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ストレスマネジメントを身に付ける。【書評:ケアする人も楽になる 認知行動療法入門BOOK1】

「井上さんは最近、仕事楽しいですか」

今週火曜日、プロボノで仕事をサポートしてもらっている方とランチした帰り道、ふと、聞かれた。

「楽しいですか?」「たの・しい・・?」「たの・・しい・・・のか?」としばし逡巡した後、

「・・・・・タフですねぇ」という言葉が出てきた。今の仕事は、楽しいとはちょっと違う。やりがいはあるけど、目の前のひとつひとつの仕事、役割を全うすることにだいぶ必死で、楽しいとは言い難い・・・気がした。

「楽しいとは違って、いま、結構タフな状況にあると認識しているんですよね。けど、タフな状況があって、その状況に当事者意識を持ってコミットできているからこそ、何を身に付けたらいいのか、何に取り組んでいけばいいのか、を本気で考えるじゃないですか。その過程で、これまで出来なかったことが出来るようになる感覚があって、いまの状況を俯瞰的に認識しながら、学びを重ねていけることは、楽しいし、嬉しいんですよね。仕事が楽しいかと言われると「タフ」だけど、学びは楽しいんですよねぇ」

そんなことを話した。

僕のチームは企業や官公庁とのプロジェクトを所管していて、不確実性が高い案件を、個々の担当者が進めている。プロジェクトの先行きが明瞭ではないと「不安」は高まるし、状況がモヤモヤしていると、状況を共有し、チーム全体でサポートしていくコストも高まる。モヤモヤを明瞭に変えるために、何が出来るのか。プロボノの方の知見も借りながら、プロジェクト管理シートを作り、運用を始めた。これが、個人的には結構よくて、モヤモヤがブレイクダウンされ、課題が抜け漏れなく現れる。プロジェクトにおける「見える化」の大切さを実感している。

ご参考。実際にチームで使ってるやつです。週次でのチーム定例で各担当者が更新してチームに共有し、担当者+チームの知見を持ち寄りながら、プロジェクトGoalにむけて取り組んでます。

そして、すっかり前置きが長くなったが、プロジェクトだけではなくて、「タフですねぇ」と言う言葉の元になった自身の「ストレス(心理的負荷)」についても、いまこのタイミングで学びを深めたく、本を買った。

伊藤絵美さんの「ケアする人も楽になる 認知行動療法入門 BOOK1」。

この本は「ナース」向けに書かれた本なので「ケアする人も楽になる」という言葉が使われているが、認知行動療法、というストレスマネジメントを学ぶ意味では、誰が読んでも問題なく、もう、人によってはめちゃくちゃ面白く、学びを得られると思った。ぼくみたいに。

以下は本の紹介です。井上が記憶に頼りながら書いているので若干ニュアンス等正確ではない記載があるかもしれません。ご容赦の程よろしくお願いしますm(__)m

まず、認知行動療法は、ストレスを分解するところから始まる。

ストレスには、

ストレスを感じさせるストレス状況と、状況への反応としてのストレス反応がある。

「ストレス状況⇔ストレス反応」

さらにストレス反応は、以下のように4つのカテゴリにブレイクダウンされる。

「ストレス反応:認知、感情、身体反応、行動」

認知行動療法では、

ストレスを発生させるストレス状況と状況に対するストレス反応を、認知、感情、身体反応、行動という形で書き出し、自分自身の置かれているストレスの実相を見える化することを「アセスメント」と呼び、アセスメントがストレスマネジメントのはじめの一歩となる。

プロジェクトでもそうなんだけど、「見える」ってだけでも、辛さは若干緩和される。モヤモヤとした状況で思考がグルグル回り続けると気分が沈むが、迷路に惑う自分を、「ほぉほぉ、こんな風に私はストレス受けてたのね」と一歩引いた目線で俯瞰させるための行動が、アセスメントになる。

アセスメントしたら、どうするのか。

認知行動療法には「コーピング」という概念が出てくる。コーピングとは「意図的な対処」のことで、認知行動療法では、ストレスに対する意図的な対処、コーピングのバリエーションを増やすことで、ストレス状況に直面した時に、自分自身の力で、ストレスから立ち直れるようになることを目指している。

ストレスに直面した時に、「アセスメントしよう」と自ら考え、モデルに沿ってストレスを見える化することもコーピングのひとつ。他にもコーピングには、お酒を飲むとかサウナに行くとか、自分にとってストレス解消になる行動も含まれるし、認知再構成法や問題解決法といった認知行動療法ならではの手法もあったりする。

コーピングに優劣はなく、たくさんのコーピングをリスト化しておき、自分がストレス状況に置かれたら、効果がありそうなものから、「意図的に」かたっぱしから試してみる。そして、ストレスに対処する。これが認知行動療法の基本戦略だ。

この時、「意図的に」対処できる領域はどこなのか。たとえば、感情。ストレスに直面した時に、意図的に自分の感情を変えることはできない。上司に叱責された時、「嬉しい気持ちになるぞ」と対処しようとしても、感情を操作することはできない。「身体反応」も同じで、ストレスに直面して胃が痛くなったり動悸がした時、それを意図的に止めることはできない。

ストレス反応を認知、感情、身体反応、行動に分けて整理した時、感情と身体反応は意図的には変えられないから、僕らが、ストレスへの対処として意図的にできることがある領域は、「認知」と「行動」ということになる。

認知行動療法とは、認知と行動を自らデザインし、ストレスに対処することを目指すことから、その名前になっているそうだ。この本にはそのための具体的な手法がワークシートも含めて載っている。

「療法」と聞くと、自分は病気じゃない、と距離を置きたくなるような感覚があるかもしれない。これが、本当によくない。

予防、予防、予防。三度の飯より予防。事態が深刻化しないための予防が本当に大切な心の領域だからこそ、健康なうちから自分のために「療法」を取り入れることが大切じゃないかな。

今って、ストレス社会と言われて久しいし、今年に限って言えば、コロナ禍で予期せぬストレスを多くの人が抱えていると思う。

ストレス溜まってきてるなぁという人にも、ストレスとはなんぞやという学究的関心がある人にも、かなりオススメの1冊です。

お読みいただき、ありがとうございます。七転び八起きな人生を、みんなで楽しみ合いながら、笑い合いながら暮らしていけたらいいなぁと思って、noteでマガジンやっております。もしよろしければ、フォローいただけると嬉しいです(^^