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39歳、妊娠する2 妊娠するということ

いきなりの試練に心が折れる。

通いやすい病院が1番いい、という口コミやいろんな意見を見て、自宅からも会社からも通いやすく大きめで評判も良い産婦人科に予約の電話を入れる事にした。ただその病院の口コミを見ていて気になったのが、予約の電話が繋がらない、のコメント。こんな少子化の時代に?電話がつながらない……とは?と、一応、そういうコメントもあったので朝イチの受付時間すぐに電話をかけた。

「プープープー」。え、本当に?まさかね、と思いながら、もう一度かけ直すも話し中。初診の予約をするだけのためなのにぜんっっぜん繋がらない。もはや昔のチケット予約を彷彿とするようなリダイアルの連打で、30分かけてやっと繋がった。「妊娠検査薬で陽性が出まして、初診の予約をしたいのですが……」どう説明して予約を取ったらいいのか分からず、ひとまずそのまんまを伝えると、「わかりました、今回、初診という事ですがかかりつけ医は?」と。ここでまた妊娠初心者のため、頭に「??」が浮かぶ。「あ、いえ、産婦人科自体が初めてで……」若干の無言の後、「あ、分かりました。ただ初診の予約がかなり先になってしまうのですが大丈夫でしょうか。もし予約前に別の産婦人科にかかることがあれば紹介状をご用意ください」。

あ、初診で行ったらダメという訳ではなかったのでホッとしたのも束の間、次の一言に衝撃をうける。「それで、出産予定日は?」。えーっと、うん?スマホを持っている手に力が入る。「あ、えーっと…に、妊娠自体初めてで、わ、わからないのですが……」「では、最後の生理日を教えてください」と、言われて慌ててアプリをチェックして、伝えると、「12月初旬の予定日ということで、分娩もこちらでされる予定ですか?」「え?ぶ、分娩!?あ、え、あ、そのつもりですが……?」「では、今の予定日で分娩予約もしておきますので……」と、言われ、え!?もう!?と作法が全くわからないまま、無事病院の予約完了。

電話を切ってドッと疲れが。妊娠の確認の初診の予約をするのにも知らないことが多すぎて、頭の中が終始パニック。初診の予約でまさか分娩予約までするとは。予定日って普通にみんな妊婦はわかるもんなのか? とにかく知らないことだらけで不安が押し寄せる。しかも電話口で言われた通り、予約は結局GW明け。だいぶ先だ。夫とも相談して、これは確かに別に産婦人科をひとまず受診して妊娠していることだけでも確実に確認したいかも……。と、いうことで結局、もう少し早く普通に見てくれる病院も探す事に。

妊娠確定。

▲食欲不振→食欲アップに徐々になってきていた頃、あんこがとにかく好きに。

”受付の感じが悪かった”、”男性の先生ばかりであまりいい気はしなかった”、”医者の態度が横柄だった”・・・などなど口コミを見れば見るほど、いい産婦人科医なくない!?ともう嫌になる。かく云う私自身も婦人科の診察であまりいい思いはしたことがない。20代前半あまりの生理痛のひどさにとにかく病院!と思って駆け込んだ近所の病院のおじさん先生には、「妊娠しちゃえばね、軽くなるんだから!」と笑って済まされ、30すぎても妊娠せず、悩みに悩んで何か問題があるのか調べるために行ったクリニックでは女医さんに「それで妊娠しないのであれば明らかにどちらかに問題がありますよ、もっと早く来ないと。本気で子供が欲しいんですか?」と鼻で笑われ……。結構デリケートな部分の病院なのにどんどん受診するハードルが高くなるんですよねぇ。そんなわけでウダウダと病院の検索をやっていたら、なんと、職場の近くに凄く良さそうな病院があることを発見!新しめの病院で院長が女性なのも良さそうで、口コミも件数は少ないけどわりと良いことが多く書かれている。しかもWEB予約ができるとのことで試しに予約を見てみたら、明日の午後が空いてる!こりゃ行っちゃうか!と、その場の勢いに任せてポチッと予約したのだった。

財布の中身は5千円。

翌日、ああこれでほんとに妊娠してるかどうか確定になるのか、というか無事に育っているのだろうか……と、高揚感と緊張感プラス不安感に包まれた変な気持ちのまま、お昼のタイミングと合わせて病院へ向かう。さすが最近できた病院ということでめっちゃくちゃオシャレ。一瞬、間違えたビルに入ったかと思うほどモダンなコンクリートの打ちっぱなしデザインで、受付にはキレイなスタッフの方がニッコリ微笑んでいる。「13時に予約したんですが……」と、言うと保険証のコピーだけ取ったら、すんなり待合室に通された。

