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令和時代に信頼されるマネージャーになる為に必要なたった一つの方法

初めに

近代マネジメントの父のドラッカーは企業におけるマネジメントの重要性を説いています。人材版伊藤レポート2.0でもミドルマネージャーに言及されていて、ミドルマネージャーの成長が今後の日本企業の成否を握っていると言っても過言ではないと思います。

そのような環境の中、ネットでは「これさえやれば信頼される上司に慣れる7つのこと」とか「これさえやれば・・・」なんて記事や本が沢山あります。また、〇〇ハラスメントが横行している中「マイクロマネジメントは良くない」「叱るより褒めろ」「Z世代は褒められたくない」など、こんな行動はマネージャーとしてNGだという記事も沢山あります。
あれはダメ、これもダメ、自分が受けてきたマネジメントをことごとく否定されるわけです。

しかし、そのような記事や本を読んでいてもあまりしっくりくることがありませんでした。なぜなら、ドラッカーが言うようにマネジメントは人であり人がする事です。人は千差万別ですし、時代の移り変わりも早いのでただ一つの正しいやり方なんてないからです。

そんな中、20年のマネジメント経験から学んだ唯一普遍的だと感じる方法がありますのでそのことをシェアしてみたいと思います。

こんな上司はNGのワナ

昨今は上司としてこんなことはしてはいけないというアドバイスが山ほどあります。
「怒ってはいけない」
「マイクロマネジメントは良くない」
「過去の自慢話はしてはいけない」
こんな話にはご丁寧に20代、30代の人のネガティブなこんな感想が付いています。
「上司が感情的に話をされるとどうかと思う」
「細かくなんでも管理されるのはできていないと感じて嫌だ」
「過去の栄光にすがってるだけで今は時代が違うから参考にならない」

論理的に考えるとこうなります。
怒る上司=悪い上司
マイクロマネジメントする上司=悪い上司
過去の自慢話をする上司=悪い上司

では稲盛さんや松下幸之助は怒らなかったのでしょうか?
盛田さんはマイクロマネジメントはしなかったのでしょうか
そう考えてみると、この行為をするからよくない上司という事ではないという事です。
逆にこの行為をしないからと言ってよい上司になるわけではありません。
つまりNG行為をいくら意識していても良い上司に慣れるわけではないという事です。
実際は、良い上司か良くない上司かを決めるのは信頼関係だと思います。
信頼関係がしっかりできている上司と部下であれば、過去の話も参考になるし、怒られても真摯に受け止められるし、マイクロマネジメントをしても監視されているとは思わないはずです。
つまり信頼関係ができているかどうかが最も重要なのです。

昔は通用したのに今は通用しない理由

では、昔は上司部下の信頼関係が自然とできていたのに今はそれだけでは信頼関係が構築できないのは何でしょう?

20年ほど前までは、上司や役職というラベルがあれば信頼に値する時代だったという事だと思います。学校の先生もそうだと思います。私が小学生だった30年前は、先生が言っていることは正しいという前提で物事が進んでいました。でも私の子供が小学生になってみると、そう考える親はほとんどいません。
ただ、一方で「お客様は神様です」という50年程前のフレーズがいいまだに使われその価値観でクレームをいうモンスタークレーマーも増えています。
これは「消費者」というラベルが強くなってきたから起こっている現象だと思います。
つまり今は、役職があるだけで自動的に信頼されるという時代(昭和の時代)ではなくなったという事だと思います。

ラベルに頼らず信頼を勝ち取るには

令和の時代は役職は信頼を得る武器には全くなりません。むしろ先進的な会社ほど、役職ではなくさん付けで呼ぶとか、フラットな組織が良いとしている会社もありますが、私はあまり賛成はしません。フラットな組織より階層的組織の方が生産性が高いというデータもあります。
むしろ役職に見合った信頼や尊敬を得られる上司を育てることが重要で呼び名を変えることでは根本的な解決にはなりません。

