資格を取得するまで多少は待ってくれそうです。


Vaatimus(名詞)/ Vaatia(動詞)はそれぞれ「必須条件」または「要求する」という意味です。この求人の場合は応募前に資格を取っておく必要があるでしょう。



仕事を探す

それでは実際に求人を探して応募してみましょう。
フィンランドでは募集期間中でもいい人材が見つかったらすぐに採用を決めてしまうことがあります。
いいなと思った求人はなるべく早く行動を移すことが大事です。


応募先の見つけ方

求人情報を得る方法は大きく分けて3つあります。

求人サイトの中にはフィンランド語のものも多いですがGoogle翻訳機能付きでサイトを閲覧すれば問題ないでしょう。

例外として地域情報誌や地域密着型のショッピングセンターの掲示板に求人情報が掲載されていることあります。しかしそういった求人は怪しさ満点なので候補に入れないほうが無難でしょう。

掲示板のイメージ図。習い事や物の売買、何かの修理などの広告が多いです。




その1:やってみたい仕事に応募

前回の記事で散々言ってきたにも関わらず好きに決めていいのか?と疑問を持たれた方もいるでしょう。

もちろん大量に応募してもお祈りメールすらこない可能性もあります。しかし折角フィンランドで自由に働ける権利を持っているので自分の興味のあることに挑戦するのを忘れないでほしいと思います。
応募しなければ採用される可能性は0でも、応募したら可能性はあります!


フィンランドは学歴社会のため応募にはその分野を勉強している学生、もしくは卒業していることが条件の仕事があります。求人内容の必須条件をよく確認するといいでしょう。




その2:複数人募集を狙う

これも日本では一般的ですが大量採用になれば入り込める確率が理論上あがります。とはいえ書類選考の突破はそれでも難しいと思うので過度な期待はしないほうがいいかもしれません。

paikkaは「場所」という意味で、3 paikkaaは3つの枠があるという意味になります。




その3:期間限定の仕事を探すべし

好きなことを仕事にできるのがベストですが、思ったように面接まで進めないこともあるでしょう。そのため次の選択肢として、フィンランド人に紛れて何とか隙間に潜り込める確率をさらに上げる求人を狙いましょう。

夏季限定や冬季限定などのシーズンバイト、期間限定の仕事です。


期間限定の仕事(冬)

フィンランド人はスキー好きの人が多く、冬の休暇中にスキーに精を出します。そのためスキーリゾートの宿泊施設やカフェでは冬季限定の仕事を募集していたりします。

またオーロラ観光の宿泊施設やサービス業も冬が稼ぎ時です。世界各国から観光客が来ます。日本から来る方も多いようです。


期間限定の仕事(夏)

まさに今5月から9月末までのサマージョブ(Kesätyö)の求人が非常に多く出てきています。

早いところは2月から募集を始め、3月に求人の数がピークになる印象です。4月になってもまだ求人を出しているところもありますが、5月になるころには営業を開始してしまうせいか求人数は減ってしまうかもしれません。


サマージョブの代表格といえば露店でベリーや野菜を売るTorimyyjäです。

ベリー売りなんてフィンランドっぽい!と思う人も多いのではないでしょうか。やってみたいと思う人はもちろん応募してみましょう!

しかし念頭に置いておくべきことがあります。
接客業務が含まれるので語学力がある程度求められます

またショッピングセンターや駅前広場など人通りが多いところに露店が設置されることが多いです。そのため通勤しやすい職場となり、学歴も職歴も必要なく仕事も簡単、それもあってかフィンランド人の若者が応募します。倍率が高くなることが予想されますので別の作戦も考えましょう。




別の作戦とはずばり飲食店です。

飲食店では裏方の作業や料理をささっと運ぶ程度なら語学力を求められません。語学力に自信がありさらに伸ばしたい人はもちろんレジに立って接客にチャレンジしてみましょう。

