見出し画像

世界のニュースを日本人は何も知らない3 - 大変革期にやりたい放題の海外事情 -②

前回の続きになります。例によって気になった内容をピックアップしていき、気の向くままに書いてみます。

世界における「日本の人気」を日本人は何も知らない

私が昔海外で暮らしていた時に思ったことの一つは、「日本の文房具は世界最強!」ということでした。

まず、初めて海外で暮らしたときに私が驚いたことの一つとして、シャーペンがないこと(正確にはほとんど存在しないこと)でした。不勉強ながらそもそもシャーペン(Sharp Pencil)が日本の発明品であることや、英語だと”Mechanical Pencil”と呼ぶことなども知りませんでした。確かに暮らしてみると、現地のメーカーのペンや消しゴム、ホッチキスなどの日常的な文房具の品質があまり良くないことがすぐわかりました。

また、お菓子に関しても、日本のお菓子は欧米のそれに比べてとてもよくできており、海外のホストファミリーへのお土産の定番として重宝されています。

そして、お菓子だけではなく、日本の食料品の中には海外で特に評価されているものがたくさんあります。

例えば、サントリーの「山崎」がウィスキーのコンクールで世界一になったり、日本人なら誰もが知っている「ヤクルト」が欧米のスーパーにもずらりと並んでいることを多くの日本人は知らないでしょう。(昔台湾に行ったときに、ヤクルトのアイスを屋台で売っていて驚きました)

そして日本人に知られていない海外の食文化と言えば、カレーが例に挙げられます。

カレーは言うまでもなく、日本人の国民食ですが、同じことはイギリスでも言えます。イギリスにはインド系、ネパール系、パキスタン系などの移民が大量に流入したことによって、カレーは白人も含めたイギリス人にとって国民食となりました。(他のヨーロッパ大陸の国々では、そこまでカレーが文化に浸透していません)

面白いのは、イギリスではカレーが食文化となり、カレーのスタイルにも徐々に変化が表れていったことです。その変化の一つが、日本のカレー人気の上昇です。

私は今から20年ほど前にイギリスに住んでいましたが、昨年の夏に10数年ぶりに仕事でイギリスに行きました。その際に気づいたことの一つとして、日本食レストランが激増していることでした。(その兆候は知ってはいましたが、体感として当時とは比べ物にならないほどの日本食レストランの多さを感じました)

中でも目立ったのは「Wagamama」というレストランです。ロンドンだけでなく、郊外に行ってもかなり見かける全国チェーンの日本「風」レストランです。(あくまで日本風であって、かなりイギリスナイズされてます)

私が昔住んでいた時は「YO! Sushi!」がロンドンに出来たばかりで話題になっていましたが、Wagamamaは今ではヨーロッパに支店を持つほどの人気チェーンのようです。

そして、そのWagamamaは「カツカレー」の存在をヨーロッパに知らしめた存在として知られています。ここからイギリスでは空前の(?)カツカレーブームが到来するのです。

もともとイギリスはフィッシュアンドチップスの国です。つまり、彼らは先天的に揚げ物大好き民族なのです。そんな彼らが大好きなカレーに、カツという揚げ物を乗せる喜びを知ったら、これがブームにならないわけないのです。

日本でいえば、主食の米+ステーキを乗せたステーキ丼と同類に分類されるでしょうか。カツカレーは彼らにとって夢の競演だったです笑。

イギリスでは、このカツカレーブームに便乗して、日本式のカレーソースを販売する食品会社が後を絶ちませんでした。それらの会社はあろうことか、日本風のカレーソースだけを「カツカレー」と呼んで販売し、さらにその日本風カレー風味のポテチやスナックも「カツカレー風味」として売り出しました。カツのないカツカレーの登場です。

カツの入っていないカツカレーヌードル

世界の「同調圧力」を日本人は何も知らない

この章には私も知らないことが多く書かれており、勉強になりました。

フランスは「同調圧力」がものすごい

「同調圧力」(Peer Pressure)と言えば、日本文化の代名詞のように感じますが、実はフランスも日本とはまた違った意味で「同調圧力王国」だそうです。(フランスには数回行ったことがありますが、住んだことがないので驚きでした)

