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ベランダ菜園をはじめてみた

もともと味噌汁をつくるのが好きで粗食をこよなく愛してきた。

しかしさすがにもう少しレパートリーを増やしたいと思い、ABCクッキングの料理教室に行ってみた。

よりによって女性限定デーに、それを知らずに体験レッスンを申し込み、女子校に通う男子生徒になった気分で、黙々と肉じゃがを作り上げた。

実際は男子生徒ではなく、知らないおじさんが教室の片隅で料理をしているのだから異様な光景でしかない。

でも大丈夫、俺には肉じゃががある。
肉じゃがとともに俺はある。

美味い・・・もっとレパートリーを増やしたいと思い、通うことにした。

婚活おじさんと思われるリスクにやや抵抗を感じつつも、
より美味い料理をつくりたいという欲求が優った。

さらに最近引っ越したマンションのベランダで
家庭菜園をやってみたいと思った。

「赤坂のマンションで植物を栽培する」という
なんとも事件性を帯びた怪しい響きに抵抗を感じつつも、
自分が育てた野菜を食べてみたいという欲求が優った。

お店の人と相談をしてナスとトマトを一緒に植えることに。

自分で1から土づくりをする楽しさを味わいながら鉢替え。お店の人のアドバイスを踏まえて自分なりに模索する楽しさ。スコップを持って土を掘りおこす喜び。

AIが何でも生成する時代に、愛で野菜を生成したい。

そんな願いを込めて、しばらく経ったある日、
ふとトマトが実をつけていることに気づいた。

つ、ついてる!!

思わず、一度も使ったことのないiPhoneの「ポートレート」機能でトマトに焦点を当てて撮ってみる。

何でも便利になるのは歓迎だが、こうやって手間暇をかけて育てていくことで食べ物のありがたみを感じられるし、
八百屋においてある野菜にもまた一段とリスペクトを感じられるようになる。

「あぁ、あなたは素晴らしい野菜を育てたのですね」

そう思いながら、売られている野菜を見て微笑む。

かなりの変人と思われるリスクを感じつつも、そんなことはどうでもいいくらい野菜への愛は高まる。いつか自分の育てた野菜で肉じゃがをつくりたい。

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