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科学的根拠ってなに? 2/3(中編) 「わからない」は専門用語?

 前編では今日の科学は「現実的な科学」であり、「本当の科学」ではないと述べた。では「本当の科学」とは何だろうか。

今回は中編なので、タイトル2を扱う。

  1.  科学的根拠ってなに? 1/3(前編) 「証明」ってどういう意味?

  2.  科学的根拠ってなに? 2/3(中編) 「わからない」は専門用語?

  3.  科学的根拠ってなに? 3/3(後編) 科学って本当に正しいの?

 


注意

以下の3点に注意してください。

  • 筆者は物理を専攻しているが、専門家ではない

  • 荒唐無稽

  • 変な話題

それらが大丈夫な方はお進みください。





1:「仮想の物理学者」に訊いてみよう!

 では「本当の科学」を知るために、私が考えた「仮想の物理学者」と一緒に、簡単な実験をしてみよう。

(想像だけでもいいです。もし一緒にしたい場合は、消しゴムと机を用意し、何もない机の上で実験してください。)


 まず、消しゴムを片手で握り、目の高さまで持ち上げて欲しい。次にその手をほどいて欲しい。すると、消しゴムはどうなるだろうか。

 おそらく、下(机の上下)に落ちたはずだ。
(そうじゃなかったら、今すぐ論文を書きましょう。)

しかし、この実験の本質はこれからである。

 次に、先ほどの動作をもう一度行ってもらうのだが、その前に質問したい。2回目の結果はどうなるだろうか。答えが出たら、下にスクロールして欲しい。









では仮想の物理学者に訊いてみよう。どうなりますか?

 仮想の物理学者「わかりません

なるほど。ではやってみよう。また下に落ちると思う。しかし、まだ分からないので、3回目を行おう。

 あなたは3回目で消しゴムがどうなると思いますか。また答えが出たら、下にスクロールして欲しい。









では仮想の物理学者に訊いてみよう。どうなりますか?

 仮想の物理学者「わかりません

なるほど。ではやってみよう。今度も下に落ちると思う。しかし、まだまだ分からないので、4回目を行おう。

・・・

 では、あなたは100回目で消しゴムがどうなると思いますか。また答えが出たら、下にスクロールして欲しい。









では仮想の物理学者に訊いてみよう。どうなりますか?

 仮想の物理学者「わかりません

なるほど。ではやってみよう。何度やっても下に落ちると思う。しかし、次も本当に落下するか分からないので、101回目を行おう。

・・・

 では、あなたは10000000000000000000000000000000000回目で消しゴムがどうなると思いますか。また答えが出たら、下にスクロールして欲しい。









では仮想の物理学者に訊いてみよう。どうなりますか?

 仮想の物理学者「わかりません

なるほど。ではやってみよう。結局、下に落ちると思う。しかし、もしかしたら次に上昇するかもしれないので、10000000000000000000000000000000001回目を行おう。



2:「わからない」は専門用語?

 とても正気とは思えないが、これが「本当の科学」なのだ。つまり、

「仮説以外のすべての可能性を否定できない限り、実験をし続ける事」

である。しかし、それでは永遠に「証明」できず、何の結論も生まれない

だからこそ、統計学などの「妥協手段」を見出したのだ。
(もちろん、こんな話で科学の優位性が崩れることは決してない。)


 ここで、重要なのは「わからない」と連呼していることだ。この言葉の真意は、

「(多分、経験的に下に落ちるはずなんだけど、もし次の実験で上に飛んだら、新しい現象を観測できることになるなあ。でも、絶対ないと否定もできないから、なんて言ったら良いか)わかりません

である。

 つまり、「仮想の物理学者」が言いたい真意は「断定できないこと」だ。断定が難しく、他の可能性を完全に排除できないから、「わかりません」と言ってしまう。



3:科学は覆る!!

 だが、先述の通り、この悩みを統計学で「妥協」している。

 しかがって、科学者は皆、この「他の可能性」を知っていることになる。では、なぜわざわざ面倒な可能性を考え、統計学という面倒な手段を使って、証明をするのだろうか。


 それは、「今までの科学が覆った事例を知っている」からである。重力の方程式が、W=mgから、ニュートンの万有引力の式になり、そしてアインシュタイン方程式が生まれた。

 それぞれ、既存の理論では説明できないことを克服するために創られた理論だ。
 そして今では、そのアインシュタイン方程式に代わる「より正しい理論」が検証されている。


 もし上記の「仮想の物理学者」で例えるなら、

「(消しゴムは下に落ちているが、地球と消しゴムが引き寄せ合っている可能性を否定できないから、)わからない

ということになる。

(実は上記の例だと、結果がほぼ同じになってしまいます。もっと正確な例だと潮汐があります。もし、地球の内部に向かって落ちるだけだとすると、潮の満ち引きは起こりません。)


 ここで、賢明な読者は気づくはずだ。それは「今の科学の不安定性」である。先述の例以外にも、「今までの科学」が覆った例はいくらでも存在する。つまり、「今の科学」はいつか否定される可能性がある。

 では、「今の科学」は正しいのか。それを後編で考えよう。




余談

 中編を読んでくださり、誠にありがとうございます。寸劇みたいなものを書きましたが、分かり易かったでしょうか。
 中編では問題提起みたいな感じになりましたが、後編はもっとモヤモヤします。お楽しみいただければ幸いです。

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