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「5次元ってなんですか?」

「先生に聞いたんですけど、5次元って何ですか? なんか、科学的でむずかしくてわからないんで教えてください。」

高知県吾川郡いの町 小6・K子さん
答える人:農事通信員 もにこ堂


もしもしK子さん、はじめまして。K子さんのお手紙読みました。K子さんが一生懸命に考えたことに爺は感心しました。先生が授業で5次元のお話をされて、それに興味を持ったんですよね? 5次元って大人のあいだでも興味を持っている人が多いんだけど、いま一つはっきりしないんです。

でね、今日はせっかくだから、「こういう考え方もあるよ」というヒントを爺が出してみますから、参考にしてくださいね。
なんでもそうなんですが、考えるときはK子さんのように自分に素直になってみることが大事だと爺は勉強になりました。
幼稚でもいいし、もしかして間違っていたってそれは構わないと爺は思うんですね。ただ、自分で考えるということが一番大事なこと、そうでしょう? だって自分が考えているんですから。お友達や先生や偉い人が考えたことはK子さんや爺の考えではないですからね?

自分の考えが大事だよ

自分の発明、発見、創意工夫が一番大事なんです。そして、もしそれが間違っていたら「間違いでした」と認める勇気も大事なんです。
爺は子供のころから、学校で「歯の磨き方」を何回も聞いたことがあります。「こうしなさい」と教わりましたが、二三年後には「磨き方」は違うんです。だったら、前に習ったことは嘘になるでしょ? でも大人はそんなことは言いませんでした。おかしいな? と思いました。

K子さんは、ドイツのゲーテという文豪ぶんごうを知っていますか? いろいろな小説家の中でも大人物の一人ですね。そのゲーテさんが晩年、お歳を召されてから「自分は考えるということを考えることを忘れていた」ともらしたそうです。

ゲーテ=70歳の時の肖像(1828年)Wikipedia

何かについて「考える」ときに、その対象たいしょうの「何か」ばかり考えようとすると答えが出ないことが多いんですよ。
その対象のことを難しい言葉で「客体」といったり、そうではなくてそれを見たり考えたりしている側のことを「主体」っていったりもするんです。
K子さんは学校で「主観」とか「客観」という言葉を習いましたか? では知ってるね。 日常でも、「主体的」なんていう言葉も聞くでしょう?

被写体ではなくて自分に目を向けてみよう

もっとわかりやすく言うと、カメラで撮影する人物や建物や風景のことを被写体ひしゃたいっていうでしょ?
その被写体ひしゃたいに目を当てないで、カメラのレンズ、見ている側、眼、認識にんしき、つまり自分に焦点しょうてんを当ててみると世界はもっと広がるの。

見ている側

カメラのレンズはあなたの目です。
ぜーんぶ、存在はあなたが見て触れて認識したものだからそこにそうある(ように見える)のですから。
だから、いまK子さんが「5次元ってなんだろう?」と考えているK子さんの側。見たり感じたり考えたりしている「主体」も大事ということなんです。
そこを考えに入れて聞いてね。

よく「5次元」っていうでしょ。分かりませんね? なんか雲をつかむみたいなものですね? 何ででしょう?
では、分かるところから行きましょう。
K子さんは、今いる世界を「三次元」だと認めていますか?
え? 認めてますね?
三次元って、こう立体でしょ?
幅に奥行きがあって、高さがあるやつ。
K子さんがアマゾンでデスクなど買ってもらうときに、お父さんやお母さんが必ずチェックするやつ。

(W)幅×(D)奥行×(H)高さ

寸法を間違うと大変ですね?
K子さんのおうちの玄関のドアが、W5センチ、D1センチ、H7センチだったらK子さんはおうちには入れないし、ネズミとかしか出入りできないですよね?
山も海も、ビルも、大空も、星が瞬く宇宙空間も、見えるところはみんな3次元ですね? 

