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【1月の本よみ】 その本を読んでいるからといって


最近、生活の中で「先入観」や「思い込み」について考える出来事がちょくちょく起こる。

一つ一つは、どれもちょっとした些細なことだ。

先入観というのは、抱いているその時は自分でも気づかず、何かが明らかになったり露呈したときに「ああ、知らぬ間に先入観を持って見ていたんだな」と気づくことになる。

先日、とあるトークイベントに行ったときのこと。

会場の収容人数200名規模の割と大きなイベントだったのだが、始まるまでの間、私の右隣りとさらにその右隣りに座っていた40~50代の2人の女性が、親しそうに話し込んでいた。

私はその2人が席についた瞬間を見ていなかったのだけど、てっきり2人で一緒にイベントに来たのだと思い込んでいた。

しかし、実はその2人は全く知り合いではなく、別々に来ていて、偶然席が隣同士になっただけの初対面の間柄だった。

イベントが始まったあと、近い席の人たちと自己紹介をする時間があったので私は真実を知ることになったのだが、それがなければ私は最後まで知ることなく終わっていただろう。


さて、この東京の本よみの一枚。


撮影の許可を頂き、いつもと同様、読んでいる本のタイトルを教えてもらうと、

それは沢木耕太郎の「深夜特急」だった。

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私は読んだことがないのだけど、バックパッカーのバイブル本と人から聞いたことがあったので、

こころの中で「へー、旅好きなのかな。見た目によらずバックパッカーなのかな」と思った。

外見の印象から純文学などを読んでいると思ったけど「深夜特急」だった、という記憶の残り方をしていた。


でも、こうして改めて撮影後記を書くために写真を見返していて、

「深夜特急」を読んでいるからといって、旅好きともバックパッカーとも限らない、と改めて思い直した。

誰かに奨められて読んでいるのかもしれないし、課題図書か何かで読まざるを得なかったり、読む必要があって読んでいる可能性もある。


人間は自分が思う何十倍も何百倍も、目の前の事象や見た目の印象から、無意識のうちに何かを推測したり想像したりしながら生きているのだと思う。


何かを見たり、聞いたときに、その対象に対して(勝手に)想像することがあったとして、「真実はそれとは全く異なる」ということが、実はあちこちで起こっているのかもしれない。



text:Tamura Mayo





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