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フェンネルについてのノート

個人的に好きという理由で栽培中

数年前から栽培しているフェンネル。

一般のお客様には人気がなく、レストランのシェフからはまだかまだかとせがまれるこの野菜。

僕の大好きなスープドポワソン(ブイヤベースの元のスープ)には欠かせない、ハーブと言ってもよいくらいのさわやかな香りのセロリに似た歯触り。生でもよいし、焼いても煮ても美味しくいただけるんだけど、近所のスーパーには売っていない、そんな野菜。

日本ではウイキョウとして、なんと以外にも平安時代から漢方薬として使われていたらしいけど、歴史あるのに現代では、うちの販売したことがある野菜の中でも「どうやって使うの?」質問ダントツ1位、主婦の皆さんにプレゼンしても「おかずになるの?」とつれないお答え。ぼく個人的にはすごく好きなので(南仏育ちなので)毎年栽培するし、自家採種もするし、なんならうちの畑の畔にはこぼれ種で勝手に育ってる。

フェンネルは英名で、フランスではフヌイユ、イタリアではフィノッキオ。せり科で人参やパクチーなどの仲間。多年草で、根を残しておくとまたそこから芽が出てきてます。1回目よりは大きなものは出来にくいし、質が劣るけれど利用方法によっては地上部刈り取りで数年収穫することも可能です。

全部食べることが出来る

フローレンスフェンネルという品種が日本では一般的で、ぷっくり膨らんだ株元「バルブ」という部分を主に食します。白くしゃきっとしたこの部分は生でスライス、魚介と煮込む、ピクルスやスープ、イワシと合わせたパスタ(イタリアンで有名)などそれこそセロリと似た使い方が出来ます。セロリより味も香りも甘くやはり魚介と相性が良いと思うのですが、和食屋さんで食べたことはぼくはまだないですね。

葉の部分はディルによく似ていますが、ディルは1年草でハーブ、フェンネルはまさに野菜。でも使い道は似ていて葉にも特有の香りがありトッピングや香りづけ、ハーブティなどに利用。オリーブオイルなど油脂分とも相性良くて、店ではフェンネルバターなんかを仕込んで、隠し味に使ったりしたっけな、サーモンムニエルとは抜群の相性です。

そして近年レストランでよく見かけるのは花の部分、黄色の可憐な感じで集ったはなですが、香りは葉よりある気がします。塩やソースに香り付けするなら花のほうが良いかもと最近は思っています。その花が咲くと次は種。フェンネルシードになります。スパイスとして使いますがぼくは前述のスープドポワソンやピクルスに使用。カレーには入れない派ですけどこの香りのパテやソーセージやサラミはヨーロッパで食べたことはあります。

そして根っこ。ぼくはまだ試したことないんですが、せり科の野菜は根がうまい(人参、パクチーしかり)のでいけるんでしょうね。ただ一度根ごと掘り起こした時にかなりごつい根で固かった記憶がある、今年は色々試作やってみよう。

うちの農園には向いてるっぽい

まだ数年の栽培でこんなこと言ってますが、まず第一に鹿に食べられない。どこかの記事に書いたかもですが中山間地の当農園は獣害が多く、イノシシやアナグマなど畑を柵で囲わないとまともに畑が出来ません。中でも鹿の被害は多くて悩ましいんですが、柵の外に育ってるこぼれ種のフェンネルには寒い冬でも見向きもしてないんです。もちろん栽培区域は柵の中ですが、この発見は大きいです。

栽培はせり科の他の野菜に準じます。種まきは種袋によると春より7~9月とありますが、上にも書いた通り使える部位がいろいろあるので通年種まきは可能かと。ただそれこそ他のせり科同様発芽までの水分管理(乾いてしまうと発芽率が極端に下がる)に注意なので家庭菜園や冠水設備あり以外は梅雨明けとかは厳しいかもです。

そしてぼくは直播推奨、移植を嫌うのと直播して先に根をしっかりさせるほうが後々元気なんで。株間50cmくらいで徐々に間引いて一本立ちに。あとは好みの段階で収穫ですね。種を取る場合は交雑しないようにディルなど同じ仲間を近くに植えないように。

株元のバルブを収穫したいなら春には種まきせずに(すぐにトウが立って花が咲いてしまうのでバルブが太らない)7月くらいがよいと思います。勝手にぷっくりしてくるのですが生で使用したいなら土寄せをしてやると白くて筋張ってないバルブが収穫できます。

病気にはほとんど縁なし、害虫はアゲハチョウに注意、こいつの幼虫はあっというまに葉を食べてしまう。冬越しも可能だけど、霜にあたると傷んでしまうので霜よけ必須、でも根が生きてればまた芽がでてきます。

割と頑丈で育てやすいと思っているフェンネル。プランターでももちろん栽培可能です。おうち時間に家庭料理で登場機会が増えるといいなぁ。

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