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#83 菅前首相の弔辞に〝電通〟発言ー今だから言える2人の関係

さて、国内の世論を二分した安倍元首相の国葬ですが、この中で、菅前首相が弔辞を読みました。これを見たテレビ朝日の玉川さんというコメンテーターが、このように発言をしました。

「国葬というものがありました。あのときはああいうふうな、胸に刺さる言葉がありました。そういうふうな形で既成事実として残るんです。これこそが、国葬の意図なんですね。だから僕は国葬自体がやっぱりない方がこの国にはいいんじゃないか。これが政治的な意図だと思う。僕は演出側の人間ですからね。テレビのディレクターをやってきましたから、それはそういうふうに作りますよ、当然ながら政治的意図が臭わないように、それは制作者としては考えますよ、当然これ、電通が入っていますからね

あたかも菅さんの読み上げた弔辞、それを作る際に演出として電通が、指導もしくはアドバイスした、と断言したわけです。

これが間違いだったわけです。のちに玉川さんご本人が番組の中で、事実ではなかったと謝罪しました。これがいまだに尾を引いています。

国葬はフジテレビ含め、民放各社、NHKも生中継で特別番組としてずっと伝えしていました。僕は当時、制作担当者の一人でしたので、その国葬をずっと初めから終わりまで見守り続けていました。いろいろな方が話をする中で、やはり菅さんの言葉はっと思わず顔を上げて、言葉に聞き入ってしまいました。

そのぐらい、思いのこもったものであったと思っています。そこで振り返りました。僕が政治部記者だったときは、まさに安倍政権真っ只中でした。安倍さんと菅さんのコンビ、連係プレーによって内閣は維持されていたと言っても過言ではありません。

国葬が執り行われた日本武道館

大爆笑の二人の掛け合い

マスコミとの懇親会というものがあります。これは完全オフレコの忘年会のようなものなのですが、この会議の冒頭、安倍首相が前に立って挨拶をされました。オフレコなので、もちろんカメラは入っていませんので、少し気が緩みます。だから、話の内容がすごく面白いんです。

こういう話し方を普段してくれたらいいのに、と思うほど直近の外交のことや思い出話、さらにそジョークも交えながら挨拶されていまいた。その時にアドリブで菅さんにちょっとボケを交えながら話を振ったのですが、菅さんもボケでかえすその絶妙な掛け合いを見たとき、この二人は本当に仲がいいんだなと思いました。

そういったシーンを直接見ていたのもあり、菅さんが安倍さんに語りかけた言葉は、とても胸に残るものであったのだなと思いました。そして、当時の二人の絶妙な掛け合いを思い出しました。

ただ、僕が声を大にして言いたいのは、安倍政権に対して、評価をしているものではありません。これはいい意味でも悪い意味でも。そして国葬がよかったのか、悪かったのか、といってるものではありません。

僕個人が、実際に二人の掛け合い、やりとりを見ていて感じたこと、それはこの二人は本当に仲が良い、そして信頼関係が完全に築けている、ということでした。だからこそ、国葬であの言葉が出てきたのだなと思いました。

これに対して「電通が入っている」と断言し、菅さんが読み上げたその言葉に対して、あたかもこれは演出なんだとコメントをする。

やはりそれはあってはならないことだし、少し悲しいな、という気分になりました。発言内容に対し、政治的意図があるのではないかという個人的な感想であったり推測を述べるのは、それは個人の責任ですし、個人の自由です。そのこと自体は問題がないのですが「事実誤認をしている」ということは大きな問題です。

僕が番組を制作するにあたって、コメンテーターさんに来ていただく場合、事前にすり合わせをたくさんします。どういった内容の話をされるのか確認します。排除するためのチェックではなくて、お互い共通認識を持っておく。その中に事実確認をしなければいけないような内容があった場合は、私どもで事実確認をするし、お相手の方にも改めて事実確認をしてもらいます。例えば年月日が本当に合っているのか。噂ではなく、当事者が本当に正式に発表したものなのか。昔のことになると時間が経つにつれて、どこかで自分の勘違いとなってしまっているケースもあります。現に、よく確かめてみるとちょっと違った、というケースもありました。

なので、こうしたファクトをきちんと確認するという作業は必ずしています。

今回の発言に関しては僕自身も番組制作者として、さらに元々喋る側だった人間として、何でこういうことになってしまったのか、と思わされた次第です。

(voicy 2022年10月3日配信)

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