例えば、フランス人女性は肌を出すのが当たり前のようですが、それは「古いフェミニズム運動」の名残だそうです。昔はフランスでも肌の露出が控えめでしたが、性の解放が進むにつれて体の線を出す服や、短いスカート丈、などが「女性が自主的に自分の個性を主張する権利」の象徴となったのです。その流れはイタリアやスペインにも派生し、肌を露出するファッションが自由のシンボルになりました。一方、肌の露出を避ける人は「自由を否定している」とみられてしまうため、日本とは真逆の同調圧力が働いているのです。

ちなみに、私が10年ほど前にアメリカに留学に連れて行った女子たちに、「アメリカ人の印象は?」と聞いたら、「セクシー!」と言ってた子がいました。アメリカ人女子たちの露出の多さに純粋に驚いたみたいでした。(カリフォルニアだったので、みんなタンクトップ(ブラ紐丸見え)にホットパンツみたいな子ばっかだったんで無理はないかも)

欧州では専業主婦でいることは恥ずかしい

欧米には、日本ほど専業主婦がいないことは多くの日本人は知っているかと思いますが、それが先にも述べたような「女性解放運動」が発端になっている男女平等意識から来ていることはあまり知られていないかもしれません。

特にフランスでは、女性が料理や裁縫や掃除などに熱心なことを強調すると、そのことをネガティブに捉えられかねず、そんなことに時間をかけていないで社会参加型の活動をするべきだという同調圧力が働くそうです。

世界の「エンタメ事情」を日本人は何も知らない

世界の中のFar East(極東)にある我が国は、いろいろな意味で世界から取り残されてきました。そのうちの一つがエンタメで、インターネットのおかげで世界中のニュースが一瞬で手に入るようになった今も、我々は欧米のエンタメがどう成り立っているかをよく理解していません。

コンテンツが多様化した理由と世界の変化

ここ10年でエンタメ業界に大きな影響を与えたもの、それは「ポリコレ」(ポリティカル・コレクトネス=政治的正しさ)です。

例えば、映画、ドラマ、漫画、音楽などにおいて、若い男性や白人が中心だった作品に、女性や、LGBTQ、人種的少数派などの多様な人々を登場させて、社会の多様性を認知させていくべきだという考え方です。

実際、アメリカの有名なドラマを思い出してみると、「フレンズ」「ビバリーヒルズ青春白書」ようなクラシカルなものから、「セックス・アンド・ザ・シティ」のような比較的最近のものまで、金持ちな白人の生活を垂れ流しているものがたくさん存在しました。

個人的にはこのポリコレをいち早くエンターテインメント業界に取り入れたのはディズニーではないかと思っています。

ムーラン、とか
モアナ、とか
ドック、とか(Doc McStuffins、知らないですかね?)

日本はアメリカやイギリスのような移民が多数を占める国ではないため、エンタメ業界においてはまだまだ多様性が欠落していると思いますが、それでも徐々に改善の兆しはある気がします。

私が個人的に注目しているのはタレントの副島淳さんです。

彼のように日本生まれの日本育ちの日本人が、見た目だけで差別を受ける状況は一刻も早くなくなってほしいです。(もちろん世界がそんなに単純でないことも、残酷なこともよくわかっています)

「多様性が欠如しているから」

一言で言ってしまえばそれまでですが、日本で暮らしている人たちには、世界の広さを知ってほしいですし、世界にはいろんな人がいて、その「違い」を尊重することで世界が少し変わっていくという事実を理解してほしいと思います。

ちなみに彼のような人々について興味がある方はこちらの映画をぜひご覧ください。「ハーフ」ではありません。「ミックス」、または「ダブル」です。

まとめ

確かに、我々日本人は世界について知らないことが多いかもしれません。歴史的、地理的な背景から、外国と隔てられてきたため、それはある意味仕方のないことかもしれません。

しかし、グローバル化が急速に進み、テクノロジーのおかげで世界がどんどん「小さく」なっている今、我々はもっと目を外に向けてみるべきなんじゃないかと、これを書いていて改めて思いました。

最後までお読みいただきありがとうございました。


この記事が参加している募集

読書感想文