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24_「子どもっぽいバカ」を嫌いになれない方がバカなのか、其の二。

 元夫が失踪してみると、つくづくと思わされたのが(バカな男が好きであるということは、本当に誰のためにもならないことだ)ということだった。

『わたしは本当に、そんな風に調子に乗っちゃう男を眺めているのが、本当に、大好きだったのだ』っていうのは、実はわたしのエゴだったんじゃないだろうか。調子に乗る男を眺めるのが好きだという自分勝手な理由で、じゃぶじゃぶ愛情注いで甘やかして調子に乗せてたんじゃないのか。無責任な全肯定と褒め言葉は覚醒剤みたいなもので、高揚感あって万能感出るので気持ちいいアレを、無償でじゃぶじゃぶ与えた挙句に「もう好きでいられない」とばっさり切って捨てる、わたしはそういうタイプだったんじゃないか。元夫の破綻と失踪は、本来彼にはできなかった高い達成を、押し上げて達成させて梯子を外した、そのせいなんじゃないのか。

 バカな男が好きだと言って、劇薬に近い愛情をじゃぶじゃぶ注ぐのは、自分のためにも相手のためにもよくないんじゃないか。

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