【洋画】「白い暴動」

2019年の、イギリスの社会派ドキュメンタリー映画「白い暴動(WHITE RIOT)」(ルビカ・シャー監督)。Amazonプライムにて。

「白い暴動」といえば、パンク・バンド、クラッシュの有名なアルバムだけど、1970年代後半、イギリスで勢力を伸ばしていた排外・差別主義の極右団体「イギリス国民戦線(ナショナル・フロント)」を背景に、有名ミュージシャンの移民排斥の差別発言も相次いでいた中で、インディーのアーティスト、レッド・ソーンダズが反人種差別を訴えて、賛同する仲間と共に、「ロック・アゲインスト・レイシズム(RAR)」を立ち上げる。

ミニコミ誌を発行して、彼らの主張が様々なメディアに取り上げられたことから、白人のパンクと黒人のレゲエの双方から支持を集める。そして、10万人もの賛同者やファンを集めたデモ行進やロックフェスを実現することに。

「表現こそ政治活動だ。我々は反乱のための音楽を求む」というスローガンがカッコいいね。

多分、イギリスという、階級がハッキリとした社会の中で、反抗を表現したパンクが音楽シーンの中でも、シッカリと根付いており、それだからこそ、対象として政治が材料になりやすいのだと思う。RARらの活動で、確かに国民戦線の活動は下火になったのだ。

ミニコミ誌(ファンジン)のような切り貼りの画面構成もあって、まさに当時のインディー・シーンの雰囲気が出てる。

ラスト、10万人を集めたライブの臨場感・高揚感がヒシヒシと伝わってくる。シャム69のジミー・パーシーをボーカルに迎えたクラッシュの「ホワイト・ライオット」、サイコーにヤバいね!

俺は、クラッシュのアルバムで最初に聴いたのは「サンディニスタ」(1980年)だったから、クラッシュは、ダイレクトに政治的主張をするパンク・バンドという認識が強いね。クラスよりも。

果たして、音楽に社会を変える力があるだろうか?
確かにイギリスでは一時期、変えたといってもいい現象が起こったけど、社会よりも体験した個人に何かが残ったことの方が大きいだろうと思う。
人間は愚かなことを飽きずに何回も何回も繰り返すものだから、その都度、アゲインストとして、このような音楽体験をしてもよいだろう。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。