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「息吹」 平野啓一郎著

平野啓一郎の著書は初めて。おすすめに載ってきて、何やら謎めいた紹介文に魅かれた。

子供の迎えに行って時間潰しに入ろうとしたかき氷屋が満席であったために、代わりに入ったマクドナルドで隣から聞こえてくる会話をきっかけに検査に行くことにした主人公の息吹。そこで癌が見つかるが、ステージ1ということで、不幸中の幸いと言うべきか、早期発見のために大事には至らずに済む。

そんな出だしでストーリーは始まるのだが、最初のうちはある意味では淡々と進み、特に大きなドラマはない。しかし物語が進むにつれて徐々に様子がおかしくなってくる。息吹と妻の絵美との会話を中心に物語が進むのだが、途中から、どちらが現実なのか分からなくなり、衝撃的な結末で幕を閉じる。

この小説では二つの異なる現実の話が絶妙に交錯し合い、読み進めるうちに、どちらが現実なのか、不思議な感覚に襲われてくる。妻の絵美を通して読者もそんな著者のマジックにかけられてしまったかのように。

普段は味わえない刺激を経験したい人に読んでほしい作品。

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