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「変わる組織」はどこが違うのか? 18

ワークショップの落とし穴

 ジョブズやマスクのような天才的なリーダーに率いられた組織は別ですが、普通の組織が変わり続けていくためには、ワークショップは必須アイテムです。そういう認識、まだ日本では薄いですね。

 その原因はいくつかあります。
原因1)不慣れ:一般の日本人はワークショップに慣れていないので、はじめてのときは、あまり発言してくれません。口を開いても当たり障りのない話しかしないので、ガス抜き程度にしかなりません。つまり効果が実感できないので、ここで終わってしまう初期失敗パターン。これ多いです
原因2)プロセスデザインの失敗: ときどきワークショップをやるけど発散だけで収束しない。ブレストをやってもありきたりのアイデアが出ない。効果が実感できないので一人で考えた方がいい、というパターン。これ、ファシリテーターの責任大です。

 世界中でワークショップの重要性が拡がっているのに、このままでは日本人はこれに参画できません。原因1を克服するためには、数をこなして慣れるしかありません。しかし、そのためには原因2を解決しないといけない。ということで、今回はこれについて考えます。

 発散だけで収束できないワークショップの最大の原因は、ワークショップのプロセスデザインが悪いことにあります。プロセスデザインは、問題の定義から始めないといけないのですが、ここがぼんやりしている。これが根本原因です。
 私は大学の授業で、「課題解決のためには、まず解決したい問題をしっかり定義をしてください」と口を酸っぱくして言っているのですが、これがなかなかできません。たとえば、「コミュニケーションが悪い」「営業会議が報告会議になっている。時間の無駄」といった程度なのです。これ、「問題意識」というレベルで、まだ解決する問題文になっていません。飲み屋の愚痴レベルです。

プロセスデザインは、問題の定義から始まる

 これをもう少し煎じ詰めて、問題文にする。ここが肝です。問題がわからなければ解決策は考えられない、ということは誰でも知っていることなのに、なぜか問題を定義せずに解決策の議論に入ってしまう。これがワークショップ失敗の最大の原因です。
 問題意識から問題文を作るコツは、具体化です。たとえば、「コミュニケーションが悪い」は問題意識のレベルです。これ、抽象的ですよね。問題意識というのは抽象的なのです。
 具体的に、どことどこのコミュニケーションが問題なのか、どんな内容のコミュニケーションが問題なのか。そう考えていくと問題がより鮮明に定義できます。たとえば「営業と管理部門の進捗度のコミュニケーション不足を解消する」といった問題文が書けます。これなら両部門の関係者が集まってワークショップを開けば答えが出せそうです。
 もしこれでもまだ抽象的なら、さらに具体化して解決可能なレベルまで問題文を展開すればいい。こうしてワークショップのメンバーが解決できるレベルまで問題を具体化していく。それができれば、限られたワークショップの時間の中で答えを出すことができます。

 こういう話をすると、それだと元の「コミュニケーションが悪い」という問題の一部しか解決しない、という声が聞こえてきます。ハイ、その通りです。でもね、そうやって具体化して、小粒にして一つずつ解決していく以外に解決策はないのです。
 もし他に方法があったら、教えてください。


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