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どこで買ったらいいかわからない💦

今回のテーマ:買ったわけ
by らうす・こんぶ


どこで服を買ったらいいかわからない。かつてはデパートやショッピングモール、駅ビルの商店街、たまにファッション雑誌に載っているようなブティックなどに仕事帰りに立ち寄っては気に入った服を買っていた。どこにでもものが溢れていて、欲しい服が簡単に買えた。買う場所に困るなんて考えたこともなかった。

ところが、20年のニューヨーク暮らしの後再び東京で暮らし始めると、服を買いに行くところがない。デパートもショッピングモールも駅ビルも顧客ターゲットは若者で、私世代のおばさんがいない。そう思って振り返ってみると、私が20代〜30代の頃も私が服を買いに行くところにおばさんたちはいなかった。そんなことに今頃気づいた。

で、ニューヨークではどうしてたんだっけ?とつらつら思い起こしてみたら、その頃は着るものに構っていられなかったので、あまりこだわりもなく、MUJIかユニクロ、またはちょっと流行遅れのものをディスカウント価格で売っている量販店や古着屋で買っていた。

日本にいた時は仕事用にスーツの2、3着も持っていなければと思っていたが、ニューヨークではTシャツとセーターがそれぞれ数枚にジーンズが2、3本もあればなんとかなった。ちゃんとした服を買うというニーズもタイミングもほとんど発生しなかったので、「服を買うところがない」と悩むこともほとんどなかった。

ところが、結婚式に招待されたときは着て行く服がなくて焦った。「フォーマルウェアもドレスも持ってない💦」「パンプスもない💦」「バッグもない💦」と焦りまくった挙句、バッグ以外は財布の底をはたいて買い揃えたのだった。

帰国して3年。相変わらずユニクロ、MUJI、古着屋が服の調達先である。同年代の女性たちはどこで買い物しているのだろうと友だちに聞いてみると、ほぼ全員「ネットで買う」という答えでちっとも参考にならない。もうバシッと決めて仕事に行ったり、おしゃれしてデートに行く年頃はとうに過ぎているので、わざわざ服を買いに”行く”というモチベーションも習慣もなくなっているらしい。

私は何度かネット販売で服を買って失敗しているし、欲しいのはカジュアルな服ではなくて、少し”ちゃんとした”服なので、やっぱり素材の手触りやサイズを確認して買いたい。

で、どうしたかというと、ファッション雑誌を買ってきて、そこに出ている良さそうな服がどこで買えるかをリサーチして買いに行くことにしたのだ。あの、カタログみたいなファッション雑誌、私はこれまでの人生で片手で数えられるくらいの回数しか購入したことがない。この年になってようやく、あのファッション雑誌がどうして売れるのかわかった。今の私のように目的買いをする人のための情報誌だったのだ(違うかな?)。

ともあれ、去年の冬、私は何年も着られるような質のいいセーターが欲しかったので、ファッション雑誌を買い求め、パラパラとページをめくって良さそうなセーターのあたりをつけて、新宿ルミネに入っているセレクトショップに行き、そのセーターを指名買いした。

今年の冬はちゃんとした冬のコートが欲しいと思った。そこで、またファッション雑誌を買ってきてページをめくった。良さそうなコートがあったので買いに行こうと店情報を見たら、二子玉川だった。ちょ、ちょっと遠い……。行ったことがないのでこの機会に行ってみるのもいいかなあ。でも、めんどくさいなあ。なんてぐずぐず考えているうちにバーゲンセールのシーズンも過ぎ、春になってしまった。




らうす・こんぶ/仕事は日本語を教えたり、日本語で書いたりすること。21年間のニューヨーク生活に終止符を打ち、東京在住。やっぱり日本語で話したり、書いたり、読んだり、考えたりするのがいちばん気持ちいいので、これからはもっと日本語と深く関わっていきたい。

らうす・こんぶのnote:

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「ことば」、「農業」、「これからの生き方」をテーマとしたカジュアルに考えを交換し合うためのプラットフォームです。

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