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薬物に奪われた息子の映画「ビューティフルボーイ」

ジョンレノンが息子ショーンに捧げた名曲、ビューティフルボーイ由来の父と子の話うんぬんのタレコミだったが、すっとこどっこいすごく重たいかつ旬なドラッグに関しての映画であった。

依存症の恐怖をとても真剣に伝えており、とても理解が深まると同時に話の構成がとても良くできているため、ハラハラしながら観賞しました。
とても仲がよく、真面目で優秀だった自慢の息子が大学進学を機にドラッグに惹かれ、そのエゲツない依存の恐怖を描いてます。それがなんとまぁつらくてつらくて。

この映画の特出すべきは、ドラッグ当事者の目線よりもその父親、その周りの家族の目線で描かれている点。どんなに手厚く手を差し伸べても、ドラッグ克服は最後は当事者が乗り越えなければならない。君の代わりになってあげたいよ、でもできない。父親の無念が痛いほど伝わってくるし、驚くべき方法まで手を尽くします。

もちろんドラッグに手を出してしまう動機、すなわち心にぽっかり空いた穴、人生への欺瞞、すこぶる不安な気持ち、少なからず感じたことのある人ならわかると思いますが本当につらい。それが慢性的に訪れたとしたら?そして一時的にも確実にそれを回避できる方法があるとしたら?

もしかしたらそれらの条件と、たまたま手にしてしまうタイミングが合致してしまった時、あなたは手を出さないと言い切れるだろうか?
でもこの映画を見たら、ドラッグに手を出すことを今まで以上に避けることになるでしょう。

危険性の高いドラッグを手に出したことにより、もはや誰かが常に一緒にいないと高確率で再発してしまう衝撃。なので、社会的自立というのは不可能に近いという現実をこの映画は巧みに伝えています。

手を出したら終わりだということ。それを伝えるために深く練られたストーリーは強いメッセージ性をはらんでいました。
昨今、テレビ、SNSでよくわからないでうわべで語られる言説が多い中で、とても重要な意味をなす素晴らしい映画でした。

そして、危険ドラッグに本当に手を出さないでいてほしいと願うばかりです。でもやっぱりそこはかとない鬱感や倦怠感による死の意識はたまに訪れるよね〜、その辺の話はまたおいおい。

あととてもグッときたのはシガーロスのこの曲の入れるタイミングね。ウェスアンダーソンのライフアクアティックのラストシーンもどうアルバムの曲使ってるけどさ、シガーロスの使い方センス大事ね。(曲名読めない)

新宿シネマカリテにて上映中
http://qualite.musashino-k.jp/movies/6778/

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