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認知の歪み 白黒思考編

白黒思考、聞いたことがあるでしょうか?

全か無の思考とか0−100思考、二分割思考とも呼ばれたりしますが最近は認知の歪みという言葉が流行り出してそこから知ったという人もいるかもしれません。

何か事件が起こると自称専門家の皆さんが口を揃えて犯人の歪んだ考え方を勝手に「認知の歪み」ということにしてしまいコメントをするので「認知の歪み」は犯罪につながる歪んだ考え方を指すのだと勘違いしてしまっている方も多いでしょう。

しかし本来「認知の歪み」という言葉はそんな限定的な使い方をするための言葉ではありません。さらに言えば昨今では「歪み」と表現すること自体がナンセンスではないかということすら指摘されているような言葉です。

僕らは世の中の出来事を自分というフィルターを通して認識します。


つまり世界がどう見えるかというのは自分が世界をどう捉えるか次第で、逆に言えば自分自身の思考の癖を知ることで捻じ曲げて見てしまっている世の中をより生きやすくすることもできるのです。


人はしんどくなると自身の持つフィルターの中でもよりネガティブなものが賦活化していきます。普段だったらそこまで被害的に捉えない出来事でもしんどい時にはついつい被害的に捉えてしまうのはそのためです。

ネガティブなフィルターを通して見る世界は当然ネガティブに見えるため非機能的なものの捉え方、認知をしがちになりますが我々はそれらの非機能的な認知を認知の歪みと呼んできたわけです。


さて、その認知の歪みの中でも有名なのが白黒思考。

その言葉通り何でも白か黒かで捉えてしまうような極端な考え方のことを示しています。

例えば普段仲が良い子でも何かひとつ否定されたら一気に敵に思えてしまう。
仕事が比較的うまくいっても何か一個ミスあったら気分は0点。

こんな考え方に心当たりのある人はいないでしょうか。

こうなると世の中は敵だらけ、失敗だらけ、うまくいかないことだらけになってしまいます。

だって自分の全てを肯定し続けてくれてずっと味方でいてくれる人なんてそうそう現れないし、完璧に仕事をこなし続けることなんて当然できません。

自身がそうでなくても、周りにそういう人がいる、と心当たりのいる方も多いかと思います。こういう考え方をしている人は他者との関係でも0から100へと駆け上るので一気に距離を詰め激しい愛情を示してきたかと思えば、期待通りでなかったことを責め激昂し一気に離れていきます。それに振り回されしんどくなった経験のある人もいるかもしれません。


敵か味方か、正解か間違いか、失敗か成功か。


子供向けのアニメであれば対立構造はごく単純化され、正義か悪かなんてことまではっきり示してくれますが現実の世の中はそう単純に二分できることばかりではありません。

私が医療刑務所で勤務をしていると言うと多くの人は「ヤバい人がたくさんいるんだろう」と当たり前のように聞いてきます。何か事件が起こると「いい人だと思ってたのに」と言う周囲の人のインタビューが流れるのももう見飽きるほど繰り返された伝統芸能です。彼らはヤバい人だから事件を起こしたのでしょうか。いい人に見えていた部分は全て嘘だったのでしょうか。

当然そうではなく、いい人であっても事件を起こすことはある、いい人であっても悪い面もある、そんな当たり前をみんな知らないのです。

我々は幼少期からきっちりした答えの出るテストばかり受けてきて世の中は正か誤かはっきりキッパリ別れるものだと教わりました。

学校教育ではパチンコ屋の景品をなぜ多くの人が近所の古物商に持っていくのか、風俗店に入るとなぜ人はたまたま恋に落ち性的関係を持つのか、そんな世に蔓延るグレーな部分について誰も教えてくれなかったのです。

しかし現実はグレーなことばかり。完璧に見えるあの人も、僕らもきっとどこか抜けていて、でもそれでいいのです。

別に毎日8割の出来だって人生はいつか勝手に終わるし、文句言い合っても仲良しは続けられます。

自分が誰かに否定された気がして自分で自分に絶望したときは、白黒思考に陥って自分で自分を苦しめてないか見直す癖をつけましょう。


100点と0点の間には99箇所も隙間があります。


出来たこと出来なかったこと、褒められたこと否定されたこと、それぞれ書き出し実際はどれくらいの比重であったのかを振り返る癖をつけてみてもいいかもしれません。きっと0や100ではないはずです。

何度も言いますが世界の見え方は自分がどういった認識で世界を見ているかで大きく景色を変えます。自分がどうやって世界も捉えているのか、認知を認知する、メタ認知を一緒に育てていきましょう。ではでは今日はこの辺で。


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