「天才たちの日課 女性編」

前回の続きで、女性編。

著者がいうには、前の本は天才161人のうち、女性は27人しかいなかったということで、今回は女性に絞ったフェミニン的意図が感じられるもの。

というのは、取り上げた女性アーティストのほとんどが、“女性による創造的な活動が無視されたり否定されたりした時代に育ってる”からだという。

面白いのは、男が「仕事」として、日常とは切り離して創造的活動に携わってるのに対し、女性は日常と同様、くつろぐように、リラックスするように、料理や掃除などの家事をこなすように、創造していることだ。

パートナーや自分の子供との関係を疎かにすることはなくて、創造的活動のためにシッカリと日常を味方にしている。男みたく日常を敵に回して、非日常の酒やドラッグに溺れることもほとんどない。仕事は娯楽よりも面白いものであるらしい。

19〜20世紀に活躍した女性が多いが、例えば妻がアーティストであったら、その才能を認めて喜ぶ夫は、一部を除いて皆無に近いなぁ。やはり、頭では妻の才能を認めたいと思ってても、自分が劣ってるように感じて認めたくないのだろう、当時は。

才能ある女性アーティストは、その代償を払わなくてはならない。仕事とパートナーと子供との間で完全なバランスを保つ必要があったのだ。

中には、「女性の場合、結婚に伴って発生する義務や負担が男よりも重く、道義的に問題がある。だから女性アーティストに結婚する権利はない」と考える女性アーティストもいるが。

「私は自分の経験のすべてを物語にすることと引き換えに、悪魔に魂を売ったの」by イサク・ディーネセン

「満足できるものは何一つもない」by エル・グレコ

「書くことは自分を使い果たし、自分の命を危険にさらすこと」by スーザン・ソンタグ

「私はこれまでに多くの偉大なアーティストや知識人に会ってきたし、いわゆる成功した人々にも会ってきた。けれど幸せな人だと言える人にひとりも会ったことがない。もちろん自分は幸せだと見栄を張る人はいたけど。少しでも洞察力があれば、その仮面の後に同じような不安と苦しみが存在することがわかる」by イザドラ・ダンカン


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。