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永く働いてもらうために:燕三条の町工場の一例

永年勤続表彰は社内表彰制度の一種であり、勤続年数が長い従業員を讃えるための制度です。
トクニ工業では、勤続年数5年ごと(5年、10年、15年、20年・・・)に永年勤続表彰を行っています。
それは長く継続して勤務に従事してほしいという要望とともに、これまで継続して勤務していただいたことへの感謝の気持ちが込められています。
対象は社員・パート分け隔てなく行っています。

製造業はものを作ることを主な生業としていますが、製造に従事している時間以外にも時間を使っています。作業の準備・後片付けから始まり、作業中に起こる様々なトラブルへの対処などがあります。使用部品の欠品や前工程での不具合、急な納期変更など毎日のように何らかのトラブルが発生します。大きなトラブルは工程の責任者が対処しなければなりませんが、現場レベルで対処できるものは担当者で対処してほしいところです。
経験を積み重ねていけば、トラブルへの対処実績もついていきますし、トラブルレベルの判断も可能になってきます。
トラブルを隠蔽されてさらに大きなトラブルの種になっても困りますが、あまりに些細な問題も全て責任者にあげられても対処案件が増えすぎてスムーズな業務進行に支障が出てしまいます。
製造業の現場でも人手不足のため、外国人研修生を採用したり、派遣スタッフを依頼したりしてしのいでいる場合が多いようです。可否の判断を伴わない作業だけを担っていただければ良いのでしょうが、実際にはあらゆる場面で、可否を判断することを要求されます。簡易的な判断基準は作業に従事する前に説明されますが、充分とは言えないこともあるでしょう。
契約期間・研修期間が終わってしまうと、新たな作業従事者を見つけなければなりません。そして再び、作業内容・作業条件などを説明しなければなりません。パート・アルバイトが主要なスタッフを占めるファストフード店などはマニュアル化が定着していますし、大勢の期間スタッフを採用している製造業においてもマニュアル化・規格化は定着していることでしょう。
それにひきかえ、少人数で行っている町工場・中小企業はどうでしょうか。十分なマニュアル化が出来ていないのが、現状ではないでしょうか。作業内容が煩雑でその都度異なった品物を作り、注意するべきポイントが異なってくるような環境下では、マニュアル作成は難しいでしょう。

スタッフ一人一人に長く継続的に勤務していただくことで、ものづくりの経験を積み、知見を増やしてほしいと考えます。
但し、永年勤続表彰の制度を設けているからと言って、10年、20年と勤め上げた熟練のスタッフが退職することも珍しくなく、大きな戦力ダウンになりかねません。そうした時は、会社運営の立場から事態を判断するのではなく、退職するスタッフ側からの視点も考慮に入れ、次のステップに進んでいくのだなと、前向きに送り出すように努めています。
人事問題は会社運営での根幹を左右する事案ですので、それこそ経験を積みながら柔軟に対処していければと思います。


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