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食事だけでは補いきれない質的な栄養不足にサプリメントで対応する方法


『うつ消しごはん』(方丈社刊 2018年初版)
『すべての不調は自分で治せる』(方丈社刊 2019年初版)
の2冊を読んで
 

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メンタル疾患の患者さんに健康を自主管理することを薦める


本書の著者で、精神科医の藤川徳美医師は患者に対して「健康を自主管理すること」を薦めている。患者さんを依存させることが多い精神科医にしては変わったタイプの医師だというのが本書を手に取った第一印象だ。
 
「遠方から当院を受診する必要はない」とも書いていて、「医師が病気を治すのではない。患者さんが自分で勉強して健康を自主管理しなさい」と患者さんの自立を促している。このためどうやら地元の方以外の受診は受け付けていないようだ。
 
そして著者が指摘しているのは「自分はバランスよく食べている。ヘルシーな食事をしている」と思っている人が実は栄養失調の可能性があるという点だ。

土壌の農薬や化学肥料による野菜の栄養不足が起きている


その理由として既に土壌が農薬や化学肥料や抗生物質で汚染されていて野菜が十分な栄養分を持っていないことを挙げている。家畜や養殖魚などにも抗生物質や人工的な餌が与えられている。このため食材だけから十分な栄養を摂取することが困難だというのが藤川氏の主張である。

食品だけで必要な栄養素を揃えるのは難しいという意見

「口に入れる栄養は抽出物ではなく、自然食であるべき」という自然食品派の考え方に対して、藤川氏はきっぱり否定的で、食品にプラスしてサプリメントやプロテインの摂取を非常に重視している。
 
心療内科クリニックを開設する精神科なので治療方法は一般の精神科の薬物療法に加えて、食事指導やサプリメントの使い方などを患者さんに伝えている様子だ。向精神薬だけの薬物療法中心ではないが、向精神薬は必要に応じて使い、栄養が満たされて不要になったらやめるという感じのようで、向精神薬の減薬方法に特に着目している様子はない。

また特定メーカーのサプリメントを自院で売るといったことはないらしく、インターネット上のAmazonやiHarbなどで、自分で入手しサプリメントによる栄養療法を誰でも実践できるよう配慮しているという。
 
ちなみに本によると1ヶ月のサプリメントの費用は大体6000円くらい(2019年時点)だと書かれている。
 
今後数冊の「食事とメンタル」を扱った本を読み比べ、どこが共通でどこが異なるのかを調べるにあたり、以下のような項目ごとに各本の情報を整理していこうと思う。
なおここに紹介する栄養療法の考え方は、本書を私なりに整理しただけで、実際に回復した方の取材もしていないので、方法自体をお勧めするという意図はない。

色々な方法や考え方を並べてみてその人に合いそうなのがあれば、またミックスして実践してみても良いのではと思っている。
 
【メインコンセプト】
ほとんどの慢性疾患は、質的な栄養失調が原因でありタンパク質と鉄をたっぷり取ることで改善する。がんや糖尿病のほかメンタルの病もほぼ同様だと書いてある。

【向精神薬の使用と減薬】
精神科医が治療薬として使用する抗うつ薬やベンゾジアゼピン系薬(抗不安薬・睡眠薬)は適量を食事指導やサプリメントと一緒に処方しているようだ。   

本書では向精神薬の減らし方のノウハウやスピードなど減薬について具体的な点はほとんどに言及していないため、減らし方を知りたい人にとってのマニュアルにはならなそうだ。個別性が高いので食事やサプリで工夫して準備した上で自分の体と相談して自分で決めていきなさいということなのだろう。
タンパク質と鉄をたっぷりとると、抗うつ薬も、抗不安薬・睡眠薬も4分の1単位くらいで減らすことができ、自然に減らせたりやめたりできるというような例が書かれている。
 
【推奨している食事】
■タンパク質をたっぷりとる(神経伝達物質やホルモンの生成のため)
プロテインの含有量が多い、卵・しじみ、牛肉、牛肉、豚肉、鶏肉、チーズ、イワシ、鮭などを推奨
 
■鉄を摂取する (セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質生成のため)
レバー 牛肉 カツオ マグロなど赤身の魚(大きい魚は水銀が心配なので控える)など動物性の食べ物からの方が鉄分の摂取の効率が良いとする
 
人間が1日に必要なタンパク質30gを摂取するために、肉なら少なくとも一日200gの摂取が必要であるとし、タンパク質源として、豚肉、鶏肉 貝類などを推奨している
 
■水分
水 お茶 ブラックコーヒーが良いとし、野菜ジュースなどについては否定的
■調味料
砂糖 糖質のないエリスリトール(ラカント)を砂糖がわりに推奨。
塩  沖縄のぬちまーすなど非精製塩
 
【食品添加物について】
食品添加物については神経質になりすぎない方が良いという考え方。食品添加物はタンパク質とビタミンの摂取で解毒できるとしている。しかしもし低タンパク質の食事を続けているなら解毒できないので食品添加物はとらないほうがよいとの記述がある。
 
【摂取を止めるよう指導している食品】
■精製糖質 白米 小麦 砂糖
精製糖質は血糖値が急激に上がりやすく、それに応じてインスリンが分泌されると低血糖になる。これを修正するためにはアミノ酸、ビタミンB、亜鉛マグネシウムなどのミネラルが必要となる。この作用にビタミン、ミネラルが消費され不足すると、神経伝達物質の合成がとどこおり、うつ、パニックが生じやすくなる。
■マーガリン ショートニング サラダ油など
えごま油を推奨。炒め油はバターやラードを使うこと 酸化した油は摂取しない。
トランス脂肪酸は心筋梗塞や肥満、アレルギー疾患に関連するとされている
 
【サプリメントの使い方】
高タンパク、低糖質の食生活に変え、糖質を控え、タンパク質をプロテインでとった上で、
鉄+ビタミンB+ビタミンC+ビタミン E の4点セットを基本的に推奨している
神経難病の場合はナイアシンやビタミンB1のメガ量を勧めている。
 
以上を簡単に言うとご飯やパスタなど糖質をやめて、肉や魚や卵をメインに食べて、あとはプロテインと鉄、ビタミン類をサプリで摂りなさいということだ。

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