見出し画像

「GIVE & TAKE『与える人』こそ成功する時代」 アダム・グラント著

正直、この手のビジネス書は概ね表面的なHow Toであったり方法論に終始することが多く、あまり期待していなかったが、おすすめ一覧に載ってきたため、とりあえず手に取ってみて、驚いた。今までになかったような視点で成功への秘訣が書か
れており、目から鱗であった。

この中では多くの事例を交えながら、いかに「ギバー」(与える人)が「テイカー」(受け取る人)よりも成功しているか、ということが描かれている。他のビジネス書で言うならば、例えば営業やマーケティング向けであれば「顧客志向」というような文言や「ソリューション」あるいは「提案型」などの言葉で表現されることもあるであろう。自社の製品やサービスをいかに売るか、という発想から顧客の課題を特定してその解決策を提示する、そのためにはまずは徹底的にヒアリングして顧客の課題を捉える、ということになる。この本では、そういったアプローチを方法論ではなく「ギバー」という、その人の特性やタイプなどで捉えている。

ただし、ギバーだからと言って必ずしも成功するわけではない点はこの著書の重要な注意点だ。もっと言えば、成功していない層を見ると、ギバーの割合が最も高いという。著者は成功する可能性の高いギバーとそうでないギバーがいると言い、成功する可能性の高いギバーは「他者志向性」に基づいたギバーであり、そうでないギバーは「自己犠牲」に基づいたギバーである、と言う。自己犠牲に基づいたギバーは、競争において他人に踏み台にされ、埋没してしまう。また、ギバーが成功する要因としてもうひとつ、テイカーとマッチャーを使い分けることも成功の要素であると著者は言う。相手のタイプに応じて使い分けることだ。

なお、本書において全体的な点として、仕方ないことではあるが、著者がアメリカ人であるために、出てくる事例が概ねアメリカ中心になっているため、少し参考になりづらいというか、身近に引き寄せ辛いところもある。

この本の冒頭に「監訳者のことば」があるが、国民性あるいは文化的な違いというのはアメリカと日本には相当ある。おおよそ正反対の国と言ってもいいくらいだ。この本をアメリカ人が手に取ると、これまで考えてこともなかったような発想に目を奪われるだろうが、日本人に取ってみれば、相手のことを思って行動する、ということは家庭教育や学校教育等で多くの日本人は身につけている(最近は考え方も変わってきていると思うので、それほどではないかもしれないが)。我々日本人が国際社会で成功を収めるためのヒントにもなる書籍かもしれない。

このnoteでは、読了した書籍について感想を載せていきますので、引き続きご覧いただけると嬉しいです。感想やご意見もお待ちしておりますので、お気軽にコメントしてください。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?