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"心の力を活用する方法"ハーバード大学の研究者エレン・ランガー

1979年、ハーバード大学の研究者エレン・ランガーは、1950年代後半の芸術、食べ物、装飾などに囲まれて、若い頃を思い出せるように設計された場所で、男性に1週間を過ごしてもらいました。

その後、男性はテストされ、聴覚、記憶、器用さ、姿勢、幸福において、大きなメリットを得たことがわかりました。

どのような人でも、心が体の健康に影響を与えるように思える経験をしたことがあるはずです。

The Mindful Bodyの著者であるランガーは、心は人の生理学的状態と関連をしており、様々な方法で考え方を変えることは、より幸せで健康的な生活につながる可能性があると言います。

また、心と体は単一のシステムを構成し、人間のすべての変化は、本質的に心のレベル(認知の変化)と体(ホルモン、神経、行動)の変化であると信じていると述べています。

"心と体は互いに影響し合っている"という考えを意識すると、新しい健康のコントロール方法がより現実的になります。

心が体にどのように影響するか

ランガーは、人の考え方が身体にどのように影響するのかを示す数十の研究を、著書の中で詳述しています。

例えば、シンプルな決定や植物の世話に責任を持つように奨励された老人ホームの住民は、18ヶ月後に生きている可能性が2倍高かったり、健康の情報を与えられた人と、そうでない人を比較すると、情報を持っている人の方が、より多くの体重を減らし、血圧、体重指数も低くなったそうです。

さらに、ランガーは糖尿病の人たちに15分ごとに時計をチェックしながらゲームをさせました。

時計は通常の速度、2倍速、2倍遅いの3つを用意し、体感時間を計測しました。すると、より多くの時間が経過したと感じた人は、他の参加者よりも血糖値が低く、経過した実際の時間よりも多くエネルギーを消費していたのです。

つまりこれは、見た目の時計の速さ(認識)でエネルギーの消費量(生理学的状態)が変化したということになります。

このような発見は昔からたくさんありますが、心が体に及ぼす影響については、しばしば"プラセボ効果だから無関係"と却下される、とランガーは言います。

プラセボ効果が存在する可能性は広く知られており、実際には薬と同等かそれ以上に効果的であるという発見が多く見つかっていますが、これらの研究は上記の理由からか、めったに発表されません。

「これらの研究から学ぶべきことは、特定の薬に効果がないことではなく、プラセボがどれほど効果的なのかということです」とランガーは述べています。

なぜプラセボが効果的なのかは明らかではありませんが、それは"良くなるという期待"によるものかもしれません。

期待による効果の証拠として、ランガーと彼女の同僚は、別の研究で"視力を改善できる"ことを発見しました。

心の力を活用する方法

ランガーは、心の力を使って、私たちの健康と幸せを変化させることができると考えています。

それでは、どのように心を使うのでしょうか?ランガーは、いくつかの基本原則を遵守することを提案しています。

1.従わない

例え専門家があなたに指示したからといって、すべての事項に従わないようにしましょう。

これはつまり、人生は不確実であり、それぞれがランダムな個人ということです。

例えば、医師に「あなたはコレステロールの数値が平均よりも1ポイント高いので、食事の変更と薬を飲むようにしてください」と言われたら、疑問に思う必要があります。

2.リスクは人によって異なる

ある人にとってはリスクでも、別の人から見ると合理的な行動計画で、理にかなっていると認識できる可能性があります。

さらに言えば、最終的には、行動を起こしてみないことには確実な判断ができません。

例えば、サーフィンはあなたにとってリスクに思えて価値がないかもしれませんが、他の誰かにとっては、楽しくてしかたないことかもしれません。

3.懐疑的アプローチ

未来は決して完全に知ることができません。最新の研究では、人間が予測できる未来は、約7秒後までと言われています。

もし、物事が悪く見えても、それがさらに悪化すると100%仮定すべきではありません。

実際、多くの否定的な予測は間違っていることが判明するか、後に反証されます。

例えば、すべての人が癌になるわけではなく、手術や化学療法も必ず必要なものではありません。かつて一般的に使用されていた化学療法は、利益よりも害を及ぼすため、実際に中止されています。

4.選択ではなく選択方法

"悪い選択"を後悔することに集中するのではなく、"選択方法"について集中しましょう。

例えば、新しい町に引っ越しをして、すぐにその町を愛せなくても、引っ越しの決定を後悔すべきではありません。

その代わりに、新しい町のエンターテイメント、様々な人々、楽しめそうな公共施設などに焦点を当てると良いでしょう。

5.社会的比較を避ける

他者と比較をして成果を追いかけるのではなく、すでにやっていることの意味を見つけましょう。

例えば、高齢者の介護はストレスが多く、報酬も少ないですが、"他者への愛や尊厳を提供する"という感覚を持つことによって、やりがいを感じることができます。

このように思考を変化させると、人間関係も改善され、ストレスが軽減され、心身の健康を改善するのに役立つのです。

どのように変化するか?

著書にはまた、日常にもっと注意を払うようにと書かれています。

これは、"瞑想をする"という意味ではなく、"自分で自分の状態の変化に気づく"ことです。

痛み、エネルギー、気分、または病気の症状が、どのように変化しているかに注意を払うと、"病気や損傷を受けている"という固定観念から抜け出し、他のことを含めた自分自身を感じることができます。

変化に注意を払うことは、思考、症状、感情などを見るのに役立ち、変化に関連する情報や状況を判断したり、コントロールをすることができます。

例えば、膝の痛みの変化に注意を払うと、散歩をしなかった日は痛みが少ないことに気づき、少し散歩をし過ぎていたので休憩を増やすなどの対処ができます。

著書でも様々な疾患を持つ人たちが、症状の変化に気づくトレーニングをし、良い結果をもたらしたいくつかの研究を提示しています。

研究では、変化への注意は、心拍数をコントロールするのに役立ち、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者、妊婦などに有効であることがわかりました。

ランガーは著書で「診断は有用ですが、生きた経験のほんの一部にしか注意を向けません」と、医療従事者について様々な注意喚起をしています。

これは専門分野を扱うすべての人に当てはまる可能性があります。

昨日を使って今日や明日を決定するのではなく、現在や未来のニーズに合うように未来を設計することが重要ということです。

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