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私は病院から出ると、まず空を見上げた。 ああ、青いな、と思った。 まったくなんにも考えて…
彼女は磔にされた。 十字架の上に釘で手足をとめられ 裸のまま商店街を運ばれてゆくのだっ…
僕は末っ子の長男で、姉が三人いる。 姉たちとはちょっと年が離れている。 両親はそろって刑…
とある朝、駅から会社への出勤途中でのこと。 上半身裸の男が歩道にあぐらをかいて座っていた…
僕が通った小学校は 木造二階建ての古い校舎。 その端の一階に音楽室、 その真上に図書室があ…
輪 信濃川のすぐ近く 水力発電所の貯水池に鴨の群があった。 適当な間隔を置いて水面に浮か…
昔、小学校で映画の鑑賞会があった。 錦鯉の話で、粗筋は以下の通り。 主人公の少年の家は錦鯉を養殖していた。 稚魚が成長して美しい模様を備えれば 錦鯉として高く売れる。 しかし、つまらない模様の鯉は「テンプラ」と呼ばれ 売れないので天ぷらにされて食べられてしまう。 黒くてつまらない小さな鯉が テンプラにされそうになった時 「責任持って飼うから、自分にくれ」 と少年は父親にせがむ。 そして、その日から少年は この落ちこぼれの黒い鯉を飼うことになる。 途中、育
少年時代の終わりの夏だった。 ひとり、城跡へと続く山道を歩いていた。 城跡と言っても、山…