兄弟

弟「兄ちゃん、腹減ったよー」

兄「何だ、もう腹減ったのか。さっき食べたばっかだろ」

弟「だって、おにぎり半分じゃん」

兄「そうだな、昨日だってまる一日何も食べてないもんな」

弟「父ちゃん、母ちゃん・・・」

兄「父ちゃんたちの事は言うな。俺たちには親はいねえんだ」

弟「腹減って寒くて死にそうだよ」

兄「仕方ないな。そこのカバンを開けてみろ」

弟「これかい?」

兄「そっちの札束じゃなくて小銭入れがあるだろう。そこのコンビニで肉マン一個だけ買ってこい」

弟「一個だけ?」

兄「ああ、フェラーリを買うまでは辛抱しなくちゃなんねえからな」

弟「フェラーリって何台目だよ?」

兄「そうだな今度買うやつで217台目だ」

弟「そんなに買わなくてもいいだろ」

兄「全種類、全色を揃えるのが俺の夢だ」

弟「置き場だってお金掛かるだろ?」

兄「そうだ。今のガレージが手狭になったんで東京ドーム10個分の土地を買って大きなガレージを建設中だ」

弟「警備員も雇ってるんだろ?」

兄「そうだ。だから食費にあてる余裕なんて無いんだ」

弟「俺、父ちゃんと母ちゃんの所へ帰るよ」

兄「あんな年収が10億ぽっちの家に帰ってもあいつら骨董と宝石を買いあさってるから飯なんか食わせちゃくれないぜ」

弟「とにかく俺は帰るよ」

・・・

そして10年後

弟「兄ちゃん。久しぶり」

兄「お前どうしてたんだ?」

弟「事業を始めたんだ」

兄「それで儲ってんのか?」

弟「今の年収はざっと20億だけどもっと頑張って100億を目指してるんだ」

兄「俺の年収が今、70億ってところだ。それにしてもお前、儲かってる割には痩せてるな。ちゃんと飯は食ってるのか?」

弟「年収のすべてを食料につぎ込んでるよ。それで今度米倉が手狭になったもんで東京ドーム10個分の米倉を建設中さ」

兄「それで少しは食べてるのか?」

弟「人類の10年分の食料を確保するまで食費にあてる余裕はないよ」

兄「まったく、お前って奴はどうしょうもない奴だな。それよりフェラーリ買うんですこしお金貸してくんない?」

弟「・・・」

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