そんなおすすめとも言える飲食店の中でも一定の期間だけ営業しているレストランやカフェは狙い目といえるでしょう。

島や半島の先にある店はだいたい夏季のみ営業しています。


なぜ期間限定の店が狙い目なのか

無期限の仕事(Vakituinen työ)は人気があります。理由は単純で契約期間が切れる心配がなく安定してお金を稼げるからです。そのため期間限定の仕事(Määräaikainen työ)は無期限のものより人気度が少し下がる傾向があります。そこを狙う作戦です。


またもう一つ別の理由もあります。例えば年中を通して営業しているお店などは採用数が少なめです。
というのも正規従業員は夏季休暇を順番で取ります。常に誰かが現場で指揮を取れるようにしておく必要があるからです。そうなってくると補充要員はそこまで多くの人数を必要としません。

それに対し期間限定で営業している店は必要な数の従業員を一から集める必要があります。稼ぎ時シーズンのためか月曜日から日曜日までの定休日無しで営業をしているところも少なくないでしょう。
となると必然的に少人数では店を回せないので大量募集の状態になります。


さらにフィンランド人は通勤にそこまで時間をかけたくないと思う人が多いです。そのため通勤に時間がかかる行きにくい場所で営業している店は人が集まりにくいという傾向があります。

広い土地が必要になるゴルフ場も通いにくい場所に作られたりします。
そして当然夏季のみの営業です。(冬のフィンランドでゴルフなんて無理)


住む場所にこだわらないならフィンランド全域で仕事を探して、仕事が見つかったら引っ越すという手もありです。


注意の追記(3/19)
ベリー摘みの仕事も夏限定です。ただこの仕事は気を付けてください。

もちろん良心的な農家が人を募集している場合もあります。ただワーホリで来る方にとっては判断は難しいでしょう。
自分は経験がないので見極める方法をお伝えすることはできません
求人内容にTESに準ずると書いてあってもどこまで本当かは疑わしいです。また場所的に車が必須だと思います。


そのためこの件に関してはおすすめしないとさせていただきます。
(実家がSeinäjokiのいちご農家の知人へ・・悪く言ってごめん。でも今実際にフィンランドでは問題視されているんだ!)




その4:それでも仕事が見つからなかったら

それでも仕事が見つからない場合は人材派遣会社に登録して派遣先で仕事(vuokratyö)をするのも一つの手です。

有名どころの派遣会社

基本的には派遣会社のウェブサイトにあるオープンポジション(募集中の求人)に直接応募することになります。自分に合った仕事が見つからない場合は事前に登録して紹介を待つこともできます。

紹介といっても、日本の人材派遣会社のようにコーディネーターがついて丁寧にサポートしてくれるわけではありません。定期的にチェックし自分から積極的に応募する必要があります。


ワーホリの人向け職種

  • 掃除(Siivooja)

  • 皿洗い(Tiskaaja)

  • 飲食店の給仕(Tarjoilija)

  • バリスタ(Barista)※経験がある人向け

  • 調理補助(Keittiöapulainen/Keittiöavustaja)

  • スーパーなどのレジ係(Kassa/Kassamyyjä)※語学力がある人向け

  • スーパーなどの品出し(Hyllyttäjä)

車の免許が必要となりそうな仕事は除外しています。
ピザのデリバリーや建物メンテナンス(窓拭きや敷地内清掃、芝刈り、冬は雪かき)などがそれに該当するでしょう。国際運転免許証がありフィンランドで運転してみたい人は挑戦してみてもいいかもしれません。

※注意
仕事によっては国際免許のBランクを求められることがあります。
また日本とは違い右側通行左ハンドルな点も慣れるのに時間がかかるかもしれません。あとフィンランドの冬は運転の難易度が高いです。安全運転を心がけましょう。


派遣の仕事は基本的に単発(1日単位)のことが多いです。

ただ場合によっては、定期的に同じ仕事場に派遣されることがあります。
その場合は派遣先で働く人達と親しくなれる可能性が高くなるでしょう。見知った環境で働くのは安心できますし、何なら人脈作りもできるかもしれません。


