「文化大革命」

中国で、1966年からほぼ10年にも渡って続いた、悪名高き「文化大革命(文革)」。

その被害者(死者)は数十万人から二千万人といわれている。

中国建国の父といわれる毛沢東に先導された、学生を中心とした紅衛兵(人民服に赤い毛沢東語録を持つスタイル)が中心となって中国全土で起こった大衆政治運動のことだけど、毛沢東が起こした“粛清”運動といっていいだろう。

表向きは、過去の封建的・資本主義的な文化を批判して、新しい社会主義の中国を創ろうという大衆改革運動であったが、実際には、数々の政策の失敗によって、トップである国家主席の地位を劉少奇副主席に譲った毛沢東が、やっぱりトップがイイと自身の復権を目論み、紅衛兵等を利用したという中国共産党内部の権力争いだったわけだ。

毛沢東一派は、紅衛兵を扇動して、共産党幹部や反革命勢力の打倒、知識人の批判、旧文化の破壊を支持したのだ。

中国全土で反革命と見なされた者への吊し上げや迫害、糾弾が横行し、自殺も含めて大多数の死者が続出。紅衛兵はさらに暴走して扇動した毛沢東すら制御不可能となったらしい。

文革で、なんらかの被害を被った者が1億人というからスゴい。さすがは中国。20世紀の近代において、フランス革命後のギロチンが大活躍した恐怖政治のような状態が10年も続いたのだから。

76年に毛沢東が死んで、実際に文革を扇動してた「4人組」が失脚・逮捕されて、やっと文革は収束したのだ。

権力者に扇動され、“正義”というハッキリとした後ろ盾を得た大衆が如何に恐ろしく変貌するかがよくわかるね。

特に、宗教や心の問題、概念をも完全に否定する共産主義下においては、人間の欲が容赦なく全面に出て、権力争いも止まることを知らなくなるのだろうか。

歴史上、世界最悪の虐殺人数を誇る文革だけど、その先導者、毛沢東の大きな肖像画は、今も天安門に掲げられている。前に中国に旅行した際、万里の長城と同様、なぜか感心して、中国という国の無茶苦茶な懐の深さ(?)を感じたものだ。そういえば、毛語録はお土産でゲットしたなぁ。

あ、新書は、これらの文革の内容がよくわかる良書であった。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。