TOMO

22才でアメリカの大学を卒業後はグローバル環境で約25年間の社会人経験。 特に直近は欧…

TOMO

22才でアメリカの大学を卒業後はグローバル環境で約25年間の社会人経験。 特に直近は欧米の外資系企業で約15年間、管理職として従事。 そんな少し変わった経験を持った視点から、日々の読書感想を綴っています。 ※ Amazonのアソシエイトとして適格販売により収入を得ています。

最近の記事

「勝てる投資家は、「これ」しかやらない MBA保有の脳科学者が教える科学的に正しい株式投資術」 上岡正明著

2023年から24年にかけての年末年始は、23年の自身の投資生活を振り返りつつ自己学習に励んだが(自分なりに・・)、この本はその中でも非常に参考になった。投資だけではないかもしれないが、特に投資の分野では、基本に忠実に進めることが肝要であると感じた。特に印象に残っているトピックやキーワードを以下に列記しておく。 株に勝つ極意 再現性を確立する 資金管理の方法を知る 自らの欲望や恐怖に打ち克つノウハウを知る 再現性を利用した勝ち方 上値抵抗線下値支持線を意識する

    • 「川のほとりに立つ者は」 寺地はるな著

      「川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知り得ない」 作中に何度となく出てくるこのフレーズは、この小説の物語を凝縮して表している。 我々は皆、この川のほとりに立つ者である。相手のことや周囲のことなど何も理解していない。理解しているつもりになっていて、実際のところは全く理解していない。そして誤解や思い込みの中で生きている。 物語は、カフェで雇われ店長として働く清瀬を中心に、その恋人の松木、松木の幼馴染かつ親友の岩井、そして岩井の周辺の人物やカフェの従業員などが登場してく

      • 「息吹」 平野啓一郎著

        平野啓一郎の著書は初めて。おすすめに載ってきて、何やら謎めいた紹介文に魅かれた。 子供の迎えに行って時間潰しに入ろうとしたかき氷屋が満席であったために、代わりに入ったマクドナルドで隣から聞こえてくる会話をきっかけに検査に行くことにした主人公の息吹。そこで癌が見つかるが、ステージ1ということで、不幸中の幸いと言うべきか、早期発見のために大事には至らずに済む。 そんな出だしでストーリーは始まるのだが、最初のうちはある意味では淡々と進み、特に大きなドラマはない。しかし物語が進む

        • 「手紙屋」 喜多川泰著

          就職活動中に「手紙屋」という存在を知った主人公と、その手紙屋との手紙のやり取りで物語が綴られる。世の中がすっかりデジタル化し、手紙のやり取りはほとんど機会がなくなった現代において、手紙という古典的でありながら斬新な方法を視点として取り入れて描かれた物語。 個人的に印象的な手紙屋からの言葉は「出会う相手に称号を与える」というもの。この手紙屋、報酬は相手次第。相手がこの手紙屋に価値を見出して、お礼がしたい、と思ったら、そのお礼の品をいただくというスタイル。そんなことで商売が成り

        「勝てる投資家は、「これ」しかやらない MBA保有の脳科学者が教える科学的に正しい株式投資術」 上岡正明著

          「たゆたえども沈まず」 原田マハ著

          明治時代にパリで浮世絵などを販売する画商として活躍した林忠正と、同時代に生きたフィンセントファンゴッホについて、史実に基づきながら描いたフィクション小説。SOMPO美術館で現在「ゴッホと静物画」展が開かれており、行きたいと思っていたところ、改めてゴッホの生涯について関心を持ち、手に取った。 実在した林忠正とフィンセントファンゴッホ、そしてフィンセントの弟であるテオ。この三人に加えて、架空の人物である加納重吉。この四人が主な登場人物となる。後で調べてみたが、林忠正とゴッホが実

          「たゆたえども沈まず」 原田マハ著

          「さよならごはんを今夜も君と」 汐見夏衛著

          恐らくご飯つながりで、これまで読んでいた作品から類似すると思われたのか笑、Amazonにリコメンドされて手に取った作品。章ごとに主人公が設定され、3名の異なる少年少女が主に親子関係で悩んでいる中で、朝日さんが店主である「お夜食処」で心を解放していく、心温まるストーリー。親子関係で悩んでいる方々、特に若い世代に読んでほしい作品。 子供達の悩みは高校受験や大学受験、ダイエット、そしてオーガニックフードと多岐にわたる。設定がかなり身近で子供側の視点からすると共感しやす設定になって

          「さよならごはんを今夜も君と」 汐見夏衛著

          「否定しない習慣」 林健太郎著

          コーチングのプロである著者による本作品。具体的事例が多く盛り込まれており、すぐに実践できる内容で非常に参考になった。 まず著者は、人は無意識のうちに会話の相手を否定している、と我々に気づきのきっかけを与える。善意から、あるいは相手のためを想って発する言葉が実は否定になっていることがある。例えば上司部下の関係だったり、親子関係の中で、良かれと想って発するアドバイスめいたものが、実は否定に繋がっていることは薄々は感じているが、改めて振り返ると意外と多いものだと思う。 また、あ

          「否定しない習慣」 林健太郎著

          「ゆうれい居酒屋」 山口恵似子

          まさにタイトル通りの居酒屋である。舞台は新小岩の商店街にある小さな居酒屋である「米屋」。「こめや」ではなく「よねや」である。何年も前に主人及び女将も亡くなって今は存在しない「米屋」が舞台。そして各章の物語は女将が居間でちゃぶ台に突っ伏してのうたた寝から目覚めるシーンで始まるのだが、恐らくこれは女将が亡くなった時の状態がそうであったのだろう。 毎回同じシーンからスタートするので女将としては毎回リセットされて来客に応じているような感じであるが、とはいえそれ以前の来客のお勧め料理