逆に知らない人と関わることに抵抗がある方は、掃除など一人で黙々と作業できる仕事もいいかもしれません。


こう書くといい事尽くめのような派遣の仕事ですがデメリットも当然あるので注意してください。そのため仕事を見つけるための手段としてはあまりおすすめできません。


デメリット

  • 仕事が単発なので毎月安定した給料を貰いにくいでしょう。

  • 仕事内容によっては"誰もやりたがらない仕事"をやることになります。特に掃除は派遣先によっては酷な業務内容になることもありえます。

  • フィンランド人は見知らぬ相手に対しては不愛想な人が多いです。慣れてくれば親しげに話しかけてくれますが、いろんな場所を転々とする立場だといつまでも慣れず孤独感を感じるでしょう。

  • 研修は存在しないように見えます。仕事のやり方を誰かから丁寧に教えてもらいスキルアップできるか、と問われたら答えるのが難しいです。

  • 派遣元会社の事前説明が無い状態で派遣先に放り出されることもあります。現場で「何をしたらいいか」「誰に聞いたらいいか」といった事がわからず右往左往することもあります。


事前説明なしで放りこまれた人のエピソード紹介
自分の職場は派遣会社から来る方に掃除をしてもらっています。(どこのオフィスも清掃は委託しているでしょう。)
定期的に来る顔見知りな人もいれば、見かけない顔の新人さんも来ます。


そんな新顔の方が今まで来たことのない現場(自分の職場)に来て困っているところにたまたま自分が通りがかった時です。
「〇〇から派遣されてきたのですが、まずどこに行けばいいですか?どこを掃除するのでしょうか?誰に指示をもらえばいいですか?」

自分は分からないため担当者に繋ごうかと思ったものの・・なんと休み!
どうすればいいのか一切分かりません※。

※なぜ一切の詳細がわからないのかというと、清掃はビルや建物の管理会社(Taloyhtiö)が依頼することがあります。つまり今回清掃を担当する派遣会社とテナントとして入ってる会社(自分の職場)は関わりがありません。


つまり掃除用具がどこにしまってあるかも、どこをどう掃除するのかも、どこで休憩をとるのか、指示を出すことができません。
自分たちではどうすることもできないので派遣されてきた方には派遣元会社に聞くようにお願いしてみました。しかし電話口では派遣元会社も何も知らない様子

さすがに自分の責務(仕事)をいつまでも放っておくわけにもいかず、後はご自身で対応してもらうようにお願いしてその場を離れました。幸い最終的には自力で掃除用具を探し当ててくれたのか掃除を開始できたようです。




その5:最終候補は"経営者"になる

それでも見つからず、どうしても仕事がしたい時はフードデリバリーの仕事も候補に入れてみてはどうでしょうか。

フィンランドで主流なのはWoltfoodoraです。

ただこの仕事は日本と同様、経営者として扱われます。
経営者になることの一番の懸念点は、ケガや病気をした時の保障がないことでしょうか。休んでる間はもちろん無給で治療費も自己負担です。

フィンランドは社会福祉が手厚いから治療費が無料という話がありますが、救急など一部の医療サービスは有料です。
例えば歯の治療も一部自己負担です。また治療に必要な薬も完全に無料ではない点を留意しておきましょう。ただ有料といっても良心的な価格です。

18歳以上、20時~8時までの平日夜間や土日祝日の救急受診は最大€31,60の支払が発生します


そんなフードデリバリーの仕事ですが、下記のような理由で始めるならありでしょう。

  • お金に困っている

  • 副業して更に稼ぎたい

  • 夏は気候がいいのでサイクリングも兼ねてお小遣い稼ぎ




以上が自分なりに考えた「ワーホリで来た人が仕事を探す」方法です。
決して楽ではないフィンランドでの仕事探しですが、この記事が少しでもお役に立てればと願っています。