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キオクノート #18 事業展開「お好み焼きプラック」の話

グループとしてのキャッシュフローが活発になっていった頃、ぼくは昼にぶどう畑、夕方からお店という生活をしていました。畑で汗を流しながら農業への強い気持ちを確認し、将来の理想を脳内で巡らせます。

その反面、飲食業としてもっと地元大阪で出来る事があるんじゃないかという仕事脳からの問いかけも同時に駆け巡ります。

そこで一緒に畑作業をしていた先輩から提案があったのがお好み焼きでした。それにワイン。安くておいしい大阪のソウルフードに安くてカジュアルなワインをコップで出す大阪で出来るワインの裾野の一番ふもとぐらいの店。

その話をした次の日からすぐに物件探し、事業計画作成が始まり、あっという間に開店することが出来ます。ただこの案件はその助言をくれた先輩との共同経営というか、ウチが業務委託されてその店を経営する、という形でした。初期費用がいらず、月々委託料をおさめるという形です。

この店を任せる人も以前一緒に働いたことのあるワインの料理人に任せることになり、当時のスタッフたちも協力してくれて、2012年7月25日、大阪夏の風物詩天神祭の日に北区豊崎に「お好み焼きプラック」をオープンすることが出来ました。前年2月に土佐堀オリーブをオープンしていたのでかなりのハイペース出店となります。

立地は本店羽山料理店とはかなり離れているのですが、周囲には有名ラーメン店、うどん店、ピザ店とまさに粉もんの町。ぴったりだと思いました。

キャッチコピーは「大阪のソウルフードと、野菜もたっぷり、アテ少々。ビールはモチロン、普通にワインも色々楽しめて、仕事帰りや晩ご飯、お一人様から家族連れまで大歓迎。そんな、僕たちのフィルターを通した「ベタ」な町のお好み焼き屋さんを目指します。」

このコピー通りの店、当時は本当に少なくて絶対浸透させたいと意気込んでいたんですが、この店、1年半で閉店となってしまいます。

原因は全て代表のぼくにあるんですが、まず、姉妹店と同じく任せたら任せ切るというぼくの経営方針をここにも適用したのですが、今回は距離が遠く店自体にほとんど顔が出せず、問題発見に時間がかかってしまったこと。その問題とは原価率の高さ、安売りし過ぎた。なかなか黒字化できず赤字が続き、潤沢だったキャッシュフローはあっという間にカツカツに、本店姉妹店の売り上げで支えてる状態になってしまいました。

そして、従業員不足に対応できずそれを現場に任せ過ぎたこと。店主の家族まで動員させてしまい最低の経営者ですぼくは。

さらに、宣伝広告不足とお客様のアフターフォロー不足。客足が伸びず、せっかく訪れてくれた知り合いのお客様にもご挨拶出来ず。お叱りや改善要求も現場にうまく反映できませんでした。

結果、前述の通り、委託経営は立ち行かず、話し合いの末閉店させていただくという流れに、その最終日には立ち会おうと思っていたのですが、自転車で向かいかけて辞めました。そこに集っているお客様とスタッフにかける言葉が何も見つからなかったからです。一人でワインを飲んだ記憶があります。生み出した店を閉店するという始めての経験がこれ。

今思えば、この時から経営に対する考え方が変わっていったように思います。変わったというか消極的に、自分はあまり向いてないんじゃないかと。

本店、姉妹店共にこの頃は人手不足に陥り、営業時間の変更、赤字も散見されるようになり、何か抜本的な対策が必要なんじゃないかと考え始めます。

この時2013年起業してから9年が経っていました。その年末ただひとつ「どうすれば商売を続けることが出来るか」だけをずっと考えていました。

その年明けに答えを、正解だったかは別として、見つけました。

農業です。

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