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【7月の本よみ】 そこに在るひと

都内にある美術館のラウンジで、本を読んでいる女性がいたので撮影させていただいた。

読んでいた本について聞いてみると、禅を含む東洋哲学の本らしい。内容難しそうですね、と言うと、そうね、まだ理解できない部分もあるけど、こういう内容にしてはわかりやすく書いてあるほうだと思う、と言ってその本のページをぱらぱらと見せてくれた。随所に黄色とピンクのマーカーで塗り分けられた文章がある。お茶やお花を嗜む上で、その裏付けとなる考え方がこの本にはたくさん書かれているとのことだった。自己研鑽の人である。

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ここは光の入り方が好き、樹々の緑を受けてやわらかい、それに本を読むには図書館は静かすぎる、適度に人の話し声や街の音が聞こえるくらいがちょうどいい、とその人は言った。

状況と光量に問題がなければ、読書は場所を選ばない。それでも多くの人は公園や図書館、コーヒーショップ、読書のための飲食店(私語禁止らしい)など、それぞれに本を読むための場所を選ぶ。その中でも、誰の目を気にするでもない(撮影の観点でいえば必ずしも写真映えする場所ではない)、ただ自分自身が気持ちいいと思える場所を確保できる人。「東京の本よみ」がそういった、日常を主体的に過ごす人たちの姿を写し出せていたらうれしい。

少し話していると、近くにある他の読書ポイントをいくつか教えてくださった。本人にそんなつもりがないのはわかっているものの、その人の隠れ家を聞いたような気持ちになった。撮影のお礼を言い、辞した。


「東京の本よみ」とは?
本をよむ人のポートレート。
ストリートスナップさながらに本を読んでいる人に声をかけ、読書姿と読んでいる本の表紙を撮影させてもらっています。
毎月20日にサイトに新しい写真をアップし、末日に撮影後記をnoteにアップしています。

*HP:https://tokyonohonyomi.jp/
*Twitter:https://twitter.com/tokyonohonyomi

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