待っている間、そういえば、と全く何も考えてなかったけど、お金持ってたっけ、と財布を取り出し中身を確認する。ちょうど5千円。ま、見るだけだろうし、ちょうど足りるくらいかな、と安心したところで、名前を呼ばれて診察室に入った。口コミ通り、感じの良い女医さんが淡々と作業を進めていく。「じゃあ、エコーで確認しますね」と、言われて診察台へと立ち上がったら「あ、下着は全部脱いじゃってくださいね。スカートはそのままで大丈夫ですよ」と看護師さん。ううん??下着を脱ぐ……?え?内診なの??と、ドラマなどでよく見る、お腹の上からエコーで確認しているシーンを思い出していたため、若干混乱。取りあえず、言われるがまま、下着を脱ぐと足がパカーンとなる診察台に腰を下ろす。「苦しかったら言ってくださいねー」と言われ、パッとモニターに写ったのは小さな何か豆みたいなもの。「妊娠してますね、おめでとうございます。元気に育っているかと思いますよ。ちょうど3週目くらいですね〜」と、ああ、これで晴れて本当に妊婦になったんだなと実感。と同時に「あ、あのエコーって上から見るんじゃないんですね?」と思わず聞いていた。もっと大きくならないとお腹エコーでうつらないということをこのとき初めて知った……。

経腟エコーと経腹エコーの違いは?
経膣エコー…腟専用の細長い棒状の形をしたプローブと呼ばれるセンサーを、膣内に挿入して検査する方法です。妊娠12週ごろまでは、この方法が使われます。
経腹エコー…妊娠中期から行われる超音波検査は、おなかの外からプローブをあてる方法。経腟エコーと異なり、内診台に上がったり下着を脱いだりする必要がなく、ベッドの上で横になって検査が行われます。

はやし通信 https://hakuhoukai.or.jp/hcommunication/hcommunication_55/

無事、エコーも終わり、とりあえず近所の大きめの産婦人科に予約をしていることなども伝え、次の検診まではこの病院で診てもらって、そのタイミングで紹介状を書いてもらい、その次から予約通りに元の病院に行く、ということですんなりスケジュールも決まった。「実は予約時も初めての妊娠ってこともあって、いきなり電話口で予定日は?分娩予約はしますか?って聞かれて、びっくりしちゃって」と話すと、「確かに初めてだと分かりませんよね〜。あそこの病院は人気もあるので混雑するからって予定日決まったらすぐ予約取らないとダメなんですよ。ちょっと前までは予約も争奪戦だったりしましたからね」と言われ、改めて本当に何も知らないことだらけなんだなぁとしみじみと思った。

さて、とっても感じの良い病院でホッとして、お会計を待っていると、看護師さんがやってきて、「これで正式に妊婦さんだから、区役所で母子手帳もらってね。あと、つわりで大変だったりすると思うけど、今はとにかく何でもあなたの食べられる好きなものを食べていいから!赤ちゃんの栄養のため、とか気にしなくていいからね!自分が好きなものでいいのよ!」と言ってくれて、ああこの病院にしてよかった。昨日の自分グッジョブ。

さあ後はお会計だけ、お昼何食べようかな〜と考えながら、名前を呼ばれお会計に行くと「こちら初診料含めまして、自費でのお支払いになりますので8500円になります」と言われ、「え?」となる。自費???自費???「あ、え、保険証出したのに自費なんですか?」と声に出ちゃいました。そう私はこのとき一瞬、ぼったくられた〜!!とマジで思ったくらい知らなかったんですが、母子手帳をもらうまでは妊婦さんの検診って自費なんですって。こんな少子化なのに。で、いやいやいや、5千円しか持ってないよ。と、お金下ろしに走る感じか、となったのですが、さすが最新の病院のということで、カードからPayPay、Suicaなど各種いろんな支払いが選べまして、難なくPayPayでお会計をクリア。だけど、さっきまでの高揚感は何処へやら、自費ってないわーというモヤモヤで夫からの「どうだった?」の電話にも開口一番「妊婦検診って最初、自費なんだってよ、知ってた!?」だった。とにかく39歳、無事、妊婦となった春。

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