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外資コンサルに学ぶ:会議での発言スキルを育てる方法


会議で発言しない人間はノー・バリュー?

外資系コンサルティング会社の特徴を表す逸話として、入社したばかりの新人コンサルが先輩コンサルに「会議で発言しない人間には存在価値がない。今後、会議で発言しないのであれば出なくてよい」という洗礼(?)を受ける話が良く出てきます。

「会議に出席した以上は発言しろ(バリューを出せ)」というのは外資系コンサル共通の価値観ですが、「何でもかんでも発言しろ」と言うことでもありません。そのあたりを今回解説したいと思います。

新人コンサルに求められること

右も左もわからない新人コンサルに突然「会議で発言しない人間には存在価値がない。今後、会議で発言しないのであれば出なくてよい」と宣告するのはさすがにちょっと不親切です。

実際は、「1人のプロフェッショナルとして、会議で何か発言してチームに貢献してほしい」という期待値が示され、会議中に「〇〇さんはどう思う?」と促されたり、上手に発言できなくても「こういうことを言いたいのかな?」と補足してくれたり、無理なく適応できるように面倒を見てくれる場合がほとんどだと思います。(なので、安心してください。)
最初のうちは、発言するだけでも「勇気を出してよく言った!」と褒めてもらえることもあります。

ただ、それでもなかなか会議で発言できなかったり、たまたま当たった先輩社員がちょっと怖い性格(?)だったりすると、「会議で発言しない人間には存在価値がない」と辛辣に言われる場合があります。
新卒コンサルよりも中途コンサルの方が期待値も給与も高いので、適用までに与えられる猶予期間も短いです。

しかし、「何でも自由に発言せよ」と言われるのは、社内会議に限定した話です。
クライアントが同席する会議では、新人コンサルは先輩コンサル(多くの場合はプロジェクトマネージャー)のGOサインが出るまでは「発言するな」ときつく教わります。

リスクがあるか?

社内会議とクライアントが同席する会議との違いは何か?
それは、「会社(コンサルティングファーム)にとってリスクがあるかどうか」です。

社内会議であれば、新人コンサルがどんな発言をしたとしても何の害もありません。
「自分の貴重な時間をそんな下らない発言で奪うな!」と怒る人もいますが、あくまで社内の出来事なので「すみません、次回から気を付けます」で基本的に済む話です。

しかし、クライアント(例えば社長)の前で不用意な発言をしてしまうと、自社(コンサルティングファーム)の損失に繋がるリスクがあります。
直接的に何か起こらなかったとしても、質の低い発言をすること自体が「あの会社のコンサルタントは、大したことないな」という評価に繋がります。

なので、パートナーやプロジェクトマネージャーは「新人コンサルが不用意な発言をしないか」に常に目を光らせています。
でも、いつまでも「リスクがあるから発言するな」では、人材は育ちません。新人コンサルはどこかで「クライアントの前で価値のある発言をできる存在」にならないとチームへの貢献度が低いままです。
このギャップを埋めるのが、「社内会議で常に発言させること」です。

社内会議という練習コース

マネージャーは社内会議で、新人コンサルの「発言の質」を常にチェックしています。
最初は質が低い発言ばかりで当然です。彼らの発言のどこがダメで、どういう発言をすればよかったのかフィードバックすることも重要なOJTです。
社内会議で真っ当なことを言えるように育ったら、少しずつリスクを取らせて様子を見ながら、「クライアントデビュー」へと進みます。

社内会議で発言させる
→社内会議を仕切らせる
→外部ベンダー(調査会社など)のやりとりを仕切らせる
→クライアントの現場担当者とのやりとりを仕切らせる
→クライアントの報告会での発言を許す

と極めて慎重に、少しずつ段階を踏ませていきます。
ただ、新卒入社であっても概ね1年~2年ぐらいで「クライアントの報告会での発言を許させる」のがひとつの目安です。

このように、「クライアントデビュー」を目標に、社内会議を練習の場にして「会議での発言力」を育成するのは、よくできた仕組みだと思います。

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