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原子力・ウラン投資その3:ウラン鉱山から原発へのサプライチェーン

こんばんは、とまとです。ここからウランに話に入っていきます。

第3回はウラン鉱山から原発までの流れの話をします。

鉱山から原発までの流れ

これは下記のJohn Quakes教授の図がわかりやすいので、これで説明します。

まずは、ウラン鉱山から2つのアプローチでYellow Cake(U3O8)を作ります。1つはIn-situ Leach Facilityからウラン溶液を抽出して、それを処理工場で作る方法。もう1つはウラン鉱山からウラン鉱物をとり、それをウラン工場で作る方法です。いずれもYellow Cake(U3O8)を作ります。毎日ツイートしているU3O8先物とはこの価格となります。

次のプロセスはConversion(転換)となります。ウラン鉱山とは別の会社、例えばConverDyn社等が担当し、U3O8を六フッ化ウラン(UF6)に転換します。ConverDynは上場していません。CCJは転換をすることができます。日本でできる会社はなく、海外で行います。

UF6はEnrichment(濃縮)のプロセスで濃縮ウラン(濃縮UF6)ができます。これも、ウラン鉱山や転換とは別の会社が担当します。上場企業ではLEUが濃縮を行います。CCJも濃縮ができます。

濃縮ウランをさらに燃料生産のプロセスで燃料集合体(UO2)を作り、これが原子力発電所に運ばれて、燃料として使われます。CCJは燃料生産もできます。

鉱山から原発への流れでのポイント

基本的な流れはここで述べた通りですが、重要な点は、転換や濃縮ができる会社は限られるということです。CCJのようにトータルで鉱山から燃料生産までできる会社はありますが、それは限られ(引っ張りだこで)、現実はそれぞれのプロセスでごく限られた専門の会社がやっています。このようなパターンでは、個々の会社のスループットが限られるとボトルネックになり、燃料生産全体のプロセスが滞る可能性があります。

もちろん、そのことは変換・濃縮会社も理解しており、UrencoとOranoは今後5年かけて濃縮キャパシティの拡張を発表しており、ConverDynも変換キャパシティの拡張を検討しています。3倍計画に重要な点である。このように、3倍計画はウランサプライチェーン全体に大きな投資を呼び込むことになっています。

また、ウランが必要なのは原子力発電所なので、そこが一連のプロセスをコントロールすることになりますが、その順番も理解することも大事です。まず初めに発電所がいつウラン燃料が必要になるかの計画が最初にくるはずです。その後は、同時並行で商談をするとしても、まず最初に燃料生産会社と契約し、場所と時期を確定しないとその前の契約を決めることはできません。なので、燃料生産会社との契約を決め、それに基づき濃縮会社との契約を決め、さらにそれに基づき転換会社との契約が決まり、最後にウラン鉱山もしくはウランスポット市場からウランを調達することになります。よって、ウラン価格を理解するためには、ウラン鉱山だけでなく、その後の会社の契約の情報も分析に重要となります。

この知識をもとに、下記のツイートを読み解こう。中身はクリックし、翻訳ツールにでも入れて読んでね。

Energy Intelligenceの下記の記事によると、米国で唯一稼働しているU3O8からUF6への転換プラントについて、ConverDyn社は2029年1月まですでに転換は売り切れということです。基本的に転換契約は5年間の定期契約で締結します。転換の契約について、その契約に対応するまだU3O8が確保できていないとなると、スポット市場で購入しようとするという推測がなされています。これは転換契約→U3O8契約の流れとなるからです。このように、ウランに関する情報はサプライチェーン全体を考えながら読み解いていくと立体的に理解できます。


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