見ていた女 物語です

私はいつもあの人を見ていた

淋しい夜道を

一人で運転する事が多かったあの人

だからいつも私は

後ろの座席に乗せてもらった

ルームミラー越しに見る

あの人の顔は

強張っているように見えた

そしてあの人は決して

私を見ようとはしなかった

でも私がそこにいる事を

あの人は知っていた

そしてあの日

ついにあの人は私を見た

恐怖に見開かれた

あの人の眼を

私は忘れない

そして私を見てしまった

あの人はもう

この世にはいない

だから私

車に乗せてくれる

人を探しているの

淋しい夜道を

一人で運転しているあなた

今夜はあなたの車に

乗せてもらおうかしら

後部座席に何かの気配を感じても

ルームミラーは絶対に見ちゃダメよ

ウフフフ

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