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デンマークの断熱基準とDIY断熱 #0083

さて。かねてよりデンマークの断熱の話をしていましたが、実際デンマークの断熱ってどんな感じだったのよ?という話をしておりませんでした(おい)。

ということで、ちょっとこの辺の話を書いてみたいと思いますよと。まあ、すでに10年前の話ではあるのですが、それでも日本の現在の基準とは比べ物にならないほど断熱化が進んでいたのです。


デンマークの断熱基準

断熱性能を表すUA値(小さいほど熱が逃げにくい)は05年の基準で約0.2W/㎡・Kを義務付けていて、これがリノベーション物件に適用されています。つまりこれは「改修」の基準というわけです。

https://build-up.ec.europa.eu/sites/default/files/EPBD_DK_p2381.pdf

日本では22年に新設された等級7の「超断熱」の家でようやくUA値が0.26W/㎡・K、ZEHの基準でも0.6W/㎡・K。「新築」の等級7でようやく05年のデンマークの「改修」基準に近づくわけです。

まあこの辺りの説明は他を当たってもらうとしまして。

古い建物でも断熱化が進んでいる

デンマークの改修で面白いのは、例えば古い煉瓦造りのビルを改修する際のプロセスにあります。レンガを一つ一つ外していって一度解体するのですが、この時レンガに一つ一つ番号をふっていき、その番号通りに積み直すので復元が容易になるのです。

こういう古い煉瓦造りを改修するとか
(実際にこの建物が改修されているかは不明)

これは石づくり(煉瓦造り)ならではとも言えると思いますが、古いものを残しつつ、最新のスペックに近づける努力がされていてスバラシイ。
また日本のように建てては壊し、という方法よりも、既存建築の維持をしていった方がコストもかからない。さらに、断熱をすることでランニングコストが大幅に減り、消費エネルギーを減らすことができる。使うエネルギーが少ないと、少ないエネルギーで済むので、自然エネルギーでも対応できるようになる、という寸法です。実際、デンマークの自然エネルギーの割合は2022年の時点でなんと84%(!!)という数字です。圧倒的に先に進めることで、「福祉・環境」という自らのブランディングを推進して、新たなゲームルールの先頭に立とうとするわけです。うーむ、恐るべき合理性。
社会コストを少なくし、古い街並みを維持する、という街の付加価値を上げていけば、自ずと街全体のバリューは上がっていくのでしょう。

実際に住んでみてどうだったか

実際に家に入ってみて感じるのは、やはり冬の暖かさ。夏は(今はだいぶ違うが)乾燥しているので、窓を開けておけばOK、というスタイルでした。つまり、冬は締め切って温め、陽の光を少しでも入れる(とにかく暗いので)。夏は通気性を確保する、というこの2つがメインの考え。

これは、知り合いの家の壁。だいたいこんな感じで、窓の厚み分の断熱材が入っています。ここに植物を置いたりするのがよくあるパターン。

窓の厚みは2-30cmくらいはある

と、まあこんな感じ。

暖房はセントラルヒーティングで、窓辺にヒーターがあるくらいで、じんわり暖めています。なので、エアコンの風がなくてとても良い。基本的には、家の中で半袖で過ごしていましたねw。学校などの公共施設ももちろんこの基準なので、室内で過ごすのが楽だし、勉強も捗ります。日本の公共施設にありがちな空調暑すぎ、寒すぎ問題や、局所的な温度差、エネルギー使いすぎ問題が明らかに少ない印象です。

夜は明かりを落として、キャンドルで本を読んだりしながら静かに過ごす。全体的に、家の中を静かにしています。これには、分厚い断熱による遮音の効果もあります。断熱がしっかりしていると、外の音があまり気にならなくなるので、家の中がとても静かになるのです。
布団は薄くてもよくなるし、普段はシャワーだけでもそれほど寒くならない。モノを持つ必要性や、設備の軽量化も図れる、といった具合です。

さらにエコビレッジだと、発電も自分たちでやっている。デンマークに住んでいた頃、たまたま友人がクリスチャニアに住んでいて、2週間ほど滞在したことがあるのですが、ここのセルフビルド&自主発電はホントにすごかった。写真はないけど、もうちょっと取材して書きたいなーここについては。

自分でやろうとしていること

今自分の家でやろうとしているのは、このミニチュア版。
日本の木造の家(うちは元豚小屋だけどな!)でも断熱バッチリで暮らせるぜ、しかもDIYでな!ということをやりたいってわけです。
実際、スウェーデンでは古い木造家屋を断熱して暮らしているのです。煉瓦造りじゃなくたってもちろんできるのです。日本の家でもあるしね。

こういう古い家も、みんな断熱改修してます(@スウェーデン)

で、古い家でも断熱改修バッチリで過ごせることがわかれば、これをモデルにして、集落の家も変えていけると思うのです。実際すでに空き家が1件出ており、これからはもっと増えていくでしょう。この家々を断熱バッチリにして住んで貰えば価値がわかってもらえると思うし、いかに少ない消費エネルギーで暮らせるかがわかるのではないでしょうか。
さらに、この集落内で発電の仕組みを整えていけば、自律分散的に外に頼らず暮らしていける道筋はあると思いますね。
幸い山まで行けば湧水で有名な土地なので、水もなんとかなるでしょうし。

ということで、これこそがこれからの限界集落の生きる道!最先端でいきましょう!というお話なのです。

ではでは〜

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