【洋画】「青春群像」

1953年のフェデリコ・フェリーニ監督の「青春群像(I Vitelloni)」(伊)。

イタリアの田舎町で暮らす、無軌道な若者5人を描いた作品で、フェリーニ監督にしてはわかりやすくて面白かった。フェリーニの自伝的要素もあるという。

ナンパ師のファウスト、空想家のアルベルト、劇作家を目指すレオポルド、歌声が美しいリッカルド、そして、最年少のモラルドの5人の20代の野郎ども。
いずれも定職に就いておらずに、いつも暇を持て余して遊んでる。

中でも、ファウストを中心に物語は進む。

ミスコンテストに優勝したモラルドの妹サンドラが、実はファウストの子を妊娠してることがわかって、ファウストは無理矢理、サンドラと結婚させられる。
新婚旅行から帰って来たファウストは、仕方なく姑の友人の店で働くことになるが、店主の妻を誘惑したり、町でナンパをしたり、妻を持っても浮気性は変わらない。
ついには、店主の妻を誘惑したことで仕事をクビになってしまう。

他の友人らも職を探すでもなく、カフェやビリヤード場でたむろってる。
最年少のモラルドだけは、この町を離れて出直すことを夢見ている。
やがてファウストの妻サンドラは子供を産むが、ファウストは仕事に就かない。ファウストは浮気をしていて、それを知ったサンドラは赤ん坊を抱えて家出する。
ファウストは、必死になってサンドラと赤ん坊を探し回る。
サンドラと赤ん坊は、彼の実家に潜んでいたが、ファウストに激怒した彼の父親は、ベルトでファウストを激しく打ちすえる。
やっと“改心”したファウスト、サンドラと赤ん坊と共に帰宅する。
一方、モラルドは列車に乗ってあてのない旅に出る…。

5人の若者は、将来のことなど鼻っから考えていない。今が楽しければ、それでいいのだ。親や真面目な兄弟らに金をせびり、いつまで経っても自立できない怠け者のぐうたら共。金のことは置いといても、こういう青春の時期って、誰にもあるよねー。後々、このぐうたら体験が何かの足しになることもあるし。

フェリーニも同様の体験をしたみたいだが、青春とはキレイなステキなことばかりじゃなくて、半分はこういうぐうたらなことではないのか?後の長い人生のホンの一時期の断片だよ。

青春の特権である、漠然とした不安、理由のわからない怒り、即物的な恋愛、刹那的な行動と快楽、これらわけのわからないものを、自身の体験からフェリーニ特有の映像表現で示した興味深いフィルムであった。ダメ青春物語。

女性とあれば、老若関わらず声をかけて半ば強引に迫って行くファウスト、今じゃ犯罪になる部分もあると思うけど、俺には絶対できないだけに、ナンパ師のニヤけた顔がムカつくけど、羨ましくもあるね。

5人のダメ男たちは、職がない金もないにしては、スーツやコートをビシッとマフィアのように紳士的に着こなしてカッチョええじゃないか。さすがイタリア。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。