          「ゆうれい居酒屋」 山口恵似子

          「月の立つ林で」 青山美智子著

          タケトリノオキナという名前でポッドキャストで配信されている「ツキない話」を中心に、それぞれが独立したようなエピソードが微妙に繋がり合いながら、各章の物語の主人公が抱える悩みや苦しみ、そしてそこからの解放を綺麗に描写している。 ひとつひとつの物語は独立しているように進むのだが、それらがお互いに、微妙に絡み合って表現されて物語が展開していく本作品の構成は圧巻であった。そして全て物語に必ず出てくる「ツキない話」。この「ツキない話」の配信者であるタケトリノオキナ。全ての物語に出てく

          「月の立つ林で」 青山美智子著

          「店長がバカすぎて」 早見和真著

          出版業界の厳しいビジネス環境を表現しつつ、書店を舞台として、精一杯生きる人たちの様子がコミカルかつ愛情たっぷりに描き出されている素晴らしい作品。かつ、推理小説のような要素を持ち合わせて最後までその展開に引き込まれた。 小説を読んでいて、声を出して笑うまで面白かった作品はそうそう多くはないだろう。通勤途中で読むこともあったため、周りから見ると怪しく写ったかもしれない。。「〜がバカすぎて」というタイトルで各章が成り立っていて、それぞれの章で繰り広げられる、笑あり、怒りあり、涙あ

          「店長がバカすぎて」 早見和真著

          「陸王」 池井戸潤著

          恥ずかしながら池井戸潤氏の著書は今まで読んだことがなかったので、タイトルと推薦文だけで手に取って読み始めた。途中で検索して知ったのだが「半澤直樹」と同じ著者だったことを後から知った。 なぜ途中で著者の名前で検索しようと思ったかというと、なんだか小説のスタイルというか、雰囲気が山崎豊子氏に似ており、何か共通点でもあるのか、と思ったからであった。とはいえ、いずれの著者も社会派というか、会社活動を舞台とし、実際の会社や事業をモデルとしながら書いているため、似通った雰囲気になること

          「陸王」 池井戸潤著

          「学びを最大化するTTPS(徹底的にパクって進化させる)マネジメント」 中尾隆一郎著

          まずこのネーミングがなんともキャッチーなので思わず手に取ってしまう書籍。「徹底的にパクッて進化させる」の頭文字を取ってTTPS、覚えやすい。 ただ、日本には古くからこういう考え方はある。「守破離」である。まずは先輩や師匠について習う、そして次の段階で従来の手法に改良を加える、そして最後は独創的に自身のオリジナルを出す、作る。TTPSはこのうちの「守」と「破」について書いている、と解釈することもできるだろう。 なおTTPSの要諦はTT、つまり「徹底的」という点だ。これは著者

          「学びを最大化するTTPS(徹底的にパクって進化させる)マネジメント」 中尾隆一郎著

          「オジいサン」 京極夏彦著

          久しぶりの京極夏彦先生の書籍。京極先生と言えば妖怪モノが有名で、自分自身も京極先生には妖怪小説から入ったわけであるが、これはだいぶ毛色は違う。とはいえ、モノローグ形式で進むこの小説の語り口は京極節そのもの。久しぶりの京極武節に嬉しさを覚えながら読み進める。 モノローグは、タイトルでもある「オジいサン」について思い起こそうとするところから、枕カバーのシミ、加齢臭、さらにテレビの買い替えや昔から付き合いのある田中電機、地デジのこと等々と、とどまることなく延々と続く。 この老人

          「オジいサン」 京極夏彦著

          「GIVE & TAKE『与える人』こそ成功する時代」 アダム・グラント著

          正直、この手のビジネス書は概ね表面的なHow Toであったり方法論に終始することが多く、あまり期待していなかったが、おすすめ一覧に載ってきたため、とりあえず手に取ってみて、驚いた。今までになかったような視点で成功への秘訣が書か れており、目から鱗であった。 この中では多くの事例を交えながら、いかに「ギバー」(与える人)が「テイカー」(受け取る人)よりも成功しているか、ということが描かれている。他のビジネス書で言うならば、例えば営業やマーケティング向けであれば「顧客志向」とい

          「GIVE & TAKE『与える人』こそ成功する時代」 アダム・グラント著

          「コンビニ人間」 村田沙耶香著

          Audibleで2022年の売り上げランキングに掲載されていた。芥川賞受賞ということで気になりライブラ追加してダウンロード。移動中に聞き終えた。 主人公である恵子は生活リズムの全てがコンビニ中心に考えている。そんな恵子は、白羽の提案で18年間アルバイトとして働いたコンビニを辞めることになるのだが、何のために食事をするのか、何のために眠るのか、何のために身だしなみを整えるのか、全てを見失ってしまい、いつ寝ているのか、いつ起きているのか、何も分からない状態になってしまう。 ここ

          「コンビニ人間」 村田沙耶香著

          「絶対にミスをしない人の脳の習慣」樺沢紫苑著

          精神科医が著者であるせいか、研究結果や論文等を参考資料として、エビデンスベースで、ミスを起こすメカニズムを解説しながら、どのようにミスを犯すリスクを下げるかという実践的な書籍。 起床後の2時間は「脳のゴールデンタイム」である。この時間に重要な仕事をこなすことでミスのリスクは軽減させることができる。自分も同様であるが、多くのビジネスパーソンは、仕事の始め方として、メールチェックから入る人は多いのではないだろうか。特に自分のような外資系企業で仕事をしていると、寝ている間に様々な

          「絶対にミスをしない人の脳の習慣」樺沢紫苑著