では、どうやれば信頼を勝ち取れるのでしょう。
初めに書いたように、人は千差万別、十人十色ですから、これをやれば絶対に大丈夫と言う方法は正直ないと思います。相手や環境を考えて柔軟に対処することは必要です。
ただ、共通して言えることは、信頼を得れない上司は、その言動が自分中心であるという事です。
例えば、
「何でこんなことしたんだよ!(俺が困るだろ)」
「俺がしっかり管理するからな(部下が仕事ができないと俺の評価が下がる)」
「俺が若いころはそんなことでいちいちくよくよしてなかったぞ(俺は凄いんだぞ)」
※( )の中は上司の心の声です。
こんな気持ちを持って言動をしていると信頼を得るどころか信頼を失うだけですが、実際にこんな上司は沢山いますし、中には( )内を言葉に出す人すらいます。
部下はよく上司を見ているもので、その言動でしっかり判断をしています。
ネガティブなことこそ、自分の我を捨てて言えるようにしなければなりません。
でもいきなりそんなことは難しいですよね。稲盛さんは「利他の心で」とおっしゃっていますが、その通りだと思います。でも私もまだまだそこまで仏にはなれません。そんな中で発見した方法をシェアできればと思います。

それは
「マネージャーの言動には全て意図を持て」
です。

マネージャーの言動には全て意図を持つとは

マネージャーは部下からの相談や仕事の割り振りなどがあると思います。
その際にどの業務を割り振るか考える際もその業務を部下がすることに意味を持たせる必要があります。これは例えコピーを取るという単純で誰でもできる業務でも意図を持つことが大事です。

例えば、私は新人が配属された際には年齢や経歴関係なく初めの業務はコピー取りとPDFスキャンにしていました。それには大きく2つの意図があります。
1.コピー機やスキャンの機能を覚えてもらう。
2.仕事の仕方や価値観を確認する
1つ目は分かりやすいと思いますが、会社によって使うコピー機やその機能が違います。よく使う機器なので最初に覚えてもらうという意図があります。
2つ目は、コピーやスキャンは誰もができる簡単な作業です。簡単だからこそその人の性格や価値観が色濃く反映されます。
例えばコピーを頼むときは「これコピーしておいて」と目的(何に使う資料か)や背景(何のための資料化)などはあえて伝えません。
何も考えない人は、「わかりました」と1部コピーしてきます。わかっている人は「白黒ですか、カラーですか?」「何部必要ですか?」「会議資料ですか、確認資料ですか?」と聞いてくれます。
PDFスキャンも同様です。直接コピー機から送ってくる人、一旦自分に送ってタイトルを付けて送ってくる人。PDFの解像度や大きさを確認してからする人等様々です。
コピーやスキャンは簡単な作業ですが、必ず次のアクションに繋がる作業でもあります。だからこそその人の仕事観が分かりやすい業務だと思います。
どこまで先を見据えて考えることができるのか。
目的と背景を理解して業務出来るのか。
丁寧なのか雑なのか。
実に様々な視点でその人が見えてきますし、それを踏まえてアドバイスをすることができます。
このように簡単な業務でも意図と意味を持って仕事を依頼することができます。
また、言葉も同様です。部下に何の話をするとしてもその話から、相手の感覚や価値観がわかるものです。常にそれを感じることを目的として会話をすることが大事です。

何となくわかるけど、いちいち考えて話すのは面倒くさいなー
と思う人もいると思います。
そういう方でも大丈夫です。そういう人は後付けで意味や意図を考えてください。
例えば私も感情的になって話をすることはあります。感情に任せて言っているので意図や意味をもって話をできるわけではありません。
でもその後冷静になった時に今の話をどうにか意味を持たす方法はないかと後付けで考えます。仕事でもとりあえずそこにいる人に依頼することはあります。でも必ずその仕事を渡した意味を伝えられるように考えておきます。

大事なことはどこかのタイミングでその意図や意味を伝えることです。
その業務のすぐあとでも良いですし、1on1の時でも構いません。
部下がその話を聞いて「その仕事にそんな意味があったんだ」「わざわざ自分に頼んだのはそんな理由があったんだ」と言う感覚を持ってもらうことがポイントです。
最も良いのはそれぞれのキャリアビジョンに紐付けて伝えることができればより効果はあります。
これを繰り返していれば自然と上司に対して信頼感が増してきます。役職等のラベルでマウントを取る必要はありませんし、何か立派な経歴や社内成果より、常に部下の成長を考えてくれる人なんだという印象が最も強い信頼だと思います。

たったこれだけを実践するだけで組織内の活性化や自律人材を作っていけますし、必ず部下も真似をするようになります。そうやって組織が大きくなって生産性も向上していくのです。
私は、これを実践することで離職率8割を2割まで削減しましたし、部署の人材も3倍になり、こなす仕事は5倍になりました。
明日から実践でき、時代に関係なく効果はありますので是非一度試していただければと思います。

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