それに時間の流れを加えると4次元だという人もいるんだけど、そうであれば、私たちは3次元空間にいて、時間の流れも経験しているから4次元にいると「仮定」してもいいわけですね?
「時空の世界」っていうのかな?
あとは、2次元は線の世界、1次元は点の世界って聞いたことあるよね?
もし、K子さんが2次元の人だったら、アマゾンの商品もせーんぶぺらっぺらの紙みたいなやつか、針金みたいな中から選ばなくてはならないの。
変だよね、よかったね3次元で。

どこからそれを見てるんですか?

こうしたお話は、あくまでも「そういうことにしてみよう」という仮定で構成されているから絶対に正しいかどうかはわからないの。
ただ、確実にわかっていることは、K子さんがいまそこにいるということですね。そして、3次元や4次元の世界を見ているということですね。

だれが何を見てるの?


そこで、もっと注意して見ると、
4次元の中には、3次元、2次元、1次元全部が入っているということでしょう? でもその逆はないですね?
K子さんが1次元の「点」の人や2次元の「線」の人だったら、絶対にそれ以上の3次元や4次元の世界は見えないし、ないものだと思うでしょう? あるなんて聞いたらびっくりでしょう? でも3次元や4次元からは、「点」も「線」も「平面」も丸見えですね? 
そしてもっと大事なことは、1-2-3-4次元は全部つながっているということです。
さあ、もう答えが出てますね?
K子さんは、4次元、3次元を見てますね?
では、K子さんは、どこからそれを見ているんですか?

「見ていること」と「映っていること」

さて、ちょっと難しいお話になっちゃうんですが、この3次元、4次元の世界を別な言い方で「この世」とか「物質の世界」とか言うんです。また、「二元性にげんせいの世界」とか「相対界そうたいかい」ともいうんですが、この辺の面白いお話は、また別の機会にするね。

ホントはね、K子さんは自分の目のレンズを通して、それが視神経を伝わって大脳に行って、そこでこの世の物事を見ているんです。
だから、すべてはその脳が元になっていると言っている人もいます。
でもね、その脳はK子さんの道具でしかないんですよ。
その脳で判断したり考えたりする命令を出しているのは、K子さん自身なんです。目を使っているのも、「目」という生き物(物質)が勝手にやってるんじゃなくて、K子さんが目を使っているんですよ。K子さんの目でしょう?K子さんがご主人なんです。

そのご主人のK子さんそのものは物や肉体じゃなくて、昔の人は「精神」とか「魂」とか呼んだの。それが、この世を見ているんです。

K子さんの体
K子さんの目
K子さんの頭
K子さんの手
K子さんの足

目が見ているんではないですよ。
目はただ映ってるだけ。
目を通して、頭を通して、K子さんが見てるんです。

つまり、3次元や4次元は、同じ次元を見ることが出来ないんですよ。
ものが見えているんではなくて、それはただ映っているだけなの。その上の次元からではないと見れないの。

もっとわかりやすく言うと、K子さん、あなたが5次元なの。
そして5次元から先の6次元やズーっと先までは目に見えない世界なんだ。
ただね、それらはぜーんぶつながってるの。
爺はそんな風に考えます。
この辺でいいかな?



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この「地方こども相談室」は、架空の相談室です。第1回目
闇は闇を見れません。以上です。』所収の記事に続く2回目になります。
こどもさんが疑問に思うことは、たいてい重要なことでいながら、この現代社会、現代教育からは除外されることが多い問題です。しかしながら、現代教育を受け、現代社会で忙殺されているわれわれ大人は、それにうまく答えることが出来ません。この場は、子供さんの疑問を軸に、大人も一緒になって考えてみようという場です。みなさまの中でも、こういう問題はどうか? こういう答えはどうか? という「声」がありましたらぜひお寄せください。





東洋哲学に触れて40余年。すべては同じという価値観で、関心の対象が多岐にわたるため「なんだかよくわからない」人。だから「どこにものアナグラムMonikodo」です。現在、いかなる団体にも所属しない「独立個人」の爺さんです。ユーモアとアイロニーは現実とあの世の虹の架け橋。よろしく。