バカンス
ここはフローズンエメラルド星
弟「兄ちゃん、寒くて凍えそうだよー」
兄「一週間我慢しろ」
弟「腹減ったよー、何か食う物無いの?」
兄「凍ったバナナなら有るぞ」
弟「この寒いのにそんな物食えねーよ。大体何でこの星なんだよー」
兄「年間の平均気温が60度のウダール星を飛び出して涼しい星に行きたいって言ったのはお前だぞ」
弟「この星は涼しいと言うより寒すぎだよー。氷河期じゃねーか。旅行会社に電話して早く迎えに来てもらおうぜ」
兄「浮世のシガラミから逃れたいって携帯を置いて行こうって言ったのもお前だぞ」
弟「言ったけど緊急用の電話くらい持って来てるだろ?」
兄「いいや持って来てない。第一、此処には電波が無い」
弟「マジかよー、サバイバルプランなんてチョイスするんじゃなかったよ」
兄「とにかく一週間後には迎えが来る。それまでの辛抱だ」
彼らをこの星に送り届けた旅行会社がその後すぐに倒産した事を彼らは知らない
弟「毛布は持ってきてないのかよ。短パンとTシャツばっかじゃないか」
兄「お前だって浮き袋って何だよ」
短パンとTシャツという軽装の彼らがチョモラン山を越えて昔地球と呼ばれていたこの星の水素発電所が今も稼働している事、そしてそこに地球人の生き残りが暮らしている事を知るのはまだずっと先の事である。
続・・・かない
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